第268回目は「シン・ウルトラマン」です。
2022年の日本の特撮映画です。
*以降ネタバレ注意です。
子供の頃、私は特撮が大好きでした。
もちろん、ウルトラマンも大好きでした。
何が好きかっていうと、怪獣や宇宙人が好きでした。
特に宇宙人がどんな考えを持っているのか、非常に興味がありました。
ただの侵略者ではなく独自の価値観を持っていたりして、私は宇宙人の言葉を聞くのが大好きでした。
そう思うようになったのは、ウルトラセブン以降ですけどね。
実は初代「ウルトラマン」にはバルタン星人、ザラブ星人、メフィラス星人くらいしか出てきません。
厳密にはダダとかゼットン星人もいますけど、あまり思想的なものは感じませんでした。
ウルトラセブンには宇宙人が沢山出てくるので、本当に面白いです。
振り返って、メフィラス星人のユーモアさに気がついたというところです。
毎週、新しい宇宙人や怪獣が登場するウルトラマンは、特撮の革命的作品だと思います。
さて、新作の「シン・ウルトラマン」ですが、ほぼ初代ウルトラマンのリメイクとして制作されています。
ウルトラセブン的な要素も見え隠れしていました。
初代の5話分のエピソードを連続ものにアレンジしたストーリーになっています。
その分、ダイジェスト的な印象があるかもしれません。
登場人物などは新たに設定され、私たちが知っているウルトラマンの世界とはパラレルワールド(作中ではマルチヴァース)になっているようです。
ウルトラマンが好きな人は是非、観てください。
ウルトラマンをよく知らない人にも、入門編として、充分楽しめる作品だと思います。
しかし、
必ずしも映画として好評価できるかと聞かれると、残念ながら難しいと言わざるを得ません。
ウルトラマンの映画としては最高ですが、
普通の映画としては少々物足りないと思います。
若干の尻すぼみ感があります。
キツく言えば、終盤が退屈です。
前半は音楽や視覚的にも、盛り上がっていたのに、後半はどうも単調な感じがしました。
原因としては怪獣パートは充実しているのに、肝心のドラマパートが弱いということではないでしょうか。
斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊など優秀な俳優を起用しているにもかかわらず、見せどころがほとんどありません。
そこは非常に残念に思いました。
あと30分くらいは主人公やヒロインのコミュニケーションを描いた方が、感情移入もできて良かったと思います。
ですが、怪獣娯楽映画だと割り切って制作されたと言われれば、納得するしかありません。
確かに怪獣に絞って考えれば、見応えは充分ありました。
この映画では禍威獣(かいじゅう)って書くのでしたね。
物語は謎の巨大生命体「禍威獣」が出現するようになった日本が舞台です。
日本政府は「禍威獣特設対策室」通称「禍特対」を設立しました。
新たに出現した禍威獣ネロンガが出現した時、宇宙から謎の銀色の巨人が降ってきました。
後に銀色の巨人は「巨大人形生物ウルトラマン(仮)」と呼ばれました。
果たしてウルトラマンとは何者なのか?
禍威獣の正体は?
忍びよる外星人の陰謀とは?
是非、観てみてください。
冒頭に「ウルトラQ」の怪獣をダイジェストで挿入したのは上手いと思いました。
前半は禍威獣VSウルトラマンで、後半は
外星人VSウルトラマンです。
禍威獣の造形や動きはなかなかクォリティが高いものになっていました。
初代へのオマージュも感じさせます。
そして、外星人メフィラスが最高に面白かったです。
敵役なのですが、1番出番が多かったような気がします。
妙に地球に馴染んでいるところが良いですね。
メフィラスを見るためにこの映画を何度も観てしまいそうです。
あと竹野内豊が政府の男役で出ていましたが、「シン・ゴジラ」と関係があるのでしょうか?
なんだかんだで、楽しい映画であったことは間違いないです。
物足りなさはありましたけど、そうですね、
バルタン星人の大群が攻めてきて、ウルトラマンと決戦するという様なラストシーンだったら、
私は大絶賛していたかもしれません。