カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

THE FIRST SLAM DANK

第313回目は「THE FIRST SLAM DANK」です。

 

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2023年の日本のスポーツアニメ映画です。

 

皆さんはバスケットボールは好きですか?

 

私は結構好きなんです。

 

観る専門ですけどね。

 

小学校の時はバスケットボール部に入ってたこともあります。

 

まあ、交流試合で68対1で負けた記憶しかありませんけど。

 

まあ、それは良いとして。

 

バスケットボールの魅力は、そのスピードとテクニック、そして得点の奪い合いだと思います。

 

シュートが次々決まるので、見ごたえがあります。

 

サッカーだと多くて3点くらいだと思うんですが、バスケットボールは100点くらいいきそうなゲームです。

 

単純に得点がたくさん入る方が面白いじゃないですか?

 

あとテクニック面でもすごい技がいっぱいあります。

 

しかし、経験者や詳しい人なら細かい動作にもその凄さがわかると思いますが、

 

素人目には早すぎて、何が起こっているのか分からないと思います。

 

そこで、バスケットボールの入門書となるのが「SLAMDANK」です。

 

主人公、桜木花道はまったくの未経験でバスケットボールを始めます。

 

そのため、基礎の基礎からバスケットボールを学び、読者もそれによってルールやテクニックを学ぶことができます。

 

スラムダンクの影響でバスケットボールを始めた人、学んだ人はかなり多いのではないかと思います。

 

これ程、親切丁寧な入門書はないと思います。

 

是非この映画を観る前にTVアニメか、コミックを読んでおくことをオススメします。

 

出典U-NEXT 

 

さて今回の映画は原作でいうところの、全国大会山王戦がメインになっています。

 

そして湘北高校宮城リョータの少年期からの回想が絡められています。

 

あえて、あらすじを紹介するところではないと思います。

 

果たして山王VS湘北の勝敗はいかに。

 

ぜひ観てみてください。

 

「絵が動いてる!」っと、かなりの衝撃を受けました。

 

もちろん、アニメなので絵が動いているのは、当たり前なのですが。

 

井上雄彦の描いた絵が、そのまま動いているということなんです。

 

これは絶対に観ないと解らないと思います。

 

ストーリー部分は宮城リョータの回想シーンのみで構成されているので、スラムダンクを初めて観る人はチンプンカンプンかもしれません。

 

個人的にはリョータの入院の原因が、三井にボコボコにされたんじゃなかったので、ホッとしました。

 

それはそうと、注目すべきは試合のシーンですね。

 

原作ではセリフや解説が入るのですが、映画では思い切って、ほぼほぼカットしています。

 

その分、スピード感があり、リアルな試合展開が楽しめます。

 

誇張した演出も少なく、スローモーションが少し多いくらいで、かなり演出としては思い切った作品だと言えると思います。

 

マンガ的な面白さを捨てて、バスケットボールの試合の面白さのみで勝負しているという感じです。

 

正味、試合開始直後のいきなりのアリウープ(パスを空中で受けて、そのままシュートするテクニック)には見事にハートを鷲掴みされました。

 

そして、すぐに反撃されたシーンも衝撃でした。

 

それどころか、試合のすべてが見どころ満載なのです。

 

全てのプレイ、テクニックが感動的です。

 

まるで本物の試合を観ている様に興奮しました。

 

原作で勝敗は知っているものの、かなりテンションは上がりました。

 

特に後半戦は感動ものです。

 

こんなにアニメのスポーツで感動したのは「あしたのジョー2」以来ではないでしょうか?

 

素晴らしい作品だと思います。

 

しかし、欠点がないわけでもありません。

 

キャラクターの解説がないため、宮城リョータ以外、誰が誰だか判りません。

 

かろうじて味方チームのメンバーはわかると思いますが、敵チームに至っては皆んな同じに見えます。

 

いや、河田は顔が特徴的なので分かるかな。

 

正に原作ありきの作品と言えるでしょう。

 

しかし、スラムダンクの映画としては完璧です。

 

そこは揺るがないと思います。

 

本作はスラムダンクの実質上の最終回と言っても良い作品です。

 

ですが、希望としては同じ手法で、1話目からリメイクして欲しいものです。

 

そしたら絶対に観ると思います。

 

