カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

告白

 

 

第169回目は「告白」です。

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2010年の日本のサスペンス映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


私にはドラマなどで、どうしても嫌いというか、納得のいかないシーンがあります。

 


例えば、刑事ドラマで3件の連続殺人事件が起こったとします。

 


犯人は殺された恋人の復讐をしようとしています。

 


法の目をかいくぐった恋人の仇を自分の手で裁こうというのです。

 


そして犯人は、最後の復讐相手を追い詰めます。

 


犯人は銃を復讐相手に向けていますが、なかなか撃ちません。

 


刑事ドラマで、よくあるシチュエーションです。

 

 

 

「今撃てよ!すぐ撃てよ!早く撃てよ!」

テレビの前で私は声援を送ってしまいます。

 


そこにギリギリ刑事がやってきます。

 


刑事

「やめろ!そんなことをしても、恋人は喜ばないぞ!」

 


「騙されるなー!撃ってしまえー!」

家族はドン引き。

 


しかし、犯人は銃を降ろしてしまいます。

 


刑事はしたり顔で犯人を逮捕します。

 


ドラマはここで一件落着となります。

 


犯人は逮捕されてめでたしめでたし。

 


しかしその後、犯人はどうなるでしょうか?

 


犯人はすでに3件の計画殺人を犯しています。

 


おそらく死刑、情状酌量しても無期懲役でしょう。

 


一方、復讐相手は証拠がないので立件できそうにありません。

 


つまり、正義が法によって裁かれ、悪が生き残る結末です。

 


例えばですが、そんなドラマ観たことありませんか?

 


仇が必ず法で裁かれるとは限りません。

 


私は復讐を成し遂げるべきだと思います。

 


それから罪を償えば良いと思います。

 


本来ならば法に則った復讐を考えるべきですけど、法で裁けないのならやむを得ません。

 


ヤってしまいましょう。

 


と、言いたいところですが、復讐は出来ないでしょう。

 


それが現実です。

 


だから、せめてドラマの中では復讐は成し遂げられるべきだと思います。

 


ところで、金田一耕助は優秀な探偵だと思います。

 


いつも、ほぼ復讐が完結してから、事件の真相をあばくので。

 


ひょっとしたらワザとかもしれないです。

 


横溝正史も復讐は完遂されるべきだと思っているかもしれません。

 


さて、映画「告白」ですが、壮絶な復讐の物語でした。

 


とある中学の終業式の日、担任教師の森口悠子はクラスの生徒にある告白を始める。

 


悠子はシングルマザーでしたが、娘を亡くしてしまいました。

 


警察は事故と判断しましたが、悠子は犯人を突き止めました。

 


それは悠子のクラスの生徒でした。

 


悠子は警察に訴えることはしませんでした。

 


何故なら、犯人は14歳で少年法に守られ裁かれないからです。

 


ところで、何故悠子は結婚しなかったのか。

 


悠子の婚約者はHIVに感染していたために結婚を断念したそうです。

 


悠子は婚約者の血液を犯人の牛乳(紙パック)に混ぜておいたと告白します。

 


クラスはパニックにおちいりました。

 


悠子の復讐のが始まりました。

 


果たして犯人の生徒の運命は?

 


悠子の復讐の行方は?

 


是非、観てみてください。

 


この映画は今年観た映画の中では1番重たい内容だった様に思います。

 


少年による殺人、少年法の在り方、復讐の是非など考えさせられる点が凝縮されています。

 


個人的に私は少年法は不要だと考えています。

 


ついでに言えば39条も不要ですが。

 


考えさせられる映画です。

 


世の中には法でで裁けない、もしくは裁かれない事件が多々存在しています。

 


イジメやパワハラなどもその部類でしょう。

 


そんな世の中に疑問を抱いている人には是非観て欲しいです。

 


私は犯人の少年には全く同情しませんでした。

 


しかし、復讐でここまでやられるとは、想像もできませんでした。

 


それで行けば私の考えなど、序の口の可愛いものでした。

 


非常に恐ろしい映画だった様に感じました。

 


これで、ちょっとは犯人の中学生も反省するでしょうか?

