*スーパーマンの重大なネタバレを含みます。
今回は少し思い出話をしたいと思います。
スーパーマンというと、私の中学の頃の友人を思い出します。
彼、ヒデオ(仮名)君と、私ことカズマは仲良しというわけではなく、いわゆる犬猿の仲というやつでした。
ヒデオ君はヤンキーというかガラの悪いヤンチャ者で、私はどちらかと言うと大人しい今で言う隠キャでした。
ヒデオ君と私は、ほぼ真逆の人間でした。
ヒデオ君は「ナンデマン」であり、対して私カズマは「お答えマン」でした。
ヒデオ君は何でも興味を持ち、疑問を持つ少年でした。
私は、彼のそんなところを密かに尊敬していました。
疑問を持てるということは優秀な証拠だと思っていました。
時には先生が答えに困窮する様な質問を繰り出していました。
先生が答えられない時は、私が答えられる範囲で答えていました。
しかし、ヒデオ君はそんな私が気に食わない様でした。
例えば
社会の授業中
ヒデオ
「先生〜!何で人間は頭いいのに戦争するん?」
先生
「ん〜?」
実にいい質問だと思いました。
さすが、ヒデオ君です。
私
「頭が良いから戦争するのさ」
ヒデオ
「何でお前にそんなことがわかるねん?」
ヒデオくんは何故か怒っている様です。
私
「普通、動物は共食いや殺し合う様な喧嘩はしないものなのさ」
私
「人間は戦争で利益を得られることを知っているから戦争するのさ」
因みに私は当てずっぽうで、知ったかぶっていっているだけです。
ヒデオ
「お前!ムカつくんじゃ!シバクぞ!」
何でヒデオ君は怒っているのでしょうか?
私
「ごめん。間違ってた。アホも戦争するみたいです」
ヒデオ
「シバクぞー!」
と、まあそんな日々を繰り返していました。
因みにヒデオ君は根は良いヤツなので、私は一度も殴られたことはありません。
そんなある日の国語の時間
ヒデオ
「先生〜!時計のない時代は何時から朝で、何時から夜なん?」
先生
「えー?」
私
「太陽が出たら朝で、太陽が沈んだら夜です」
ヒデオ
「何でお前にそんなこと分かるねん!」
私
「時計のない時代に、何時って発想がそもそも間違ってるのさ」
ヒデオ
「コイツムカつくわー」
私
「因みに今も、何時から朝とか決まりはないよ」
ヒデオ
「絶対シバクからな」
ヒデオ君は何を怒っているのでしょうか?
そして次の時間は理科でした。
先生
「えー、この写真は昼か夜か分かるか?」
先生が見せた写真は月に降り立ったアポロ11号の着陸船が写っていました。
ヒデオ
「宇宙は夜しかないに決まってるやん」
私
「昼です。着陸船に影がありますから」
どうやら私の方が正解だった様です。
ヒデオ
「先生〜!地球逆回転させたら時間戻るんやんな〜?」
クラスメイトは大爆笑。
それもそのはず、前日にスーパーマンがテレビで放送されていたからです。
もれなく私も笑っていました。
先生
「さー?やったことがないから解らないよ」
私
「戻るわけないやろー!」
私は先生のいい加減な返答に激怒してしまいました。
ヒデオ
「何でお前にそんなこと分かるねん!」
私
「地球儀逆回転させても時間は戻らないから、地球逆回転させても戻るはずはない」
ヒデオ
「ほんなら、地球逆回転させたらどうなんねん?」
私
「気流と海流が逆回転するので、大災害が起こる、高層ビルも倒壊する」
ヒデオ
「アホか!」
私
「ヒデオ君よりは論理的だと思うけど。大体時間が戻るなんてことはありえない」
実は私はタイムトラベル否定論者なのです。
ヒデオ
ヒデオ君は子供っぽい事を言ったりします。
私
「あれは作り話やろ!そもそもドラえもんの存在をお前は信じてるのか?」
私はかなりテンションが上がってしまっていました。
ヒデオ
「ああ、信じてるねー!」
開き直った様にヒデオ君は言いました。
そこで私はハッとなりました。
私
「なんか、夢壊すようなこと言って、ごめん」
私は素直に謝ったつもりでした。
ヒデオ
「シバクぞー!」
もはや一触即発状態でした。
授業中と言えど、今度ばかりは暴力沙汰になりそうでした。
先生
「おいおいヒデオ!スーパーマンでそこまで熱くなるなよ!」
先生
「カズマはもっと気楽に映画を観ろ!スーパーマンだぞ!」
先生の仲裁によってことなきを得ました。
ヒデオ
「毎回毎回突っかかって来やがって!」
どうやら、ヒデオ君は私が喧嘩を売っていると、思い込んでいた様です。
私
「分かった。もう何も言わない」
こうしてナンデマンとお答えマンの対決に終止符が打たれました。
そして、午後の英語の授業。
ヒデオ
「先生〜ML教室(音楽室のこと)ってミュージックルームの略やんな〜?」
私
「……ルームってRじゃないか?」
無意識に言ってしまった。
ヒデオ
「シバクぞーーーーーーーーー!」
カズマ
「今のはマジで、ごめん」
こうして、ナンデマンとお答えマンの休戦協定は1時間ほどで破られました。
中学を卒業して以来、一度もヒデオ君には会っていませんが、私はこの日の事を一生忘れないと思う。
今日もどこかでヒデオ君は
「エントロピーが減少したら時間が逆行するんやんなー」とか疑問をぶつけていそうな気がします。
おしまい