カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

俺たちに明日はない

 

 

第217回目は「俺たちに明日はない」です。

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1967年のアメリカの犯罪映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


♫縛られたアダムとイヴ〜走り抜けたボニー&クライド♬

 


そんなフレーズがTM NETWORKの「self control」という曲にありました。

 


アダムとイヴはいいとして、ボニーとクライドって誰だよ。

 


率直にそう思っていました。

 


そういえば「愛と青春の旅立ち」という映画の主人公がボニーとクライドだったような……。

 


と思っていましたが「俺たちに明日はない」が正解でした。

 


ボニーとクライドは1930年代に実在した銀行強盗カップルです。

 


現代では銀行強盗なんて、そうそう成功しないと思いますが、その時代はセキュリティも甘く、警察も規模が小さかったようです。

 


当時では有名な連続銀行強盗犯だったそうです。

 


そんなボニーとクライドの出会いと逃避行を描いた作品です。

 


物語は1930年、ボニー・パーカーは平凡な生活に鬱屈している退屈女子でした。

 


ある日、ボニーは自分の家の車を盗もうとしている男に遭遇しました。

 


その男こそ、ならず者のクライド・バロウでした。

 


ボニーはクライドに興味津々であり、クライドが本物のワルかどうか確かめてみたくなりました。

 


クライドはボニーの目の前で強盗を働き、成り行きでボニーと逃走します。

 


ボニーは変化を求めてクライドと行動を共にすることにしました。

 


ボニーとクライドは逃げきれるでしょうか?

 


彼らに明日はあるのでしょうか?

 


興味がありましたら、是非一度観てみてください。

 


1930年代は世界恐慌などで経済が衰退して、犯罪が横行していた時代です。

 


そんな時代に生きたバカップルの物語です。

 


感覚としては、みんな悪いことしているから、自分もやってもいいよねーという風潮だったのではないでしょうか?

 


常識で考えて銀行強盗なんて成功するわけがないし、そもそもやっちゃダメだし。

 


そんなことも判らないほど、麻痺してしまっているようです。

 


世間もボニーとクライドが金持ちを狙うので義賊のように支持していたそうです。

 


そういうところはアメリカンな感じがします。

 


狂った時代です。

 


古い作品ですが、1930年代を視覚化しているようで、味があって良いと思います。

 


風景や車、人物も美しく感じます。

 


名作と呼ぶ人がいるのも解る気がします。

 


しかし、内容は無鉄砲な逃避行で、はちゃめちゃな感じがします。

 


それなりに格好良くは描かれていますが。

 


映画に集中している間はギャング感を満喫できて楽しいのですが、ふと我に帰ると「コイツら馬鹿じゃないだろうか?」と思ってしまいます。

 


仲間が増えると、バカが増殖したように感じました。

 


とは言え、ワルに憧れるというのは解ります。

 


非日常ですし、そこにボニーも惹かれたんだと思います。

 


ボニーとクライドは美男美女で、観ていると応援したくなる気持ちも解ります。

 


銀行強盗が成功しろとは思いませんが、ある種の幸せを手に入れて欲しい気はしました。

 


感情移入できる人はわりと楽しめると思います。

 


また、

歴史の1ページとしても勉強になったと思います。

 


そういう意味では観たかいがあったなと思います。

 


作品としても面白かったと思います。

 


1920年から1930年代は私にとっては魅力的な時代です。

 


その時代ならではのエピソードなので、見応えはありました。

 


銀行強盗をしようとは思いませんが、非日常や、スリルに憧れる気持ちは共感できます。

 


ある程度、バカにならなければ夢は叶わないのでしょうか?

 


お利口さんは、日常で満足するしかないのでしょうか?

 


ま、私は毎日楽しいですけどね。

 


クライムサスペンスが好きな人、非日常を求めている人にはオススメです。

 

 

 

スリーピー・ホロウ

 

 

第216回目は「スリーピー・ホロウ」です。

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1999年のアメリカのホラー映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


首なし騎士の伝説です。

 


アメリカでは有名な童話の実写版だそうです。

 


皆さんはデュラハンというモンスターをご存知でしょうか?