 


私はそうはならないと思います。

 


いっそ中学生の方に、是非観ていただきたいです。

 


この映画で、命の重さと責任の重さを感じとって欲しいです。

 


命の大切さを知ることで、真っ当な人生を歩むことができるでしょう。

 


なんてね。

 

 

 

寄生獣

 

 

第168回目は「寄生獣」です。

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2014年の日本のアクションホラー映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


人間に寄生し頭部を乗っ取ってしまう寄生生物「パラサイト」と人類の戦いを描いた作品。

 


私はこの作品が結構好きです。

 


ホラーと言ってもあまり怖くはありません。

 


グロいと感じる描写の方が多いと思います。

 


話の展開が割と大雑把ですが、是非最後まで観て欲しいです。

 


物語は海中から現れた謎の卵が孵化するところから始まります。

 


卵からかえった幼虫はある人間の耳から頭部に侵入しました。

 


また別の家で、主人公の泉新一は幼虫の頭部への侵入をなんとか阻止しました。

 


幼虫は新一の右の手から体内に侵入しましたが、途中で動かなくなりました。

 


翌朝、頭部を乗っ取られた男性は、頭が変形し、妻を食べてしまいました。

 


一方の新一は右手が変形し、喋る様になりました。

 


右手は「ミギー」と名乗り新一と共存を提案してきます。

 


脳を奪った寄生生物は人間を食べる共食い専門の生物に変わってしまいました。

 


その事実を知るものは新一と新一の右手だけです。

 


果たして新一とミギーの運命は。

 


寄生獣とは何者なのか?

 


是非、観てみてください。

 


パラサイトは人間を食べるので、最初はゾンビもののようですが、どちらかと言うとヴァンパイアものに近いです。

 


知能が高く文字や言葉を学習して、人間に擬態します。

 


見分けがつかないパラサイトを新一とミギーだけが探知することができます。

 


なかなか面白い設定の連続です。

 


パラサイトに寄生された人間の頭部は変幻自在で別人の顔になったり触手の様に伸縮したりします。

 


人間の顔がバッカルコーン!と割れて、人間を食べるシーンは衝撃的でした。

 


残酷なシーンは多いですが、テーマは命や母親というものになっています。

 


ただ単に、新一とパラサイトの戦いだけではなく、人類全体の命を考える作品になっていると思います。

 


チョット大袈裟かもしれません。

 


一方、パラサイト側に最も高い知性を持つ田宮良子が現れます。

 


田宮良子はパラサイトでありながら生前の田宮良子の職業を引き継いで、教師となっています。

 


田宮良子はパラサイトとは何者なのか追究していきます。

 


共喰い専門のパラサイトの未来について、考えています。

 


この田宮良子も珍しいキャラクターで、私は結構好きになりました。

 


パラサイトは基本無表情なのですが、そこがまた面白い。

 


そして、そこから感動が生まれるなんて想像外でした。

 


私は意外にも、この映画で感動してしまったのです。

 


多少、不自然な展開や、説明不足の感じはありましたが、大きなテーマは受け取ったような気がします。

 


この映画は「寄生獣」「寄生獣 完結編」の二部作になっています。

 


前半でつまらなかった人も完結編まで観て下さい。

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面白いシーンは完結編に詰まっています。

 


前半は言わば、導入部分にすぎません。

 


勝負は後半です。

 


寄生生物と人間、どちらが強いのか見極めてください。

 


ふと思い出しましたが、私が子供の頃に「エイリアン1/2」という漫画がありました。

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それはミギーにちょっと似ていました。

 

orange -オレンジ-

 

 

第167回目は「orange」です。

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2015年の日本の恋愛映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


私はあまり恋愛ものには興味がわかないのですが、この映画はほんの少しだけSF要素があるので、他の作品とは一味違う作品になっていると思います。

 


舞台は長野県松本市

 


主人公、高宮菜穂は高校2年生になった始業式の日、差出人の名前が自分の名前になっている手紙を受け取った。

 