皆さんも是非、観てみてください。

 

陰陽師0

 

 

第312回目は「陰陽師0」です。

 

出典U-NEXT 

 

2024年の日本の歴史ファンタジー映画です。

 

なんと今、我が家では空前絶後平安時代ブームなのです。

 

というのも今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」を観ているからです。

出典NHK

 

だからといって、「陰陽師0」を観たいと思った訳ではなかったのですが、

 

映画の券が余ってしまい、期限が切れそうだったので、取り敢えず観に行った次第です。

 

結果的に言うと、面白かったのであります。

 

歴史好き、ファンタジー好きの私としては陰陽師安倍晴明は興味ある人物でした。

 

私が安倍晴明を知ったのはアニメ「孔雀王鬼環祭」です。

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陰陽師の存在を知ったのは「帝都物語」となります。

 

どちらかというと、陰陽師安倍晴明は悪者という印象が植え付けられていました。

 

主役が安倍晴明というと少し戸惑ってしまいました。

 

まあ、以前の野村萬斎の「陰陽師」を観ると、イケスカない感じがあり違和感は無くなりましたけども。

出典U-NEXT

 

さて、今回は安倍晴明陰陽寮の学生だった頃の物語です。

 

陰陽寮の問題児、安倍晴明は学生でありながらサボってばかりいましたが、呪術は天才的でした。

 

そんな晴明のもとに源博雅より皇族である徽子女王(よしこじょおう)の屋敷でを起こる怪異を解決して欲しいと依頼されます。

 

この事件を機に親交を深めた晴明と博雅ですが、次第に大きな陰謀へと巻き込まれて行きます。

 

そして、陰陽寮で殺人事件が起こります。

 

果たして晴明は事件を解決できるのでしょうか?

 

真犯人は?

 

興味がありましたら、観てみてください。

 

始まり方は抜群にいい感じでした。

 

平安時代陰陽寮の解説が主だったのですが、雰囲気が伝わる映像でした。

 

陰陽寮の解説では陰陽師が如何なるものか、陰陽五行思想も解説され、とっつきは良いと思います。

 

中でも、陰陽師の使う呪術が如何にもマヤカシの類であるというニュアンスは、感心させられるものがありました。

 

前半は学園もので、言わばハリーポッター平安時代版とも言えなくもないです。

 

後半は推理サスペンスものになっています。

 

結構、地味なシーンが続くので、前半はこの映画大丈夫かな?と心配な感じもありましたが、後半はかなり盛り上がりました。

 

ストーリー的にも違和感を感じていましたが、後半でキッチリ回収されていたので、文句無しの出来栄えだったと思います。

 

ところで、問題は徽子女王の衣装ですね。

 

別に気にするところでもないのですが、

 

最近、平安時代ものをみているせいか、違和感が半端ありませんでした。

 

和装ではなく中国や朝鮮の様な衣装だったのです。

 

頭に花も乗っけてますしね。

 

いやいや、私が無知なだけで、これが正装なのかもしれませんし、徽子女王が渡来の物を好んで身につけていたのかもしれません。

 

が、しかし変です。

 

お部屋に花びらを敷き詰めたり、明らかにそこだけ文化が違っています。

 

ちょっと笑えてしまいます。

 

決して徽子女王を演じている奈緒のせいではないと思いますが、相乗効果で笑えてしまいます。

 

さて、主演の安倍晴明を演じた山﨑賢人ですが前半は特に印象も残らなかったのですが、後半ではかなりカッコよく映っていました。

 

前半の印象の薄さを演技でしているとすれば、相当できる俳優かもしれません。

 

基本的に地味な映画という印象はぬぐえませんが、平安時代陰陽師に興味がある方は是非一度、観てみてください。

 

これをみた後、他の安倍晴明が登場する作品を観ていくのも一興かと思います。

 

とりわけ、今ならNHKの「光る君へ」ですかね。

 

陰陽師0」は天皇で言うと村上天皇の時代で、「光る君へ」は円融天皇以降の時代で40年後くらいになっています。

 

安倍晴明も山﨑賢人からユースケ・サンタマリアに変貌してしまうとは、時の流れの無常を感じずにはいられません。

 

 

 

 

PLUTO

第311回目は「PLUTO」です。

2023年の日本のSFアニメです。

 

