第255回目は「清洲会議」です。
2013年の日本の歴史映画です。
この作品は私的史実認定映画です。
私的史実認定映画とはフィクションではあるのだけど、私個人としては史実と認めている映画です。
そもそも、私たちが一般に知っている歴史は歴史学者の空想に基づいていると言っても過言ではありません。
もちろん文献による証拠もありますが、そこに嘘や誇張がないとは言い切れません。
その審議も含めて歴史学者の方々が、こうであったに違いないと結論を出すわけです。
もう一つ言えば、高名な学者が間違った主張をしてしまった時、若輩の学者たちが忖度しなかったとも言い切れないでしょう。
そうなると、歴史の正確さとはかなり低いものであると言えます。
また、司馬遼太郎などの歴史小説家のフィクションが大衆に浸透して、史実として語られる場合もあります。
長州力が「キレてないっすよ」と実際に言ったか、言っていないかくらい曖昧な世界だと思っています。
まあ、どうせならば史実なんてものは面白ければ、それでいいと私はそう思っています。
とりわけ、この「清洲会議」は史実に忠実であるように思われました。
もちろん、諸説ある中の一説に準じているのだと思います。
清洲会議とは、織田信長が本能寺で暗殺されたあと、後継者を誰にするかなどが話し合われた会議です。
一般的には織田信長のあとを、豊臣秀吉がすぐに引き継いだ印象があると思います。
しかしその間には、数年のイザコザが存在しているのです。
これまでにあまり焦点の当たったことのない時代ですが、なかなか興味深い仕上がりになっています。
戦国時代が好きな人は必見です。
さて、物語は天正10年(1582年)本能寺の変より始まります。
明智光秀の謀反によって織田信長、織田信忠を失った織田家は次の後継者を決めるため清洲城に集結します。
柴田勝家は三男の織田信孝を推薦しますが、羽柴秀吉は次男の織田信雄を推薦し対抗します。
これによって、織田家の実権を握る者が決まります。
果たして、後継者は信雄か信孝か?
是非、観てみてください。
私は結構、織田信長が好きなのですが。
本能寺の変で、私の中では歴史が一旦途切れてしまっていました。
織田信長の私的史実認定作品としては、池上遼一の漫画「信長」を選んでいます。
その次の時代の歴史書は原哲夫の漫画「花の慶次」となっています。
やはり本能寺の変から、豊臣秀吉の時代は空白となっていました。
「清洲会議」は私の歴史書の空白を見事に埋めてくれた素晴らしい作品です。
戦国時代ですが、会議がメインなので派手なシーンは全くありません。
戦略というか、知略や策謀が主体となっています。
実直で駆け引きを知らない柴田勝家と、知略に長けた羽柴秀吉では勝負にならないところですが。
筆頭家老である柴田勝家には、丹羽長秀や滝川一益などの重臣が味方についています。
更には、織田信長の妹である「お市の方」も柴田勝家の側についています。
しかし、ここから巧妙な駆け引きを仕掛ける羽柴秀吉が魅力的でたまりません。
ストーリーとしては地味かもしれませんが、見応えは充分でした。
納得するやら、感心するやら、鑑賞後はかなりの満足感が得られました。
因みに、この映画の見どころは、ズバリ「顔」です。
羽柴秀吉をはじめ、柴田勝家、丹羽長秀、織田信長の顔がイメージにピッタリなのです。
それはもうビックリするくらいピッタリでした。
しかも、顔だけでなく性格まで完璧に再現されているように感じました。
特に羽柴秀吉は大泉洋が演じているのですが、素晴らしい演技でした。
秀吉といえば「猿」というあだ名が有名ですが、もう一つ「ハゲネズミ」という呼称もあったそうです。
大泉洋は見事なハゲネズミっぷりでした。
道化師のようにみえて、心に刃を忍ばせているところが如実に表現されていました。
素晴らしかったです。
私的にはもっと男前の信長が好みなのですが。
肖像画にそっくりなので認めざるをえません。
製作者の「顔」へのこだわりを感じます。
個人的に不満を言えば、お市の方はもう少し美人の方が良かったかな。
いや、決して鈴木京香さんが悪いわけでも、美人じゃないと言っているわけでもありません。
ほんの少しだけイメージが、私の好みとは若干違うかな〜っと思っただけでございます。
それ以外はパーフェクトな映画でした。
オマケで更級六兵衛(映画ステキな金縛りの登場人物)が出てきたところも面白い。
皆さんも歴史の1ページとして是非、観てみてください。
それにしても大泉洋の評価が爆上がりです。
鈴木京香さん、ごめんなさい。