第196回目は「マリー・アントワネット」です。
2006年のアメリカ・フランス合作の伝記映画です。
私は歴史が好きでして、フランス革命あたりは割と得意な方でした。
もっとも知識の大半は「ベルサイユのばら」から、いただいたものですが。
好きになるキッカケとしては最適だったと思います。
フランス革命の中心人物と言えば、やはりマリー・アントワネットでしょう。
マリー・アントワネットの人物像は作品によって様々だと思いますが。
私のイメージだと、気が強くてワガママで、浪費家で世間知らずで、貞操観念がなく「パンがなければ、ケーキを食べれば良いのに、バカね!オホホ〜」というキャラだったと思います。
しかし、この映画を観ると印象が380度変わってしまいます。
なんと言うか、ちょっと可愛い感じなのです。
「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネットが可愛くないわけではないのですが、高貴な品格と魔性の美しさを兼ね備えていたのです。
それゆえに革命の標的になってもやむなし、というところがあったと思います。
この映画はマリー・アントワネットにのみ焦点を当て、フランス革命についてはほとんど触れられていません。
しかし、そこがこの映画の良いところなのです。
マリー・アントワネットの心情にドップリと共感できるつくりになっているのです。
上手い演出だと思います。
さて、一応物語の方も紹介しておきましょう。
主人公マリー・アントワネットはオーストリアの女帝マリア・テレジアの娘として生まれました。
14歳の時、政略結婚としてフランスの皇太子ルイ16世に嫁ぐことになりました。
ところが、ルイ16世はとってもシャイな性格で、夫婦生活があまり良くありませんでした。
なかなか世継ぎを産めないマリーの立場は微妙なものとなっていきました。
マリーは宮廷生活の鬱憤を晴らすために、ショッピングやパーティーにギャンブル三昧と浪費に傾倒していきます。
やがて、それはフランスの財政を圧迫するほどになってしまいました。
果たしてマリー・アントワネットとルイ16世の結婚生活は上手く行くのでしょうか?
フランス・ブルボン王朝の運命は?
是非、観てみてください。
この映画はの見どころは、全編にわたる映像の美しさにあります。
現代的な音楽も意外とマッチしていて驚きです。
実際のベルサイユの宮殿で撮影されたので、ロケーションは最高です。
(2017年5月に行ってきました)
そして衣装から小物まで、何もかもが美しい。
スイーツも美味しそう。
男の私が言うのもなんですが、可愛いのです。
女性ならば一度は憧れる生活ではないでしょうか。
残念ながら、様々なハラスメントもくっついてきますけど。
あんな贅沢をしてみたいものです。
さて、この映画で私が評価したいところなのですが、実はマリー・アントワネットではなくルイ16世の方なのです。
ルイ16世といえば暗愚な印象だと思いますが。
まさしく序盤は覇気がなく弱々しい感じなのですが、後半になるにつれ自信を身につけて、少なからず国王の風格を漂わせます。
前半のアホヅラからは想像もつかない成長ぶりです。
もちろんマリー・アントワネットの精神的な成長も見逃せません。
人間味が溢れていて非常に良かったと思います
この映画は良い意味で、史実的ではないと思います。
マリー・アントワネット自身の回顧録のような感じです。
史実よりもマリー・アントワネットがその時どう感じて、何に興味があり、何に関心がなかったのかが描かれています。
だからこそ、マリー・アントワネットが見ていた景色を体感できる映画だと感じています。
結構、女性ならではの悩みなどがあるので、女性にオススメの映画です。
フランスが好きな人や宮廷文化が好きな人は是非観て欲しいです。
私は映画のラストカットにグッと来ました。