私は漫画好きではあるものの、手塚治虫作品には、ほぼほぼ手を出していません。

 

手塚治虫はどちらかと言うと、アニメ制作者としての方が印象が強かったです。

 

原作は読んだことがなく、アニメでしか知らないというところです。

 

この「PLUTO」は「鉄腕アトム」の「地上最大のロボット」のエピソードを原作としています。

 

原作はわりとあっさりとした話ですが、今作は脇役まで深く深く掘り下げた内容になっています。

 

なんたって主人公が原作ではただのヤラレ役のロボット刑事ゲジヒトなんです。

 

その他のチョイ役も深く掘り下げられ、感情移入できる作品となっています。

 

アレンジした漫画家、浦沢直樹は流石だと思います。

 

物語の舞台は近未来、ロボットに人権が与えられ人間とロボットが共存する世界。

 

山岳案内ロボット「モンブラン」が、殺害される事件が発生しました。

 

捜査を担当するのはユーロポールの刑事ロボット「ゲジヒト」です。

 

一方、ドイツのデュッセルドルフでもベルナルド・ランケという人間が殺害されました。

 

ゲジヒトは二つの事件の接点を見つけ出し、連続殺人事件として捜査を開始しました。

 

モンブランとランケには4年前の第39次中東戦争に関わっていた過去がありました。

 

やがて、関係した人間、ロボットが次々と襲われていきます。

 

その中に少年ロボット「アトム」がいました。

 

ゲジヒトは事件を解明できるでしょうか?

 

犯人は?黒幕は?

 

PLUTOとは?ボラーとは?

 

是非、観てみてください。

 

全8話です。

 

正直なところ1話目は、かなりキツイです。

 

前半は良いのですが、後半がかなり退屈で挫折しそうになりました。

 

しかし、そこで挫けてはなりません。

 

1話目のラストからメチャクチャ面白くなります。

 

素晴らしい作品であると断言しておきます。

 

そもそもアトムが登場するのが1話目のラストからなのです。

 

それまで、馴染みのないゲジヒトやノース2号のエピソードが続き、少しとっつきが悪い感は否めません。

 

そこはグッとこらえて観てみてください。

 

もしも2回観ることがあったら、ノース2号のエピソードも充分楽しめると思います。

 

テーマはかなり複雑で深いものになっています。

 

限りなく人間に近づいたロボットは、もはや人間なのではないか、というようなことも考えさせられます。

 

怒りや悲しみをプログラムされたロボットの感情は本物なのでしょうか?

 

いや、本物か偽物かは関係ないような気がします。

 

ロボットもプログラムされた以上は怒り悲しむということです。

 

そこにこのアニメの感動が隠されています。

 

物語は殺人事件を追うサスペンス風に描かれていますが、SF作品として充分な見応えがあります。

 

作中の第39次中東戦争ではペルシア王国が、大量破壊ロボットを密かに開発しているという疑惑が発端で始まっています。

 

謎の人物ゴジ博士の正体を追っていくストーリー展開は鬼気迫るものを感じます。

 

原作の浦沢直樹の作風が充分に活かされた作品となっているので、ファンの皆様は必見です。

 

一方、手塚治虫キャラの活躍も見逃せません。

 

お茶の水博士、ヒゲオヤジ、天馬博士、アトム、ウラン、ブラックジャック(声のみ)など、お馴染みのキャラが登場します。

 

このキャラクターのからみ方も秀逸だと思いました。

 

この辺りも浦沢直樹の手腕を恐ろしいほどに感じました。

 

私は手塚治虫作品に馴染みがないので、何とも言えませんが、手塚治虫ファンの方も納得する作品なのではないでしょうか?

 

手塚治虫の同エピソードでも、短いながら破壊のためだけに作られたロボットの悲哀が描かれていました。

 

そこには友情や愛情も含まれています。

 

そこを深く掘り下げ過ぎて、こんな作品になってしまったのです。

 

いや、本当に素晴らしい作品です。

 

現実世界でも人工知能がいつか感情を持つかもしれません。

 

その時、人類はロボットに愛されるのでしょうか?

 

それとも憎まれるのでしょうか?

