カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

レ・ミゼラブル

 

 

 

第259回目は「レ・ミゼラブル」です。

f:id:kazuma_kazama:20221001214851j:image

出典Amazon.co.jp

 


2012年のイギリス・アメリカ合作のミュージカル映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


レ・ミゼラブル」を映画化したものは1998年版に次いで2本目となります。

f:id:kazuma_kazama:20221001215503j:image

出典Amazon.co.jp

 


同じ原作なのでストーリーがほぼ同じでしたが

 


2012年版のほうがストーリー上、重要な人物や後半部分が補完されていてより完全な物語となっています。

 


そして、決定的に違うところは2012年版は、全編歌いっぱなしのミュージカル映画だったのです。

 


私は元々ミュージカル映画は苦手だったのです。

 


なんか突然歌い出したりして、ついていけませんでした。

 


現在では妻のお陰で、苦手意識を克服することができています。

 


むしろ、音楽の美しさを感じるようにもなってきました。

 


残念ながら舞台の「レ・ミゼラブル」は観たことがありません。

 


2017年から2019年の公演には観に行きたいという願望もありましたが。

 


なかなか私にはハードルが高くて行くことが出来ませんでした。

 


今回は映画なので、自宅でゆっくり観ることができるので、いつか舞台を観る予習も兼ねてじっくり鑑賞しようと思いました。

 


物語はパンを盗んだ罪で19年間服役しているジャン・バルジャンが主人公です。

 


ジャン・バルジャンは看守のジャベールから仮出所を言い渡されます。

 


出所したはいいものの、ジャン・バルジャンの身分証には危険人物と記されており、就職もままならない状態でした。

 


そしてジャン・バルジャンは仮出所中にもかかわらず、とある教会で盗みを働き、あっさり逮捕されてしまいます。

 


しかし、司祭はジャン・バルジャンを庇って見逃してくれました。

 


感銘を受けたジャン・バルジャンは心を入れ替えて、善人として生きる決心をします。

 


名前を変え、過去を隠して市長にまで出世したジャン・バルジャンですが

 


偶然、過去を知る人物ジャベールが、警察署長として赴任してきます。

 


果たしてジャン・バルジャンはジャベールから逃げ切れることができるのでしょうか?

 


是非一度、観てみてください。

 


物語はジャン・バルジャンが極悪人から、聖人の域に達するまでが描かれています。

 


原作通りではなく、ミュージカルの脚本が完全再現されているのです。

 


原作を私は読んだことがないので、原作との違いは分かりません。

 


ですが、おおむね子供の頃に聞いた「ああ無情」の話と合致している様に思いました。

 


今回は登場人物に、焦点を当てて話したいと思います。

 


まず、主人公のジャン・バルジャンです。

 


パンを一個盗んだだけで、19年間も服役したとジャン・バルジャンは主張していますが。

 


実は密猟の罪と併せて、5年の求刑だったそうです。

 


後に4回の脱獄をしたために、計19年間入ることとなったのです。

 


しかし、ジャン・バルジャンは「パン一個を盗んだだけで」と思い込んでいるのです。

 


本来は自業自得なのですが、世の中を歪んだ形で憎んでいます。

 


出所した後もすぐにその性格は変わらず、いくつかの出会いによって、良い方向へと導かれていきます。

 


その心境の変化が、この作品の醍醐味と言えるでしょう。

 


次は警察官のジャベールです。

 


ジャン・バルジャンを執拗に追いかけてくる嫌な奴という印象があるかもしれません。

 


しかし彼は仕事に対して忠実で、私から見ると一切悪いところは見られませんでした。

 


敵役というよりは影の主人公という存在です。

 


最終的には、私はジャベールは判断を誤ったと思っています。

 


情に流されず、仕事を全うして欲しかった。

 


そこも重要な見どころです。

 


3人目は前半のヒロイン、ファンテーヌです。

 


ファンテーヌは後にジャン・バルジャンが経営していた工場で働いている女性です。

 


ファンテーヌにはコゼットという娘がいます。

 


ところが未婚の母であったために、工場の仲間に迫害され追い出されてしまいます。

 


とんだブラック企業です。

 


しっかり経営しろよジャン・バルジャン

 


この物語で最も不幸な人物です。

 


ファンテーヌに比べたら、ジャン・バルジャンの不幸なんて屁の河童です。

 


客観的に見てもジャン・バルジャンに責任があると言わざるを得ません。

 


「ああ、無情」です。

 


4人目はファンテーヌの娘、コゼットです。

 


幼少期は母親と離れて暮らし、養父母のテナルディエ夫妻から、虐待を受けていました。

 


その後ジャン・バルジャンに引き取られます。

 


それからはコゼットにも、いろいろ言いたいこともあるかもしれませんが、幸せな人生であったようです。

 


ジャン・バルジャンはコゼットを幸せにすることで自らの幸福を手に入れたようです。

 


修道院育ちで男性に免疫がなく、惚れっぽいのが玉に瑕。

 


5人目はエポニーヌです。

 


エポニーヌはテナルディエ夫妻の娘で幼少期は裕福に暮らしていました。

 


ところが一転、テナルディエ夫妻は貧乏になり、エポニーヌはまるでコゼットと逆転したような暮らしになってしまいました。

 


ところが、良い子に育っています。

 


エポニーヌはコゼットと同じ男性に恋をしてしまいます。

 


しかし、健気に控えめな恋をします。

 


普通、ここはコゼットに意地悪を仕掛けるところだと思いますが、エポニーヌはいい子なのです。

 


そこがまた、不幸を醸し出しているのです。

 


後半のヒロインはコゼットではなくエポニーヌかもしれません。

 


最後はマリウスです。

 


マリウスはコゼットとエポニーヌから想いを寄せられるいい男です。

 


しかも実家は大金持ちで、弁護士であり革命家です。

 


世間知らずなお坊ちゃんという感じです。

 


なんでこんな奴の為に、命を賭けなければいけないのでしょうか?

 


ジャン・バルジャンにとって最大の試練です。

 


その苦悩が、この物語の最大の見どころかもしれません。

 


結局のところ、人間は人のために罪を犯したとして、それは裁かれるべきなのかという疑問にぶち当たってしまいます。

 


そう考えると、ジャベールの気持ちも分からなくもない気がします。

 


また誰かの幸せの為に、罪を受け入れなければいけないということなのでしょうか?

 


結構考えさせられる物語です。

 


19世紀のフランスの文化や事情が詳しければ、もっと面白いのかもしれません。

 


途中から革命が起こったりして、何事なのか戸惑ってしまいました。

 


なかなか激動のストーリー展開の映画です。

 


ミュージカルが好きな人は是非、観てみてください。