第228回目は「ミュージアム」です。
*以降ネタバレ注意です。
2016年の日本のサスペンス映画です。
2021年も最後の日となりまして、皆さんお疲れ様でした。
一年の締めくくりに、なんでこんな映画を観たのか自分でもよく解りませんが、かなりハードな猟奇殺人ものの映画です。
でも、かなり面白かったです。
ここ最近は邦画を多く観ていて、いくつか犯罪ものもありましたが、群を抜いてこの「ミュージアム」が面白かったと思いました。
132分で、少し長めの映画ですが、無駄なシーンが無くて、内容がぎゅっと詰まっているような感じがします。
面白い映画は始めから面白い。
もう、始まった瞬間に「この映画面白そうだ」と思わせる雰囲気が漂っています。
物語は家庭を放置している仕事人間の刑事、沢村が主人公です。
ある雨の日、猟奇的な方法で殺害された遺体が発見されます。
事件は連続殺人へと発展し、やがて澤村自身も渦中に巻き込まれていきます。
そして……。
っと、推理ものなので、あらすじはここまでとしておきましょう。
しかし、内容を明かさずに、この面白さをどうやって伝えたら良いのでしょうか。
取り敢えずネタバレにならない程度に見どころを語ってみたいと思います。
まずは、主人公の沢村です。
刑事としては優秀で、推理力が高いです。
それも超人的な推理力ではなく、ちょうどいい推理力なのです。
物語の痒いところに少しだけ手が届くというところが憎い演出です。
最近の邦画には見ない、カーチェイスやガンアクションを披露していて、結構テンションが上がりました。
感情の変化が激しく描かれていて、演じていた小栗旬の演技が、凄くカッコ良く感じました。
また、沢村は妻に「父親としては失格」と言われてしまいます。
刑事ものにありがちな設定ではありますが、この映画に関しては重要な要素であったと思います。
家庭と仕事の板挟みも、全身で表現されていて、もう言葉に詰まるほどです。
沢村がハンバーガーを食べるシーンは吐き気が止まりませんでした。
小栗旬は優秀です。
続いての見どころは、やはり犯人です。
雨の日に犯行を行う殺人鬼、通称カエル男。
残虐性と高い知能を備えています。
凝った猟奇殺人を行いますが、資金などはどうしているのでしょうか?
相当な執念を感じます。
久々に、こんな危険なサイコ野郎を拝見しました。
ここまで観てきた映画の中でも、かなり恐ろしい殺人鬼だったと思います。
サイコ野郎には間違いはないですが、行動に一貫性があり、辻褄が合っているというところが怖いです。
全編が沢村とカエル男の対決になっているので、全てが見どころと言っても過言ではありません。
この攻防戦を是非、観ていただきたいです。
さて、そんな殺人事件の一方で、この映画のテーマは死刑制度や裁判員制度について描かれています。
これが結構、精神的に訴えかけるものがありました。
そんなこんなで、優秀な作品でした。
しかし、残念なところを一点だけ、伝えておかなければなりません。
実は、この映画の前半が某洋画に似ていて、後半が某邦画に似ているのです。
その為、二番煎じ感を強く感じる人が居るかもしれません。
あえて、どの映画に似ているかは申しませんが、観たことがあればピンとくるはずです。
そこを踏まえた上で、私は面白いと感じました。
というわけで、猟奇殺人ものが好きな人にはオススメです。
良いお年を