 

是非、この作品を観てそんなことに思いを馳せてみてはいかがでしょう。

 

あ、

 

因みに、虫が苦手な人はショッキング映像があるので注意が必要です。

 

是非?観てみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シティハンター

第310回目は「シティハンター」です。

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出典・鈴木亮平のインスグラムより


2024年の日本のアクション映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


シティハンターといえば、ジャンプ作品の中でも、広く一般的に人気の高い作品として知られていると思います。

 


今回ですでに、三度目の実写化となります。

 


しかも過去作は香港映画、フランス映画となっており、国際的人気であることを証明しています。

 


かく言う私も、連載開始からファンでした。

 


初期は割とハードボイルドな作品だったのです。

 


途中からコメディ路線になってしまったことは個人的には残念でしたが、

 


作品としては大成功だったのです。

 


特にTVアニメではコメディ色がかなり濃くなっていたと思います。

 


今回の実写版は初期のハードボイルド作品になっているので、アニメから入った人は少し驚くかもしれませんね。

 


私としては、これで正解だったと思います。

 


製作陣の本気度がうかがえます。

 


続編を作る気かもしれませんね。

 


と言うのも、単純に海坊主が出てこないところが、流石だと思うのです。

 


視聴数を稼ぎたいなら、原作を無視して人気キャラを投入してくるでしょう。

 


しかし次回作にとっておくことで、作品が破綻せず、むしろ完成度が増していると感じました。

 


もちろん、原作とは随分と違ってはいるのですが、全く問題ない感じでした。

 


102分におさめるための工夫として許容しうる範囲だと思います。

 


シティハンターファンは絶対必見の映画となっています。

 


物語は新宿でスイーパー(始末屋)を営んでいる冴羽遼と相棒の槇村秀幸のもとに、人気コスプレイヤーくるみの捜索依頼がもたらされたところから始まります。

 


その頃、街では凶暴化した人間の暴力事件が多発していました。

 


一方、誕生日を迎えた槇村の妹、香は事件へと巻き込まれてしまいます。

 


果たして暴力事件の真相とは?

 


事件とくるみの関係は?

 


冴羽と槇村の運命は?

 


是非、観てください。

 


完璧な実写化です。

 


信じられないことに冴羽遼と槇村香に関しては、アニメから飛び出てきたかの様な錯覚がありました。

 


きっと皆さんも感じると思います。

 


冴羽遼演じる鈴木亮平は正にハマり役でした。

 


クールなシーンもふざけたシーンも違和感なく演じていました。

 


また、ガンアクションも極まってました。

 


槇村香を演じる森田望智も原作と違和感なく、姿も声も完璧でした。

 


衣装や車、ハンマーなど小道具にもこだわっていて、原作ファンは納得せざるを得ないでしょう。

 


また、冴羽遼の銃のテクニックも再現されており、製作陣の原作へのリスペクトを感じさせます。

 


惜しむらくはラスボスが少し物足りない感じでした。

 


しかし、最後まで楽しめる作品であることは保証します。

 


とても100分しかないとは思えない密度の高さです。

 


ボディガードの対象がコスプイヤーというところも、実は重要なアイテムを手に入れるための演出だったのです。

 


これは流石だと思いました。

 


良くできています。

 


実に良くできています。

 


しかも映画として、シティハンターとして面白いのだから、完璧です。

 


今後もシリーズ化して欲しいと思います。

 


今回はハードボイルドで、ちょいグロもありましたが、次作からコメディ路線に行っても文句はありません。

 


是非、続きを作ってください。

 


Netflixのみの配信ではありますが、皆さん是非、観てください。

 


最後にエンディングテーマですが、シティハンターと言えば、やっぱりコレっというところでキメてくれました。

 


もう流石としか言いようがありません。

 

 

 

XYZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴジラ-1.0

 

 

第309回目は「ゴジラ−1.0」

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出典 映画.com


2023年の日本の怪獣映画です。

 


アカデミー賞を取ったせいか、まだ、劇場で公開されていたので観に行って来ました。

 


ゴジラといえば、友人が「子供の頃、一緒にゴジラモスラを見に行ったよねー」と私に言うのですが、

 


私には一緒に行った記憶が一切ありませんでした。

 


きっと誰かと勘違いしているのだと思いつつも「そうだねー」などと返していました。

 


