第269回目は「太陽がいっぱい」です。
出典U-NEXT
1960年のフランス・イタリア合作のサスペンス映画です。
*以降ネタバレ注意です。
この映画を観るのは初めてでしたが、私の記憶では小学生の時に先生が、あらすじを教えてくれたはずです。
とても小学生に聞かせるような内容ではないのですが。
「太陽がいっぱい」に関しては凶悪なシーンをぼやかして話してくれたようです。
そのせいか私は話をすっかり誤解していました。
私の記憶では主人公トム・リプリーが大金持ちの友人フィリップ・グリーンリーフになりすまして、イタリア旅行を満喫する話だったはずです。
実際のストーリーはもっと犯罪めいていて複雑です。
私は先生の話から想像で、イタリアの海にヨットで漂い、海面が太陽に反射して輝いている風景を想像していました。
ところが、それは実際には恐ろしいシーンでした。
実際の物語はローマから始まります。
大富豪の御曹司フィリップとトム・リプリーは豪遊生活を送っていました。
本来リプリーはアメリカに住むフィリップの父親に、フィリップをアメリカに連れて帰るように依頼されてきたのでした。
しかしリプリーはフィリップと意気投合して、一緒に放蕩生活を送る様になってしまいました。
ミイラ取りがミイラになるとはこの事です。
フィリップにはマルジュという婚約者がいましたが、女遊びもしていました。
その上リプリーとも遊び呆けていたので、マルジュは面白くありませんでした。
フィリップはマルジュとの関係回復のためにリプリーを切り捨てることに決めました。
リプリーは貧乏で孤独な青年でした。
何もかも持っているフィリップに憧れと嫉妬を抱いていました。
ところが、リプリーはフィリップが自分を見下している事に気がついてしまいます。
そして、リプリーはフィリップになり変わる計画を思い付きます。
果たしてリプリーの計画は達成されるのでしょうか?
是非、観てみてください。
ちょっと古い映画なので、敬遠するかもしれませんが、古いながらも素晴らしい作品でした。
時代を感じさせるオシャレな映画です。
リプリーのなりすまし計画も知的で、観ていて高揚感が湧いてきます。
当然、犯罪なのですが応援したくなります。
私も他人のお金で豪遊したいものです。
あとマルジュとリプリー、フィリップの三角関係?も見どころです。
フィリップから、全てを奪ってリプリーが「太陽がいっぱいだ」と言って悦に入っている瞬間が忘れられません。
最後の最後まで楽しめる良い作品でした。
貧富の差があっても仲良くしましょうという教訓の映画です。
さて、この映画は1999年に「リプリー」というタイトルでリメイクされています。
出典U-NEXT
こちらの方が、原作に忠実なのだそうです。
大筋はほぼ同じですが、断然「太陽がいっぱい」の方が面白いです。
「リプリー」の方が衝動的で計画性に乏しく知的エッセンスが感じられません。
そして、リプリーが同性愛者です。
事件の原因が同性愛者の心情に起因しているので、むしろ人間味があると言っていいでしょう。
「太陽がいっぱい」の方が無神経で冷酷な様な気がします。
全く違うテイストになっているので、見比べることをオススメしますが
どちらかだけを観るなら「太陽がいっぱい」をお勧めしておきます。