 


元々はアイルランドの伝説で、いわゆる首なし騎士で、頭は小脇に抱えています。

 


デュラハンは夜な夜な近々死者の出る家にタライいっぱいの血を浴びせかけます。

 


アイルランドには妖精のバンシーなど、死を予告するという伝説が定番のようです。

 


デュラハンは剣とムチと首とタライを持っていて、手荷物がいっぱいだな、と思ってしまいます。

 


因みに、デュラハンの愛馬は首なし馬のコシュタバワーです。

 


首なし騎士が怖けりゃ、馬まで怖いです。

 


そんなデュラハンアメリカの伝説になっているなんて、スゴいことだと思います。

 


さて、物語は1799年のニューヨークから始まります。

 


当時のニューヨークは警察も裁判もいい加減で、「めんどくさから、お前が犯人でイイや」というスタイルでした。

 


これでは冤罪だらけになってしまいます。

 


主人公の刑事イカボット・クレーンは科学捜査の重要性を訴え、実践しようとしていました。

 


しかし、当時のニューヨークでは受け入れられず、異端視され地方の事件に回されます。

 


その土地の名前は「スリーピー・ホロウ」でした。

 


その村では、すでに四人も殺害されていました。

 


村人は口を揃えたように連続殺人の犯人が「首なし騎士」だと言います。

 


イカボットは科学捜査で真犯人を暴こうとします。

 


さて、イカボットは事件を解決できるでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


この映画はとにかく映像が美しいです。

 


分類としてはゴシックホラーだと思いますが、私としてはファンタジー映画のように感じました。

 


首なし騎士の映画としては唯一無二の存在だと思います。

 


だって首なし騎士って、怖いか面白いか紙一重だと思います。

 


作品として扱うのが、難しそうです。

 


しかし、この映画の首なし騎士は抜群に怖いです。

 


なんなら首があっても、怖いくらいです。

 


対するイカボットですが、イマイチ科学捜査が役立っていない感じがしました。

 


テーマとしては科学捜査VS伝説ということだと思うのですが、かなり伝説に押され気味です。

 


あと人物関係が複雑で、ちょっと私の思考回路が追いつかない感じがしました。

 


ふと、この複雑さは金田一耕助だなと思ってしまいました。

 


105分では短かすぎたのではないでしょうか。

 


次々起こる連続殺人に、私の推理は全く追いつきません。

 


ただただ、首なし騎士に圧倒されっぱなしです。

 


正直、真犯人が誰だとか考えている余裕はありません。

 


是非とも、首なし騎士の活躍を観て欲しいと思います。

 


多少、グロい感じもしますが、登場人物をはじめ、何から何まで幻想的で美しい作品です。

 


私は名作だと思っています。

 

 

 

ロックスター

 

 

第215回目は「ロックスター」です。

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2001年のアメリカの音楽映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


私は若い頃、バンドを組んでいました。

 


当時、初めて楽器を手にした私たちはとりあえず、有名バンドのコピーから始めることにしました。

 


徐々に上手くなってくると、コピーバンドならではの問題に直面してしまいました。

 


それは「オリジナルを忠実にコピーするべき」か「アレンジを加えて個性を出すべき」か、です。

 


たかだかコピーバンドの戯言なのですが、当時の私たちは真剣に議論していました。

 


きっとコピーバンドあるあるなのだと思います。

 


因みに私はアレンジを加える派でした。

 


もちろん完コピバンドにも、それなりに意義があると思っています。

 


クイーンのコピーバンドのグイーンとか有名ですよね。

 


この映画は、そんなコピーバンドの苦悩を描いた作品です。

 


物語はアマチュアコピーバンドのボーカル、クリス・コールが主人公です。

 


クリスは大物バンド「スティール・ドラゴン」に憧れ、完璧なコピーバンドを目指していました。

 


ところが、アレンジ派のギタリストと意見が衝突してしまいました。

 


そして、遂にクリスはバンドをクビになってしまいます。

 


そんなある日、クリスの運命を変える一本の電話がかかって来ました。

 


果たしてクリスはどうなってしまうのでしょうか?