そもそも「ゴジラモスラ」は1964年の作品であり、私はまだ産まれてもいないので観ているはずがないのです。

 


だがしかし、最近になって私がドラえもんの映画作品について調べたところ、第一作目の「ドラえもん のび太の恐竜」の同時上映が「ゴジラモスラ」のリバイバルだったのです。

 


「うおー、友よー!確かに一緒に観に行ってるじゃないかー!」

 


44年ぶりに真実に辿り着きました。

 


今はその友人と連絡も取っていませんが、いつかこの真実を伝えたいと思います。

 


ちなみに、その友人は現在ではお笑い芸人として活躍しています。

 


さて「ゴジラ−1.0」はどうであったかというと、

 


ズバリ、面白かったのであります。

 


過去のゴジラ作品の中でもベスト1、2を争う作品でした。

 


ゴジラファンは必見、ゴジラ未経験の方も導入としては最高の作品だと思います。

 


これは是非、観ておくべき映画だと思います。

 


物語は1945年第二次世界大戦末期から始まります。

 


大戸島にある航空機整備場に一機の零戦が着陸します。

 


特攻隊員の敷島は機体不良のために、不時着したのでした。

 


しかしその夜、大戸島の伝説の怪獣ゴジラが整備基地を襲います。

 


からくも生き延びた敷島は空爆で焼け野原となった東京に帰り着きます。

 


そこで知り合った典子とみなしごのアキコと暮らし始めました。

 


しかし、敷島は戦後後遺症PTSDを患っていました。

 


敷島の戦争はまだ終わっていなかったのです。

 


敷島の敵とはゴジラだったのです。

 


果たして敷島は自身の戦争を終わらせることができるでしょうか?

 


敷島とゴジラの決着は?

 


是非、観てください。

 


この作品はゴジラとして、また戦後の日本を描いた作品として、非常に優秀だと感じました。

 


ストーリーの展開も非常に良かったです。

 


ただ演出が「クサ過ぎる」という感じはしました。

 


まあ、そこは好みの問題とも言えますが、監督・山崎貴の持ち味ですね。

 


戦後の東京での暮らしから復興していく様も丁寧に描いています。

 


敷島が機雷掃海の仕事に就くというのもごく自然の流れです。

 


また敷島が特攻隊員であったことも重要です。

 


戦後の軍人がどのようであったかも、垣間見れて良かったように思います。

 


主人公、敷島を神木隆之介が演じていますが、神木隆之介らしくない演技をしています。

 


悪い意味ではなく、敷島になりきっているという感じでした。

 


特に精神的に異常をきたしている感がよく伝わって来ました。

 


また典子を演じる浜辺美波さんも、戦後を力強く生きる女性像を好演していました。

 


さて、肝心のゴジラですが、小さめです。

 


初代のリメイクと考えれば、妥当な大きさと言えるでしょう。

 


私は非常に良いサイズだと思いました。

 


あまりデカ過ぎると、不思議と怖く無くなってしまうんですよね。

 


それと重要な点ですが、ゴジラが人を殺すシーンがあります。

 


ひょっとしたらゴジラシリーズでは初めてかもしれません。

 


もちろんゴジラが人を死なせるシーンは過去にもあるんですが、戦車ごとであったりビルを破壊して死なせてしまうという感じです。

 


人間を直接的に殺意を持って殺すというのは初めてかもしれません。

 


また、建築物を故意に破壊するというのも、珍しい感じがしました。

 


過去のゴジラ作品の中でもかなり人間に敵意を持っているという感じです。

 


それと、核実験によって巨大化、怪物化したという点は初代を踏襲していて良かったと思います。

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出典 映画.com

 


やはりゴジラ反核の映画でなければいけません。

 


ゴジラの火炎もかなり核爆発を意識したような映像になっています。

 


そんなゴジラを戦後のろくな武器もない、日本が倒せるのでしょうか。

 


吉岡秀隆が演じる野田博士の作戦は確かに説得力がありますが、私には実現不可能に思えました。

 


ネタバレになるので詳しくは言えませんが、フロンガスやバルーンが水圧に耐えられないはずです。

 


ま、それは置いといて、

 


過去にない対ゴジラ作戦で、面白かったです。

 


