第147回目はキング・コングです。
*以降ネタバレ注意です。
*ラストまで語ってしまいます。
この映画は1933年の「キング・コング」のリメイクです。
舞台は1930年代、映画監督カール・デナムは脚本家のジャック・ドリスコルや舞台女優のアン・ブロウを伴って未知の島、髑髏島にロケに向かう。
そこには謎の原住民と、独自の進化を遂げた巨大生物が生息していた。
そこでアン・ブロウは原住民に拐われ、キングコングの生贄にされてしまう。
果たしてアンの運命は一体どうなってしまうのか。
興味があったら観てみてください。
この映画が187分と長めです。
私としては冗長に感じました。
前半が映画制作とラブロマンス、中盤が髑髏島の冒険、終盤はキング・コングと人間の戦いとなっています。
良く言えば、充実した内容と言えますが、チョット展開が遅い気がしました。
前半なんかは本当にキング・コングなのかなというくらい普通に売れない映画監督と売れない女優の物語です。
髑髏島では謎の原住民と一悶着ありますが、パタっと突然居なくなります。
チョット不思議です。
髑髏島には独自に進化した恐竜や巨大昆虫などがウジャウジャ居て、怖いやら気持ち悪いやらです。
その中でも、1番驚いたのが、キング・コングです。
言わずと知れた巨大なゴリラなのですが。
その体長は7.5m……。
小っさ!
意外と小さいな。
私にとってキング・コングと言えば、ゴジラと戦っていた記憶しかなかったので、推定体長は40m〜50mくらいあるイメージでした。
それからするとかなり小さい。
実際のゴリラの5倍の大きさなので、相当大きいのですが、意外なサイズでした。
そうなってくると、ちょっと大きなゴリラのキング・コングよりも、恐竜やら巨大昆虫の方が価値があるし、捕獲しやすかったのではないだろうか?
何もキング・コングに固執するようなものでもないように思います。
それはさておいて、キング・コングがアン・ブロウをペットの様に可愛いがるところに共感を得ました。
私が愛猫のミュウを可愛がっている様なものでしょう。
キング・コングをただの怪獣扱いしていないところは評価が高いところだと思います。
アン・ブロウに対する異常な執着は、愛情なのかとさえ思えてきます。
観ていくと次第に感情はキング・コングに移入されていくかもしれません。
間違いなく後半の主人公は、キング・コングなのです。
そう感じたならばこの映画は成功と言えるでしょう。
この映画は人間のエゴによる希少生物の乱獲や絶滅を警告するメッセージが込められていると思います。
見世物にするため無理矢理アメリカに連れて来て、制御できなくなれば攻撃するのだから気の毒な話です。
被害者が出て、人命に関わるので殺処分はやむを得ないとは思いますが。
人間が招き入れたのだから、無責任だと思います。
勝手にやって来たゴジラとは訳が違います。
ペットを飼ったら、なつかなかったから処分しました。
という感じです。
髑髏島なんて、そっとしておけば良かったのです。
まったく、カール・デナムなんて損害賠償で、破産してしまえば良いのです。
ラストのカールのまるで責任転嫁のセリフにも怒りを禁じ得ません。
ですが、そこにこの映画の魅力があるのかもしれません。
キング・コングは有名な作品なので、一度は観ておきたい作品です。
さて、念のために1933年のオリジナル版「キング・コング」も観てみました。
古すぎてキツいかなと思いましたが、割とスンナリ観れました。
制作年度を考えればかなりクォリティーが高くオシャレな映画だと思います。
こちらは100分と短めで、話のテンポは悪くありません。
ただし、内容がただの怪獣映画になってしまっています。
キング・コングに愛情を見いだすには短すぎる様です。
資料的価値は高いと思いますが、作品としてはリメイク版の方が完成度が高いと言わざるを得ないでしょう。
我ながら、長くても短くても文句を言うのだから、困ったものです。
両方観た結果としては、リメイク版はオリジナルを完璧以上に再現した物と言えるでしょう。
観るならば断然、リメイク版をお勧めしておきます。