10年後の自分から届いた手紙だった。

 


菜穂は最初、誰かのイタズラかと手紙を信じなかった。

 


しかし、手紙に書かれた通り、成瀬翔が転校生としてやってきた。

 


それからも手紙に書かれたことが予言通りに的中し、菜穂は手紙を信じる様になる。

 


10年後の菜穂は、人生に後悔しており、16歳の菜穂に手紙を送って来た。

 


菜穂に後悔を回避させ、未来を変えるために。

 


果たして菜穂は未来を変えることができるのでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


この映画は、柄にもなく感動してしまいました。

 


未来のことが分かっていても、そうそう未来は変えられない様です。

 


139分と少し長めの映画ですが、体感では非常に長く感じました。

 


退屈というわけではないのですが、始業式から、文化祭や体育祭など高校生活一年分を追体験する様な感覚です。

 


学生って沢山やることが、あるんだなーって感じです。

 


恋愛映画って、大体の作品がじれったい内容だと私は思います。

 


大体の主人公がオクテで、なかなか進展しないのが王道パターンですよね。

 


この映画は未来のことが先に分かっているので、じれったさ倍増です。

 


菜穂もオクテ中のオクテでした。

 


翔もオクテで、なんかチャラい感じもするし、恋愛ものとしては少しモヤモヤする場面もありました。

 


もう1人の主人公、須和弘人との三角関係もあり結構、重たく感じました。

 


悪い意味ではなく、考えさせられるストーリーなのです。

 


須和がなかなか良いやつなので、その分だけ余計に辛い気がします。

 


簡単に未来を変えてはいけない気がします。

 


誰かの幸せが叶うと、誰かの幸せがが奪われてしまうのです。

 


私が須和なら、いっそ翔を……。

 


そうならないところが須和の良いところです。

 


奪われた人には別の幸せが待っていることを祈っています。

 


さて、菜穂の後悔とは、翔の持つ後悔を解消してあげることが出来なかったことなんですが。

 


人の後悔とはそうそう拭い去ることはできないのでしょう。

 


それほど翔の後悔とは辛く苦しいものでした。

 


恋愛ものかと思えば、意外とヘヴィな内容でした。

 


学生時代とかに後悔を残している人は感動するかもしれません。

 


タイトルにかけているのでしょうが、画面上が割とオレンジ色の場面が多いです。

 


そこがまたノスタルジックな感傷を呼び起こしている様な気がします。

 


なかなか良い作品だと感じました。

 


私にも、あーしてたら、こーしてればと思うことは沢山あります。

 


私が過去に手紙を送るならば、ダンボール一杯で送らなければならないでしょう。

 


それでも怠惰で自己中な私は、同じことを繰り返してしまうんじゃないでしょうか。

 


その反面、今の自分も嫌いではないので、そのままでもいいかなと思います。

 


逆に、今の自分から手紙が来たらどうでしょうか。

 


私は未来から手紙が来ないことを祈っています。

 


未来から手紙が来るということは重大な後悔があるということでしょう。

 


私は未来の自分を後悔させない様に頑張って生きてみたいと思います。

 


だから私は

「未来の私よ、黙って見てな!」

と言っておこうと思います。

 


自分の未来は自分で決めたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっ、ロト7のあたり番号だけ送って下さい。

宇宙兄弟

 

 

第166回目は「宇宙兄弟」です。

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2012年の日本の宇宙開発映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


宇宙開発ものといえば、ほぼアメリカの作品しかないので、アメリカの独壇場と言って良いでしょう。

 


しかし「宇宙兄弟」は本格的な宇宙開発ものなのです。

 


日本で、宇宙開発ものがあるのは、なんとなく嬉しい気持ちがあります。

 


舞台は2025年の近未来です。

 


少年時代にUFOを目撃した南波六太と弟の南波日々人は将来、2人で宇宙飛行士になることを約束した。

 


約束通り、日々人は宇宙飛行士となったが、六太は車のデザイナーになっていた。

 


ひょんなことから会社をクビになってしまった六太の元にJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)から封書が届く。

 


それは宇宙飛行士選抜試験の書類審査通過の通知であった。

 


六太は日々人との約束を叶えるべく、宇宙飛行士選抜試験に挑戦する。

 


果たして六太と日々人は共に宇宙に行くことができるのでしょうか?