ちなみにゴジラが上陸しているシーンより、海を泳ぐシーンの方が多いのも今回は珍しいと思います。

 


ゴジラが一生懸命立ち泳ぎをしていると思うと、可愛いですね。

 


もう一つマニアを喜ばせるアイテムが、戦闘機の「震電」の登場です。

 


バトルシーンが少ないゴジラですが、震電の登場によって、ストーリーの伏線が回収され、さらに最終決戦も盛り上げる隠し球です。

 


これによって戦争映画とも呼べる作品になったと思います。

 


戦争から立ち直れない人たちが、ゴジラに立ち向かうことで、戦後復興を迎え入れられるという映画になっています。

 


怪獣パートとドラマパートが上手く噛み合ったストーリーになっています。

 


間違いなく優秀な作品となっています。

 


是非とも、観て欲しい作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十戒

 

 

 

第308回目は「十戒」です。

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1956年のアメリカの歴史映画です。



*以降ネタバレ注意です。


旧約聖書の「出エジプト記」の実写映画化です。

 


多少のアレンジはあるものの聖書の世界観を充分に再現している作品だと思います。

 


旧約聖書といえば、私も全部は読んだことはありません。

 


最初の「創世記」と「モーセ五書」くらいのものです。

 


小学校の通学時に謎のおじさんが聖書を、道ゆく生徒に聖書を配っていました。

 


漏れなく私もいただきました。

 


ファンタジーが好きな私は神話も大好きであり、聖書もファンタジーなものとして受け入れていました。

 


というのも、映画や物語には聖書を引用した作品が多く資料としてありがたいと思っていました。

 


内容としては神話的な部分と歴史的な部分とに分けられますが、私が好んでいたのは神話的な部分でした。

 


歴史的な部分は私にとって、つまらない若しくは理解が難しかったのだと思います。

 


まあ、私は歴史も好きなので、おいおいは読んでみようかな、とは思っています。

 


さて、物語は紀元前13世紀頃、エジプトのファラオは奴隷であるヘブライ人の反乱を恐れて、ヘブライ人の赤子を殺す命令を下しました。

 


というのも、ヘブライ人を解放する救世主が誕生したという占いがもたらされたからです。

 


その頃、ファラオの王女のもとにパピルスで編まれたカゴが川から流れてきました。

 


カゴの中には赤ん坊が入っていました。

 


王女は赤ん坊をモーセと名づけ、自分の子として育てます。

 


しかし、モーセは実はヘブライ人の子供でした。

 


成長したモーセはファラオの実子ラムセスと王位継承権を争うことになります。

 


しかし、モーゼの出生の秘密が暴かれようとしてしまいます。

 


果たして王位は誰のものに?

 


ヘブライ人は奴隷から解放されるのでしょうか?

 


モーセの運命は?

 


是非、観てください。

 


3時間40分と長い映画ではありますが、見応えは充分にありました。

 


衣装、セットなど素晴らしい映像美です。

 


奴隷の子が王子として育てられ、自らの出自に向かい合うという王道的なストーリーも面白いです。

 


ただ、私はモーセの判断は間違っていると感じました。

 


奴隷を解放したいのであれば、まず権力を手中に収めることが重要だと思います。

 


民族のアイデンティティとか、そういったものは二の次だと思います。

 


結果的にには良かった(?)のかもしれませんが、私には遠回りしたようにしか思えません。

 


とは言え、それでは物語になりませんので、仕方ないというところでしょう。

 


それにしても、拾った子供をバレずに実子として育てられるものでしょうか?

 


しかも王家で。

 


エジプト王家は意外と大らかなのかもしれませんね。

 


妻も側室も大勢いたようですし、子供が1人増えたくらい気が付かないのかもしれませんね。

 


そんなわけはないか。

 


エジプト王家のセティ1世、ラムセス王子、ネフェルタリ王女はモーセの被害者であるという感じがしました。

 


もちろん奴隷制度は良くないと思いますが、王家の人々は気の毒な感じがしました。

 


奴隷たちも、それはそれは悲惨な目に遭うのですが、それもモーセのせいとも言えます。

 


神がそう望んだというのであれば、仕方ないのかもしれません。

 


何にせよ、壮大なスケールの物語でした。

 