 


是非、一度観てみてください。

 


ハードロック、ヘヴィメタルが好きな人にはオススメです。

 


自分でバンドを組んだことがある人には、特にオススメです。

 


なかなか音楽に向き合う心情を上手く描いていて面白かったです。

 


アメリカンドリーム的なサクセスストーリーでもありテンションが上がります。

 


そして、成功に伴うミュージシャンの苦悩が描かれて感慨深いものがあります。

 


それにしても、コピーバンドって難しい存在だと思います。

 


ファンだから、という理由なら解りますが。

 


自己を喪失してしまいそうにならないのでしょうか?

 


どこかで自分の音楽をやるべきだと思うようになるのではないでしょうか?

 


コピーバンドだって、テクニックや力量が必要なわけで。

 


それだけ技量が身につけば、やはり自分の曲をやりたくなるものだと思うのです。

 


これはアマチュアコピーバンドの永遠のテーマだと思います。

 


そして、その答えがこの映画には詰まっています。

 


感じ方は人それぞれだと思いますが、一つの結論が描かれています。

 


調べたところによると、「スティール・ドラゴン」のモデルは実在のバンド「ジューダス・プリースト」モデルだったそうです。

 


ヴォーカルのティム・オーウェンズが主人公のクリスのモデルだそうです。

 


ところが、製作上「ジューダス・プリースト」とは内容で決裂して、一応無関係となっています。

 


因みに、「スティール・ドラゴン」のメンバーには

 


ギタリスト ザック・ワイルド

ベーシスト ジェフ・ピルソン

ドラマー  ジェイソン・ボーナム

を迎えています。

 


超豪華メンバーです。

 


あいにくと演技はほとんど、させてもらえませんが。

 


演奏は彼らによるものなので、ロックファンならば、必見の映画となっています。

 


106分と短い映画ですが、充実した作品でした。

 


この映画を観ると、また音楽がやりたくなります。

 


是非、観てみてください。 

 

 

 

蝋人形の館

 

 

第214回目は「蝋人形の館」です。

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2005年のアメリカ・オーストラリア合作のホラー映画。

 


以降ネタバレ注意です。

 


蝋人形の館」といえば真っ先に思い出すのは聖飢魔IIの曲です。

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当時の私には衝撃的な作品であり、印象的なバンドでありました。

 


今でも日本で最も成功したヘヴィメタルバンドではないでしょうか。

 


さて、同タイトルのこの映画ですが、おそらく私は聖飢魔IIがなければ観ていません。

 


タイトルからしてつまらなそうだし、観る価値を見出せなかったでしょう。

 


唯一引っかかるところがあるとすれば、ヒロインがエリシャ・カスバートであるというところだけです。

 


エリシャはドラマ「24」で主人公ジャック・バウアーの娘キンバリー・バウアーを演じていました。

 


そんな訳で、普段ならスルーするような作品ですが、期待度MAXで鑑賞してしまいました。

 


物語は男女6人がフットボールの試合観戦のためにスタジアムに車で向かうところから始まります。

 


道中、とあるキャンプ場で一泊することになった一行は不審な車に遭遇します。

 


車は追い払ったものの、翌朝には自分たちの車が壊されていました。

 


主人公のカーリー(エリシャ・カスバート)たちは車の部品を求めて近くの街へと向かいます。

 


そこは人気の少ない静かな街でした。

 


街の一角に閉鎖された蝋人形館がありました。

 


そして、その蝋人形館には……。

 


果たしてカーリーたちは無事に帰ることができるのでしょうか?