 


是非、一度観てみてください。

 


これはなかなか良質の映画です。

 


日本で、こんな宇宙開発ものが作れるなんて考えもしませんでした。

 


流石にアメリカのNASAのシーンもありますが、日本の宇宙飛行士選抜試験がメインとなっているので、ほぼ舞台は日本です。

 


日々人は先に月に行ってしまいます。

 


月と日本とで話が同時進行して行きます。

 


流石に試験だけの内容だと、つまらなくなりそうなので、上手い脚本だと思います。

 


月面のシーンも綺麗で、見応えがあります。

 


少年時代の話も割と盛り込まれており、宇宙に憧れる心や、挫折なども描かれます。

 


私の少年時代には宇宙飛行士になりたいと言った友達はいませんでした。

 


ちょうど、宇宙開発が停滞してた頃で、宇宙飛行士に憧れる様な事象がなかったのかもしれません。

 


私は宇宙には興味を持っていました。

 


ボイジャー計画なんかにはロマンを感じました。

 


しかしチャレンジャー号の爆発事故で、完全にビビってしまった感はあります。

 


宇宙飛行士になりたいなんて、私にはとても言えませんでした。

 


スペースシャトルは好きでした。

 


何というか、未来感もあり大気圏に突入して、きちんと着陸出来るというところが、宇宙が身近になったイメージがありました。

 


それでも私は怖いですけど。

 


この映画は宇宙開発に興味を持つには丁度良い映画だと思います。

 


宇宙飛行士になりたいと思ったことがある人は是非、観てみてください。

 


まだ間に合うかもしれません。

 


最年長宇宙飛行士ジョン・グレンは77歳で宇宙に行ったそうなので、チャンスがあるかもです。

 


お子様が観れば宇宙飛行士に憧れるかもしれません。

 


そう言えば、映画に出てくる謎のアメリカ人はバズ・オルドリン本人だそうです。

 


バズ・オルドリンはアポロ11号の操縦士で2番目に月に降り立った人物です。

 


ホンマもんのオルドリンが出てるとは、ちょっと感激です。

 


私はアポロ11号の時は、まだ生まれていませんでしたが、ロマンを感じます。

 


当時は世界中が大騒ぎだったそうですが、そんな感動を味わってみたいです。

 


昨年辺りから、再び月を目指すような動きになっているそうですが、楽しみですね。

 


映画の中は少し未来なので、日々人は月面基地建設を行なっています。

 


現実でもそんな未来が遠からずやってくるかもしれませんね。

 


不思議ですね。

 


月に行ったって何もないのに、莫大な予算と命を懸けて行くのだから。

 


何もないけど、何かあるんでしょうね。

 


夢とかロマンとか。

 


想像もつきません。

 


もちろん月の地質や、いろいろ調査することがあるのは解りますけど。

 


映画の中にロケットの打ち上げシーンがあり、美しさを感じます。

 


迫力は映画「アポロ13」の方が上かもしれませんが、ロケットの打ち上げシーンは何故か感動してしまいます。

 


試験や訓練のシーンは地味かもしれませんが、宇宙開発映画の見どころでもあるので、楽しめると思います。

 


その辺りも日本的な心情が表現されていて、洋画にはない良さがあると思います。

 


オープニングとエンディングの映像、音楽が凄く良かったです。

 


ガガーリンとかが出てきたりして、宇宙開発に詳しい人は存分に楽しめると思います。

 


是非観てみてください。

 


最近はどんどん邦画の質が向上しているように感じました。

 


夢を諦めていた人が、再び夢に挑戦する姿がカッコ良い。

 


月面に日の丸の旗が立つ日も近いかもしれませんね。

 


直近の宇宙開発ではJAXA小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還したというニュースがありました。

 


凄いですね。

 


JAXAの皆さん、頑張ってください。

 