モーセを演じるチャールトン・ヘストンとラムセスを演じるユル・ブリンナーの二大名優による王位継承争いは見応えがありますし、女優陣も個性的で美しいです。

 


エジプトの様式美がうかがえてとても良い作品だと思います。

 


十戒と言えばクライマックスの海が割れるシーンですが、なかなかに凄い迫力の映像となっています。

 


まあ、合成とか今観ればチャチかもしれませんが、私はこちらの方が良いと思います。

 


CGでリアルになると迫力を感じない気がします。

 


ラストはラストでめちゃくちゃな感じがして、愕然とします。

 


モーセもどちらかというと、ツイてない人生だったと思います。

 


まあ、ある種の自己犠牲と考えれば預言者に相応しいのかもしれません。

 


とにかく、モーセの生涯をここまで映像化できた作品は他にはないでしょう。

 


聖書に興味のない人も是非、観てみてください。

 

 

 

 

ロッカーズ

 

第307回目は「ロッカーズ」です。

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2003年の日本の音楽映画です。

 

*以降激しくネタバレ注意です


皆さんは「TH eROCKERS」というバンドをご存知でしょうか?

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実は私もほとんど知りませんでした。

 


強いて言えばヴォーカルが俳優の陣内孝則であるということだけです。

 


私からすると彗星の如く突如現れた俳優、陣内孝則ですが、

 


そもそも「俳優の」という認識が間違いだったのです。

 


陣内孝則はミュージシャンから俳優に転向したのでした。

 


陣内孝則本人も「音楽で食えないので、仕方なく俳優をやっている」と言っているそうです。

 


映画によるとロッカーズはロックバンドというよりもパンクバンドという感じです。

 


売れなさそうではありますが、私好みの音楽でした。

 


かく言う私も自分はヘヴィメタルだと思っていたのですが周りからすると、どうやらパンクらしいです。

 


私も真面目に音楽を続けていれば、デビューくらいはできたのではないかと思ったりしていました。

 


しかしロッカーズを見ていると、最初から努力も根性も情熱も足りなかったのだと思い知らされました。

 


そんなロッカーズはカッコいいです。

 


こうしてみると、どちらかと言えば三枚目俳優の陣内孝則もカッコ良く見えてきました。

 


私からすると偉大なミュージシャンの1人です。

 


さて、物語は博多から始まります。

 


売れないアマチュアバンド、ロッカーズのヴォーカルであるジンはバンドのテコ入れを考えていました。

 


そこで、ギタリストのオーディションを行います。

 


ギタリストのタニが新しく加入したロッカーズはそこから快進撃を始めます。

 


しかし、タニは眼の病気が進行し、失明の可能性がありました。

 


果たして、ロッカーズはデビューできるのでしょうか?

 


ジンとタニの運命は?

 


是非、観てみてください。

 


バンド好きの私としては、最高に気持ちのいい映画でした。

 


ただ、ラストだけは受け入れがたい結末になっています。

 


実話が元になっているので、仕方ないのかもしれませんが、非常に残念です。

 


しかし現実から眼を背けてはいけませんので、受け入れるしかありません。

 


さて、ロッカーズのメンバーはそれぞれ個性的で面白いです。

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ヴォーカルのジンはもちろん陣内孝則のことですが、中村俊輔が演じています。

 


いかにもロックンローラーという感じでカッコ良く、そしてちょいダサでもあります。

 


でも、ちょっと憧れますね。

 


タニ役は玉木宏で、クールで熱いギタリストです。

 


いつもスケールの練習をしていて、そのストイックさがうかがえます。

 


サイドギターのコー役は塚本高史で、ユニセックスで占い好き。

 


ベースのガクは佐藤隆太で、薬漬けです。

 


ドラムのモモ役は岡田義徳で、女好きです。

 


素晴らしい最高のメンバーです。

 


ライブシーンも多めで、音楽映画としてかなり上質な映画となっています。

 


その他にも、有名キャストが名を連ねているので、是非観てください。

 


陣内孝則の人望がうかがえます。

 


サクセスストーリーとして見応えがあります。

 


歌詞はちょっとダサめですが、曲はかっこいいので「TE eROCKERS」のCDを購入したいと思います。

 


是非、観てみてください。

 


もしもラストが受け入れられなかったら、あなたはロッカーズを愛しているに違いありません。