 


是非、一度観てみてください。

 


この映画は「13日の金曜日」のようなオーソドックスな猟奇殺人映画です。

 


スプラッタが苦手な人にはオススメしません。

 


逆にスプラッタが好きな人には、まず満足な作品だと思います。

 


105分とそんなに長くないので、観やすいです。

 


見どころはやはり蝋人形です。

 


聖飢魔IIの歌の通り、生きたまま蝋人形にされてしまいます。

 


この映画は、なんと3度目のリメイク作品なのだそうです。

 


オリジナルは1933年の「肉の蝋人形」という作品らしいです。

 


よくも、こんな映画が3度もリメイクされたもんだと、呆れるやら感心するやらです。

 


因みに、聖飢魔IIの「蝋人形の館」は、この映画がモチーフではないそうです。

 


ありきたりな内容かもしれませんが、雰囲気は怖めで悪くはありませんでした。

 


街の雰囲気も不気味で、ゾクゾクします。

 


そして蝋人形館ですが、映画の終盤ではあまりの美しさに惚れぼれしてしまいます。

 


このシーンだけでも観た甲斐があったというものです。

 


あと登場人物でカーリーの兄のニックが、なかなか良い味を出していると思いました。

 


それにしても、生きたまま蝋人形にするというのは蝋人形製作者としては手抜き行為なのではないでしょうか?

 


あまり日本では馴染みがないと思いますが、アメリカでは蝋人形館だけでなく、博物館の展示品として重宝されているようです。

 


蝋人形の設定は充分活かせていて、ポイントの高い作品だと思いました。

 


とは言え、お察しの通りB級作品なので、期待しすぎるとガッカリしてしまうかもしれません。

 


できれば、軽い気持ちで鑑賞して観て欲しいです。

 


というわけで、聖飢魔IIファンの方には是非観て欲しい映画です。

 


映画を観ていると聖飢魔II蝋人形の館がガンガン脳内再生されます。

 


ホント、クライマックスは芸術的です。

 

 

 

ブレイド

 

 

 

第213回目は「ブレイド」です。



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1998年のアメリカのヴァンパイア映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


皆さん、お久しぶりです。

 


1ヶ月ぶりの更新ですが、お元気でしたか。

 


さて、今回の「ブレイド」ですが、ヴァンパイアものでありアメコミヒーローものでもあるという、変わり種の映画です。

 


一応、ホラー的な要素もありますが、ほとんど怖くありません。

 


むしろ、格好良さが満載で楽しんで観ることができます。

 


ヴァンパイアもので怖くないというのはマイナス点の様な気もしますが、ヴァンパイアネタを活かした傑作だと私は思っています。

 


1967年、物語はとある病院から始まります。

 


病院に運び込まれた妊婦の女性はヴァンパイアとの混血児を出産します。

 


その子供は成長してブレイドと名乗りヴァンパイアハンターとして活躍する様になりました。

 


混血児のブレイドは日光を浴びても平気だったためDAY-WALKERと呼ばれていました。

 


ブレイドの殺陣や武器などが見応え抜群です。

 


一方、ヴァンパイアのフロストは弱点である日光を克服する術を模索していました。

 


ブレイドとフロストは宿敵です。

 


果たして、ブレイドはフロストを倒すことが出来るのでしょうか?

 


ぜひ、一度観てみてください。

 


この映画はヴァンパイアの設定をぎっしりと詰め込んでいて、物凄く優秀な作品だと思います。

 


ヴァンパイアといえば、日光に弱いニンニク嫌いが有名です。

 


あるいはヴァンパイアに噛まれると、噛まれた人間はヴァンパイア化してしまいます。

 


しかし、この映画ではヴァンパイアに噛まれた人間にニンニク注射を射つと、ヴァンパイア化を防ぐことができるのです。

 


素晴らしいアイデアです。

 


過去にそんな発想をした映画はありません。

 


マーベラス

 