 

悪の教典

 

 

第165回目は「悪の教典」です。

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2012年の日本のサイコスリラー映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


公開当時は結構話題になっていたように記憶しています。

 


私は「悪の教典」というタイトルに魅力を感じて、いつか観たいと思っていました。

 


人間はサイコパスというものに興味を惹かれ、目が離せなくなってしまうものなのです。

 


まあ、私だけかもしれませんけども。

 


主人公は人気者の英語教師、蓮実聖司。

 


前半は集団カンニングを取り締まったり、悪徳教師から生徒を守ったりと奮闘する。

 


後半は蓮実聖司のサイコパスな本性があらわになる。

 


薄々、蓮実の正体に気づきはじめた生徒たちは蓮実とどう対峙して行くのか?

 


興味のある人は観てみてください。

 


*以降激しくネタバレです。

 


残念ながら、私はこの映画を基本的にはお勧めしません。

 


正直なところ、あまりいい出来の映画ではありませんでした。

 


主人公がサイコパスというところが、先ず共感を呼ばない。

 


普通なら蓮実と戦う生徒を主人公にもって来るべきなのだと思います。

 


しかし、そうではないので、むしろ「サイコパスの気分を味わおう」という作り手の意思が感じられます。

 


後半、殺戮シーンなので何を見せたいのか一目瞭然です。

 


確かに、そういう楽しみ方もあるかと思います。

 


しかし、蓮実聖司はシビれるほどのサイコパスではなかったのです。

 


ジョーカーやハンニバル・レクター博士に比べれば、遥かに小物という感じです。

 


前半は非常良い出来でしたが、後半は短絡的でガッカリしました。

 


前半にもっと時間をかけて、生徒たちに焦点を当てて、後半の殺戮シーンをスピーディーに短くした方が盛り上がったと思います。

 


そうです。

 


この映画は殺戮シーンを楽しむ映画なのです。

 


そういう映画は珍しくありません。

 


例えば映画「コマンドー」は後半、主人公がテロリストを殺しまくる映画です。

 


しかし、敵は殺されて当然の連中なので、安心して観ることができます。

 


正に殺戮シーンを楽しむ映画と言えます。

 


悪の教典」はその真逆です。

 


罪のない学生が次々と殺されてしまいます。

 


観る人は殺される側の視点で、恐怖を楽しむか。

 


あるいは蓮実聖司の気分で殺戮を楽しむかのどちらかだと思います。

 


しかし、残念な事に生徒は存在が希薄で、感情移入できず、蓮実聖司にも共感できないという事態になってしまいました。

 


蓮実聖司は知能の高いサイコキラーのはずが、後半はあまり頭が良いとは言えません。

 


全く無駄な殺戮に感じました。

 


そこがこの映画の見どころと言ってしまえば、それまでですが。

 


悪の教典」などという大層なものではなかったです。

 


まあ実際の銃乱射事件とかは、こんな感じなのでしょうか。

 


小悪党が主人公の映画を見慣れていないので、ちょっと困惑しています。

 


やっぱり主人公は正義であるか、共感できる登場人物がいた方が良いですね。

 


映画の公開前、特別上映会にてAKB48のメンバーが40名ほど招待されました。

 


その中で大島優子が「この映画が嫌いです」と堂々と記者会見で発言したことが話題になりました。

 


正直で良いと思います。

 


「こんな人の命を大事にしない映画を作ってなんになるんだ!」と私も言いたいところですが、そんな映画ゴロゴロありますよね。

 


そして往々にして、そういう映画を楽しんでいるわけです。

 


思えば、ガミラス本星には民間人がいたかもしれないし、ゴジラに踏み潰された人だって大勢いるでしょう。

 


この映画は非常に困った作品です。

 


なんか、イケナイものを観てしまったような気分になってしまいました。

 


映画を楽しめなくなってしまいそうです。

 


観るんだけどね。

アイ アム ア ヒーロー

 


第164回目は「アイ アム ア  ヒーロー」です。

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2016年の日本のゾンビ映画です。

 


