第146回目はキングダム・オブ・ヘブンです。
2005年のアメリカ、イギリス、ドイツ、スペイン合作の歴史映画です。
*以降ネタバレ注意です。
実話を基にした十字軍の映画です。
十字軍、英語ではクルセイダーです。
響きがどちらも格好良いです。
歴史的には有名な十字軍ですが、題材にしている映画はほぼありません。
十字軍の映画と言えばキングダム・オブ・ヘブンだけではないでしょうか。
なぜ十字軍の映画が少ないのか。
私の想像では十字軍が正義を欠いていたからではないかと思っています。
聖地エルサレムの奪還を大義名分としていますが、その実態は殺戮と略奪が主だったように思います。
そもそもエルサレムがキリスト教徒の物じゃないだろうという感じです。
どちらかと言えば、主人公に相応しいのはイスラム軍の指導者サラディンの方だと思います。
残念ながらサラディンが主人公の映画も無いと思います。
さて、物語は十字軍がエルサレムを占拠して100年後1184年の話。
フランスで鍛冶屋を営んでいるバリアンは子供と妻を亡くし、悲嘆に暮れていました。
そんな時、イベリンの領主ゴットフリーに十字軍に誘われます。
聖地エルサレムに行けば神に許されると考えたバリアンは十字軍に参加します。
騎士となったバリアンは船で遭難したり、イスラム教徒に襲われたりと苦難を乗り越えて、エルサレムへと辿り着きます。
しかしエルサレムでは更なる苦難がバリアンを待ち受けていました。
当時のエルサレムはキリスト教徒のボードゥアン4世が治めていました。
ボードゥアン4世はイスラム教徒との共存を維持しており、イスラム教徒のサラディンとは友好的でした。
しかし、ボードゥアンは病気で、余命幾ばくもなく、彼の死後は主戦論派のギーが実権を握ることになる。
そうなればイスラム教徒と再び戦争に突入することになります。
果たしてバリアンはエルサレムを守ることが出来るでしょうか。
是非、観てみてください。
ディレクターズカット版では194分と長めの映画ですが、割と話がトントン拍子で進むので飽きさせない展開になっています。
ちょっと出来過ぎかなという気もしますが、ドラマティックで面白いと思いました。
基本はキリスト教徒対イスラム教徒なので、敵がサラディンということになるのですが。
共存派と交戦派の派閥との戦いが見どころとなっています。
そう単純な話ではありませんが、イスラム教徒の方が善玉というか温和な作品は珍しい。
特にサラディンの英雄ぶりは見事だと思います。
サラディンに対抗するバリアンもなかなかいい役どころです。
実話としてこんな出来事があったとすると感動的です。
エルサレムの街も美しく描かれています。
中東の風景は私にはロマンティックに見えます。
度々ある合戦シーンも迫力があって良いと思います。
陣形なども凝っている感じがして、説得力があります。
終盤の攻城戦は映像的にも新しい感じがしました。
投石機やバリスタなどの攻城兵器の使い方も上手く演出されていると思います。
歴史ものとして、十字軍映画として充分な見応えのある作品でした。
ところで、私が十字軍という言葉を初めて知ったのは、秘密戦隊ゴレンジャーの敵、黒十字軍でした。
歴史の授業で十字軍を習ったときは、真っ先に黒十字総統の顔が思い浮かびました。
全然関係ありませんが、十字軍も黒十字軍も悪の組織であるという点では、あまり変わりがないように思います。