また日光を浴びると灰になるヴァンパイアですが、なんと彼らは化粧品でUVケアをして日中をウロウロしているのです。

 


これも斬新なアイデアだと思います。

 


アンビリーバボーです。

 


あと細かいところで言えば、ヴァンパイアは不老不死なので、若手と長老ヴァンパイアとで対立が見られます。

 


現代社会の問題はヴァンパイア界でも深刻な様です。

 


この世界ではヴァンパイアと人間が、ある意味共存しています。

 


ヴァンパイアは人間にかくまわれているのです。

 


見返りとして人間はヴァンパイアの仲間にしてもらえるのです。

 


珍しい話ではないですが、設定が活きている感じがします。

 


結果としてブレイドは人間ともヴァンパイアとも戦う羽目になってしまいます。

 


因みに私はヴァンパイアになりたい派なので、ブレイドの敵ということになります。

 


続いて「ブレイド2」も観てみました。

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2002年のアメリカ・ドイツ合作になっています。

 


今回は新種のヴァンパイアである「リーパー族との戦いを描いています。

 


ヴァンパイアとブレイドが共闘したりと見応えは充分です。

 


続いて「ブレイド3」です。

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2004年のアメリカ製作です。

 


ブレイド3部作の完結編です。

 


今回の敵は元祖ヴァンパイアのドラキュラです。

 


相変わらず設定は面白いですが、ちょっとマンネリ感もありました。

 


とは言え、完結編としては非常に満足できる作品でした。

 


ポメラニアンが可愛い。

 


ブレイド」一作目が気に入った人は3まで観て欲しいです。

 


一作目がまあまあだった人は一作目で完結しても大丈夫です。

 


私としては革命的なヴァンパイア映画だったように思っているので是非観て欲しいです。

 

 

 

秘密の花園

 

 

 

第212回目は「秘密の花園」です。

 

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1993年のアメリカの映画です。

 

 


*以降ネタバレ注意です。

 


前回と同じく児童文学映画の「秘密の花園」を観てみました。

 

※前記事 「リトル・プリンセス」(原作 小公女)

www.kazuma-mieux.com

 

 


原作は「小公女」と同じくフランシス・ホジソン・バーネットの著作です。

 


相変わらず、原作は読んだことがありません。

 


あらすじを母に聞いたことがあるくらいです。

 


秘密の花園」というタイトルに、いかがわしさを感じるのは私だけでしょうか?

 


そう聞こえるのは私の心が汚れているからでしょうか。

 


ごく普通の児童文学映画でした。

 


家族で観ても大丈夫でしょう。

 


ただ、全体的な雰囲気が暗いのが残念です。

 


この映画のテーマはいかに家族の死を受け入れるか、ということです。

 


それは非常に難しい事だとは思いますが、死を乗り越えていく姿が描かれています。

 


そういう意味では重たい映画です。

 


物語はセーラと同じくインドで暮らしていた少女メアリーが主人公です。

 


メアリーはあまり両親に愛情を注がれていなかったために、ワガママに育ちました。

 


ある日、地震による火災でメアリーは両親を亡くしてしまいます。

 


その後、メアリーはイギリスに住む叔父に引き取られました。

 


叔父は妻(メアリーの母の妹)の死に心を病んでおり、病弱な息子のコリンともコミュニケーションを取れない状態でした。

 


メアリーとも壁を作ってしまいます。

 


メアリーは叔父の館で半軟禁状態でしたが、こっそりと抜け出したりして、自由奔放に過ごしていました。

 


ある時、メアリーは亡くなった叔母の閉鎖された庭園を発見します。

 


全く手入れされておらず、荒れ放題の庭園でした。

 


メアリーはコリンと牧童のディコンと共に庭園の再生に取り組みます。

 


そして秘密の花園が再生した時……。

 


是非、一度観てみてください。

 


この物語は意外にも、メアリーが両親の死を克服するのではなく、叔父のクレイブンが妻の死を受け入れるかが主題の映画でした。

 