私は割とゾンビ映画が好きです。

 


しかし、ゾンビ映画はほぼ同じような内容ばかりなので、ハードルの高い作品だと言えます。

 


一定のゾンビファンがいる為、収益の見込みが立つので、作りやすいのでしょう。

 


巷には膨大な量のゾンビ映画が氾濫しています。

 


それだけに、オリジナリティを出すのが難しいのではないでしょうか。

 


ゾンビ映画を観るのは好きですが、特別面白かったという作品にはなかなか出会えません。

 


そんな中、珍しく日本のゾンビ映画が出てきました。

 


舞台が日本というだけで雰囲気も違いますし、一味違う作品に仕上がっていたと思います。

 


主人公は漫画家のアシスタントをしている鈴木英雄。

 


言いたいことも言えない様な気弱な性格です。

 


自身も漫画家を目指しているが、作品は認めてもらえずに15年が経過している。

 


恋人にも愛想を尽かされ、アパートを追い出される。

 


手にしているのは趣味のクレー射撃用の銃だけだった。

 


一方、街中では「噛みつき事件」が多発していた。

 


次第に英雄の周りでも「噛みつき事件」が起こり、人々がゾンビと化して行く。

 


英雄は逃げ惑うなか、女子高生の比呂美と出会い行動を共にします。

 


果たして英雄たちはゾンビから逃げ切ることができるのでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


日本のゾンビ映画なんて大したことはない。

 


と、直感で思う人も多いのではないでしょうか。

 


私も正直なところ、あまり期待はしていませんでした。

 


でも、シンプルでよく出来た作品だと感じました。

 


ゾンビ映画の基本中の基本を押さえた作品になっています。

 


その分、展開的にはオーソドックスで、ありきたりかもしれません。

 


ショッピングモールに立て篭もったり、そこを仕切っている嫌な奴がいるなど、定番の設定です。

 


唯一他の映画に勝っているところは、英雄の銃の扱いです。

 


そのシーンだけで、他のゾンビ映画とは一線を画する作品となっています。

 


英雄のキャラクターだけでもっている映画とも言えます。

 


ゾンビ映画が好きな人は、是非観てみてください。

 


画面が明るめで、あまり怖さは感じませんでした。

 


徐々にゾンビの世界に移り変わる演出はなかなか迫力があって良かったです。

 


この映画で初めて主演の大泉洋をカッコいいと思いました。

 


ゾンビものでありながら、ヒーロー映画でもあります。

 


その辺りも日本的と言えなくもないです。

 


それに引き換え、ヒロインの比呂美の活躍が、乏しいと感じました。

 


せっかくの設定が活かされずに終わってしまった感じがします。

 


もし続編が作られるのであれば、比呂美の設定も活きてくるのでしょうが、少々残念な気がします。

 


もう作られる事はないでしょうが、続編があれば観てみたいと思います。

 


私の中ではゾンビ映画ランキングの上位に食い込む作品です。

 


そう言えば、ゾンビの中にお笑い芸人メイプル超合金カズレーザーと安藤なつがいたらしいですが、気づきませんでした。

 


おったかな?

 

 

 

アオイホノオ

 

 

 

第163回目は「アオイホノオ」です。

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2014年の日本のテレビドラマです。

 


私は若い頃、バンドを組んでいたことがあった。

 


バンドと言っても、ライブはしたことがないし、大した実力もなかった。

 


スタジオを借りて、ジャムセッションする程度だった。

 


私は、メンバーの中でも特に下手っぴーだった。

 


しかし、私の心は一流ミュージシャン気取りだった。

 


バンドを組んでいるだけで、まるで世界の頂点に立ったような気分になっていたのだ。

 


当時の私は自己陶酔で、べろんべろんに酔っ払っていたのである。

 


そんなある日、ストリートミュージシャンのミノルが駅前で演奏していた。

 


ミノルは頻繁に出没していたので、私はその度にミノルの演奏を聴いていた。

 


「ここいらのストリートミュージシャンの中ではミノルが1番の実力者だな」

私は音楽の評論家でもなんでもないが、ミノルの演奏を高く評価していた。

 


