カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

ドローン・オブ・ウォー

 


第197回目は「ドローン・オブ・ウォー」です。

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出典amazon.co.jp


2014年のアメリカの戦争映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


この映画は実話ではありませんが、事実に沿って作られているそうです。

 


最先端の近代戦争です。

 


ひと昔前にはボタン戦争なんて言葉がありました。

 


戦争も人間はボタンを押すだけ、というわけです。

 


この映画では無人攻撃機を遠隔操作して爆撃を行います。

 


血みどろになるシーンもなければ、戦場の恐怖もありません。

 


そこが逆に恐ろしいところです。

 


私はこの戦争を冷戦「コールドウォー」に因んで、乾燥戦争「ドライウォー」と呼ぶことにしました。

 


いとも簡単に、それも一方的に攻撃できるので、もはや戦争と呼んでいいのか判りません。

 


久々に戦争について深く考えさせられる映画でした。

 


戦争と言えば、日本人ならば大体の人が、太平洋戦争を思い浮かべるのではないでしょうか?

 


戦争は昔の話という気がします。

 


しかし、アメリカでは現在も対テロ戦争という形で現在も戦争中の様です。

 


恐ろしい話です。

 


物語は2010年代、アメリカがもっともテロリストに攻撃を加えていた時代。

 


トミー・イーガン少佐はラスベガスの空軍基地から、遠隔操作で無人攻撃機MQ−9リーパーを操縦し、テロリストを爆撃していました。

 


トミーは元F-16パイロットでした。

 


当時は互いに戦場で命をかけて戦っていました。

 


現在は安全な場所から、一方的に空爆するという虐殺行為です。

 


特にCIAの指揮する作戦は民間人を巻き込む容赦のないものでした。

 


トミーはやがて精神的に追い詰められていきます。

 


果たしてこの戦闘に正義はあるのでしょうか?

 


トミーの決断とは?

 


是非、観てみてください。

 


どんなに激しい戦闘シーンのある映画よりも、深いメッセージを感じました。

 


無人攻撃機の操縦席はエアコンの効いたコンテナで、テレビゲームの様な操縦桿とモニターが設置されています。

 


現実感を喪失してしまいそうですが、ターゲットは実際に破壊されています。

 


トミーは一方的な攻撃に疑問を抱いています。

 


パイロットのせいか、同じ土俵で戦うべきだと思っている様です。

 


人間は自分が卑怯者であることに耐えられないそうです。

 


私は安全な所から攻撃できるのなら、その方が良いですけど。

 


そもそも私は戦争には反対です。

 


国家の事情なりなんなりあるとは思いますが。

 


私は民間人を巻き込むのは感心しません。

 


いくら命令であっても、それは許せません。

 

 

 

最低限テロリストだけを狙ってピンポイント攻撃をするべきだと思います。

 


たとえ効率が悪くとも、民間人は守るべきだと思いました。

 


事実に基づいているだけに、これは結構悩ましい映画です。

 


トミーは実践経験があるので、罪の意識に苛まれていますが。

 


無人攻撃機だけでしか戦闘をしたことがなければ、なんか勘違いしてしまいそうな気がします。

 


ゲームの様な気分で戦争してしまうのではないでしょうか?

 


戦争の実感など無さそうな気がします。

 


今後は、こういう戦争がスタンダードになっていくのでしょうか?

 


ラストのトミーの行動には私は否定的です。

 


結局のところ、この映画はCIAによるテロリストのリンチにほかなりません。

 


トミー自身がそれを肯定してしまった様な気がします。

 


近代戦争に興味がある人は是非、観てみてください。

 


酷い時代になったものです。

 


頭上に無人攻撃機が飛んでいるなんて思うと、おちおち国家批判なんてできません。

 


なんの前触れもなく吹っ飛ばされてしまうのですから、恐ろしい話です。

 


CIAの悪口なんか言おうものなら、あっという間に消され…………