元々、愛情の薄かったメアリーは案外早々に立ち直ってしまいます。

 


それはそれで良いことだと思います。

 


因みに、私の妄想ではメアリーと小公女セーラはインドで友達だったことになっています。

 


メアリーとセーラは性格が正反対で面白いです。

 


メアリーの方がワガママで、おてんばという感じです。

 


しかも、かなりの貴族階級だと思われます。

 


根っからのお嬢様育ちです。

 


出来れば「リトル・プリンセス」と見比べてみて欲しいです。

 


メアリー、ディコン、コリンの三角関係がほんわかしていて面白いです。

 


しかし、ディコンの方が分が悪い気がします。

 


コリンは従兄弟ですけど貴族ですから、平民のディコンは勝ち目がありません。

 


そうなってくると、花園再建を手伝うだけ手伝わされて、捨てられるディコンが可哀想。

 


ですけど、勝負はまだまだこれからです。

 


そもそも、メアリーやコリンが好きな相手と結婚できるとも限りません。

 


貴族ですから、政略結婚の道具にされるなんてことは往々にして、ありえるかもしれません。

 


どうなるかは判りませんが、幸せになって欲しいものです。

 


さて、実は私は作品としての「秘密の花園」の出来はイマイチに感じました。

 


花園がもっと美しければ、最高の作品になったかもしれません。

 


やはり花が満開の花園を想像するじゃないですか。

 


でも実際は三分咲きくらいだった気がします。

 


もちろん、そこはストーリー上重要ではないのですけど。

 


花園が家族の絆になることが美しいのであって、花園自体はキッカケに過ぎないのです。

 


でもね、ちょっとガッカリでした。

 


あとは叔父のクレイブンがクズ野郎だということです。

 


妻を亡くしたことは同情しますが、息子のコリンに対して育児放棄をしています。

 


それには理由もあるのですが。

 


「納得いくか、バカヤロー!」という気がします。

 


一応、ハッピーエンドなので文句はありませんが、クレイブンは信用できません。

 


都合よく手のひらを返したとしか思えません。

 


それでもコリンが幸せならしょうがないか。

 

 

 

ちょっと引っ掛かる場面もありますが、お子様と鑑賞することをお勧めします。

 


ところで、

 


10年くらい前に母親に聞いた「秘密の花園」あ

らすじですが。

 


「お母さんが亡くなってな、お母さんの庭に入るねん」

 


「ふむふむ」

 


「そこに殺人鬼がおってな。殺されてしまうねん」

 


「えぇっ?」

 


「で、その殺人犯が不思議な力持ってて病気とか治すねん」

 


母の語る衝撃のあらすじに絶句してしまいました。

 


しかし今回、母のあらすじが間違いであり、どうやら母が「グリーンマイル」と勘違いしていることが解りました。

 


母はちょいちょい複数の映画がごっちゃになった話を聞かせてくれるので、私は大好きです。

 

 

 

 

リトル・プリンセス

 

 

 

第211回目は「リトル・プリンセス」です。

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1995年のアメリカの児童文学の映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


私は児童文学や童話を題材にした映画が、結構好きです。

 


物語制作の基本だと思いますし。

 


何よりメッセージが明確です。

 


子供の頃は、単に面白いか面白くないかしか、解らないかもしれませんが。

 


ある程度、成長すれば何を伝えようとしているか、感じ取れると思います。

 


姪っ子が感動する瞬間を見て、私も感動してしまうのです。

 


大人になると、感動しづらくなってくるじゃないですか?