「今は誰も気付いてない様だが、私だけは認めてあげよう!」

私は上から目線で、ミノルの演奏に耳を傾けた。

 


ところが…………

 


ミノルがいつもと違う曲を演奏し出した。

 


ミノルのかき鳴らしたギターに合わせて夕暮れが、ミノルを茜色に照らし出した。

 


「♫届いてくれると良いな〜♪」

ミノルが歌い出す。

 


私はその瞬間にミノルに激しく感動させられてしまった。

 


私はその場を逃げ出した。

 


私のほんの少し前を歩いていると思っていたミノルと私の差は、天と地の差があるということに気付かされた。

 


私の実力からすると、月ほど遠くの差があったかもしれない。

 


私のプライドはガラガラと音を立てて崩れ去り、足音はまるで薄氷がピシピシと割れるようにも聞こえた。

 


私は電車に乗り込み、泣きながら帰路へとつきました。

 


「あんなに凄い歌を歌う奴が野に埋もれているなんて、私なんかは芽が出るはずがないじゃないか!」私はミノルの歌を脳内リピートしながら、敗北を噛み締めた。

 


遠い昔の話です。

 


私の話はこれくらいにして。

 


さて、映画「アオイホノオ」の話ですが、この物語は漫画家「島本和彦」の自伝的映画です。

 


主人公の名前は焔(ほのお)モユルとなっていますが、ほぼ実話だそうです。

 


自信過剰なモユルがライバルたちに打ちのめされながら、漫画家を目指す物語です。

 


舞台は1980年の大阪芸術大学です。

 


大学に入学したモユルは根拠のない自信に満ち溢れていました。

 


ところが同級生に、のちに「新世紀エヴァンゲリオン」の監督となる庵野秀明がいました。

 


圧倒的な実力の差を見せつけてられ絶望するモユル。

 


さらに、のちに漫画家になる矢野健太郎にもけちょんけちょんに貶される。

 


漫画の持ち込みをしても集英社にも小学館にも相手にされない。

 


しかし、モユルはくじけてもくじけても立ち上がる炎の男だった。

 


果たして焔モユルは漫画家になることができるのだろうか?

 


是非、観てください。

 


特に漫画家、アニメ監督を目指している人、は絶対に観た方が良いと思います。

 


大阪芸術大学を目指す人も観た方が良いでしょう。

 


何よりも恐ろしいことに、ほぼ実話であるので、現実を見せつけられます。

 


私も若い頃に庵野秀明岡田斗司夫の逸話を聞いたことがありますが、それと映画の内容も一致します。

 


そのほか、手塚治虫松本零士石森章太郎高橋留美子あだち充などについても語られているので、当時の漫画業界を知ることができます。

 


この作品は天才たちの伝記なのです。

 


漫画やアニメが好きな人には絶対にお勧めです。

 


恋愛ものとしても楽しめます。

 


かなりふざけた内容ではありますが、ほぼ実話だと信じて観て下さい。

 


打ちのめされても、立ち上がる焔モユルの姿に感動するでしょう。

 


ところで、すっかりストリートミュージシャンのミノルに打ちのめされて腐っていた私ですが…………。

 


ある日、テレビからあのメロディが流れてきました。

 


私は直ぐにミノルの歌を思い出しました。

 


しかしテレビに映っていたのはMr.Childrenでした。

 


私がミノルのオリジナルソングだと思っていた歌はMr.Childrenの「sign 」という曲だったのです。

 


「カヴァーなら、カヴァーって言えよ!」

 


私はミノルに負けていない!

 


Mr.Childrenには負けているが、ミノルには負けていないぞ!

 


本当はミノルにさえ遠く及ばないのであるが、私はかろうじてなけなしのプライドを取り戻したのである。

 


その時の私は焔モユルと共感するものがあった。

 


そんなこんなで私は本当に漫画家になった島本和彦を尊敬している。

 


ついでにミノルも尊敬している。

 


それから数年後、私は2度目の敗北感を味わうのだが、それはまた別のお話です。