第231回目は「誘拐」です。
1997年の日本の犯罪映画です。
*以降ネタバレ注意です。
誘拐事件を描いた作品は数多いと思いますが、この「誘拐」は少し異色だったような気がします。
誘拐事件といえば、身代金の受け渡しや、刑事と犯人との駆け引きなど、見どころが沢山ありますが。
流石にタイトルが「誘拐」というだけあって、ギュっと凝縮したような内容になっています。
クライムサスペンスが好きな人には一度、観てみて欲しい作品だとは思いました。
ただし、正直なところ、あまり出来の良い映画ではありません。
まるでTVの2時間ドラマ的な仕上がりになっています。
とは言え、私は意表を突かれましたし、してやられた感を味わいました。
多少、悪いところもありますが、概ね優秀な作品だったと思います。
私は結構好きな作品です。
物語は東照物産の常務誘拐事件が中心です。
事件発生前日、若手刑事の藤がアメリカから赴任してきます。
ベテラン刑事の津波とコンビを組むことになった藤刑事は協力して、事件解決に臨みます。
犯人の要求は身代金の三億円。
身代金の運び手に東照物産の関連会社の重役を指名してきます。
さらに身代金の受け渡しをテレビ生中継しろと要求してきました。
津波刑事と藤刑事は犯人を捕まえることができるでしょうか?
事件の裏に隠された真相とは?
というストーリーです。
わりと地味な映画ですが、脚本は凄く良かったと思います。
身代金を運ばせて、次から次へと指示を出して移動させる誘拐犯の手口はありきたりですが、その段階で私は一杯も二杯も喰わされた感じになりました。
犯人の意図とトリックを見抜けませんでした。
その時点で「この映画はオモシレー!」って思いました。
推理ものなので、詳しくは言えないんですが、犯人はかなりの強敵です。
前半は身代金の受け渡しで、後半が解決編になっています。
後半もなかなか凝っているというか、ズルい設定になっていて、想像を超える展開になっていました。
組織犯罪であると考えれば不可能ではないですけど。
犯人の執念のなせる技でしょうか。
ただの誘拐事件に留まらないところが、素晴らしいと思います。
最後まで、してやられたという感じです。
しかし、観賞後は納得感とか充実感に満たされてしまいました。
なかなか良い作品だと思います。
さて一応、良くなかったところも言っておきたいと思います。
主人公は津波刑事と藤刑事ですが、問題は藤刑事にあります。
藤刑事はL.A.でプロファイリング捜査を学んで来たそうですが、全く役に立った感じがしません。
そればかりかキャラが、かなり浮いています。
不自然です。
しかし、津波刑事と藤刑事の親子のような師弟感は良かったと思います。
そのくらいです。
ちょっとね〜、凄くオススメかと言われると自信はないんですけど。
気が向いたら、観てみても良いんじゃないかな〜と思います。
刑事ドラマの2時間スペシャルと思えば、抜群に面白いと思います。
特に前半の身代金のくだりは盛り上がること間違いなしです。
機会があれば、観てみてください。