 


私だけかもしれませんが、ちょっとやそっとの話じゃ感動なんてしません。

 


その点、子供は純粋で良いなと思うのです。

 


さて、この映画は児童文学の「小公女」を題材にしています。

 


私は原作小説を読んだことはありません。

 


私が子供の頃、世界名作劇場小公女セーラ」というアニメがテレビで放送していました。

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私にとってはこのアニメが基本になっています。

 


それが実写となったのであれば観ずにはいられません。

 


アニメと映画は随分と設定が違うので、少々困惑してしまいます。

 


しかし、映画は映画で別物として受け入れました。

 


物語はインドで暮らすイギリス人の少女セーラが主人公です。

 


父親は軍人で戦争が始まったため、インドを離れることになりました。

 


その際、セーラはニューヨークの寄宿学校ミンチン女学院に入学することになります。

 


最初、セーラは特別待遇でした。

 


しかし、ある日セーラの父親の戦死報告が届きます。

 


その途端、学長のミンチン先生はセーラの私物を没収し、セーラを召使いとして扱うことにしました。

 


セーラは大金持ちのお嬢様から、一気に貧乏人へと転落してしまいました。

 


果たしてセーラの運命は?

 


是非、観てみてください。

 


児童文学というだけあって、お子様と一緒に鑑賞することをお勧めします。

 


92分という長さも丁度いいと思います。

 


ただ余計なシーンが多く、肝心なストーリーが省略されていることは残念で仕方ありません。

 


しかし、全体的に美しい映像なので、没入感は高いと思います。

 


特に雪が舞うシーンは印象的でした。

 


普段は映画は映画、原作は原作と割り切ることにしている私ですが。

 


この作品に関しては割り切れませんでした。

 


厳密にはアニメとの違いですが。

 


アニメの方が原作寄りだと思います。

 


まずセーラの父は原作では、ダイヤモンド鉱山を運営している大富豪という設定です。

 


しかし映画では軍人で、階級は大尉です。

 


とても、大富豪とは考えられないでしょう。

 


もしかしたら、莫大な資産を持っているのかもしれません。

 


だとすると、その資産はセーラが相続することになるので、設定が崩れてしまいます。

 


原作通り、事業で破産して一文無しになった方が説得力があると思います。

 


セーラの性格もアニメとは違っています。

 


アニメの方では、貧乏になっても健気に気丈に生きていく感じです。

 


映画では、貧乏にもめげずに逞しく生きていく感じです。

 


どちらも同じではありますが、ニュアンスはかなり違います。

 


この映画のテーマは「どんな時もプライドを失ってはいけない」ということです。

 


女の子はみんなプリンセス。

 


武士は食わねど高楊枝。

 


というところです。

 


映画ではあまり酷い目にあわないので、貧乏感というか没落感があまり感じられません。

 


もっとミンチン先生や同級生のラヴィニアが意地悪な方が、悲壮感が出て良かったのではないでしょうか。

 


そうなってくると、孤児になったセーラを引き取ったミンチン先生は悪人ではないような気もします。

 


むしろ最後はミンチン先生が可哀想に感じました。

 


基本的に映画の方が原作よりハッピーでハートフルな感じがします。

 


個人的には原作通りの方が良いように思いますが、これはこれでアリだと思います。

 


ただ無理矢理ハッピーエンドに持って行こうとして、物語としてのスケールが縮小されてしまった気がします。

 


セーラといえば、通称ダイヤモンド・プリンセスですが、映画ではたかが軍人の娘です。

 


大富豪からド貧民に転落するところが面白いのに、ちょっと物足りません。

 


この作品の良し悪しは、父親の設定が握っています。

 


設定が浅くなってしまうとメッセージも浅くなってしまいます。

 


「やっぱり貧乏より、お金持ちが良いよねー」

という風にとらえられかねません。

 


貧乏でも挫けない美しい心が、見せ所だと思うのですが、セーラが割とヘッチャラなので、困ってしまいます。

 


その分、観やすいという利点もありますけど。

 


綺麗にまとめ過ぎな気がします。

 


でも、原作と比べなければ、とても良い作品だったと思います。

 


是非、女の子がいるご家庭は家族で観てみてください。

 


余裕が有れば「小公女セーラ」全46話を観ることをお勧めします。