第232回目は「太陽を盗んだ男」です。
1979年の日本の犯罪映画です。
*以降ネタバレ注意です。
これはかなりヤバい作品です。
邦画史上、最も危険な映画と言っても過言ではないような気がします。
普通、皇居を襲撃したりできないと思います。
現実的に怖くて映画にできないですよね。
あのゴジラでさえ、皇居を避けていたというのだから、映画としては禁忌だと思うのです。
それは、この映画の序盤の話で、本編は主人公が原爆を手作りして日本政府を脅迫するという内容です。
こちらも相当ヤバい設定になっています。
放射能恐怖症の私としては、もう息が詰まる思いです。
まあ、放射能は息を止めても無駄ですが。
とにかく、こんな映画を作っちゃダメだろうって思ってしまいました。
この映画の少し前、プリンストン大学の学生が手製の原爆を作ったという論文があったそうです。
物理化学の知識と材料があれば、キッチンでも作ることができるそうです。
おそらく、そこから着想を得たのではないでしょうか。
また、1993年のアメリカでは高校生が自宅の納屋に手作りの原子炉を作成して事件になっています。
その地域は有害物資汚染地域とされました。
こんなことが現実に起こっているなんて、私は怖くて仕方がありません。
突拍子もない映画ですが、現実にないとは言えない恐怖の映画です。
興味のある方は是非、観てみてください。
物語の主人公は中学校の理科教師、城戸誠。
彼はグータラ教師を演じていましたが、その裏で着々と原爆を作る計画を立てていました。
城戸誠は核テロリストだったのです。
原子力発電所を襲撃し、まんまとプルトニウムを手に入れた城戸誠は遂に原爆を完成させてしまいます。
そして、城戸誠は政府を脅迫します。
果たして城戸誠の要求とは?
原爆は爆発してしまうのでしょうか?
興味のある方は是非、観てみてください。
個人的には凄く怖くて、気持ちの悪い映画でした。
でも、ここまで核の恐怖を伝える映画もなかったかもしれません。
城戸誠が何を考えているか解らないところも恐ろしいです。
迷惑な行動力のあるサイコパスです。
こんな奴が近所に住んでいたら、たまったモンじゃありません。
近くのガレージに手作りの原子炉とかあったらビックリしますよね。
ストーリー展開は、なかなか面白くて飽きさせない感じはしました。
しかし、後半はグダグダ感もあります。
前半が緊張感があった分、尻すぼんだ感じは否めません。
とは言え、個人的には核テロリストものの映画としては今のところ最高峰だと思いました。
現在の核保有国の核管理があまいと、こういう事態は防げないのではないかと思いました。
核爆弾を作らなくても、プルトニウム自体に殺傷能力があるので非常に危険です。
この映画を現代でリメイクしたら、相当盛り上がると思います。
危なすぎて炎上間違いなしですね。
昭和の時代だから映像化できたのでしょう。
時代の雰囲気も出ていて、非常に良かったと思います。
タイトルの「太陽を盗んだ男」というのもセンスの良さを感じます。
犯罪映画史上最悪の犯罪です。
感想を一言で言えば「こんな映画撮っちゃダメ!」です。
興味のある人は是非観てみてください。
因みに、ネコ好きの人はショッキングな映像があるので要注意です。