第251回目は「スーパーマン・リターンズ」です。
2006年のアメリカのヒーロー映画です。
*以降ネタバレ注意です。
少々、今回は哀しい話になるかもしれません。
映画を観るにあたって、以前の私には苦手なことが一つありました。
それは俳優が変わってしまうことです。
なんらかの事情で、続編の主人公やヒロインが変わってしまうことが、度々あります。
私はそれが許せない、とまではいきませんが、違和感が拭えないのです。
例えば「バットマン」はマイケル・キートン、ヴァル・キルマーからジョージ・クルーニーへと変わってしまいました。
もの凄く残念な気持ちになってしまいます。
私にとって、スーパーマンはクリストファー・リーヴなのです。
完璧なスーパーマンです。
筋骨隆々なわりに甘いマスクで、クラーク・ケントの時のとぼけた演技も秀逸です。
ところが1995年に事故で脊髄損傷を負ってしまい、首から下が麻痺してしまったのです。
私はもの凄くショックを受けました。
「私のスーパーマンが、なんてことだ」
しかし、クリストファー・リーヴは車椅子生活にはなったものの、同じく麻痺を負った人たちを支援したり、俳優業に復帰したりしました。
彼はその頃インタビューでヒーローとはどんな人物かと聞かれて
「どんな障害にあっても努力を惜しまず、耐え抜く強さを身につけていったごく普通の人」と答えたそうです。
彼こそが、本物のスーパーマンだったのです。
その後、2004年にクリストファー・リーヴは亡くなられました。
しかし、私のなかではいつまでもスーパーマンとして活躍しています。
さて、クリストファー・リーヴのスーパーマンはパート4まで作られたのですが、パート3とパート4は無かったことになりました。
そしてパート2の正当な続編として「スーパーマン・リターンズ」が公開されることになったのです。
正直なところ、私は観る気にはなれませんでした。
新シリーズで新たに始めるなら、別物として受け入れることもできたでしょうが、続編というのはどうでしょう。
追悼の意味もあるのでしょうが、私は観る気にはなれませんでした。
そして遂に、封印を破る時がやってきました。
スーパーマンがどんな結末を迎えるのか見届けなければなりません。
物語はパート2から5年後のメトロポリス。
この5年間スーパーマンは不在でした。
スーパーマンは故郷クリプトンに里帰りしていました。
とは言っても、クリプトンは消滅して何もなかった様です。
帰還したスーパーマンはクラーク・ケントとして、デイリープラネット社に復帰しました。
驚くことに不在の間に、ロイス・レインは婚約しており、子供までいました。
一方、裁判で不起訴になったレックス・ルーサーは新たな犯罪計画を立てていました。
果たしてクラークの恋の行方は?
レックスの陰謀をスーパーマンは防ぐことができるのでしょうか?
興味がありましたら、是非観てみてください。
正直なところ、作品としてはあまり良いとは言えない気がします。
これまでのコメディタッチの作風に比べると、全体的に暗いです。
しかも、ロイスは別の人と婚約しており、子供までいるなんて絶望的です。
レックスは、またもやスーパーマンの秘密基地にお邪魔して、クリスタルを盗んでしまいます。
あれほど鍵を掛けろと言っているのに、何度も空き巣に入られています。
5年間留守にするなら、せめて貴重品は身につけるか、隠すことは出来なかったのでしょうか?
レックスの犯罪はスーパーマンの所為だと言えなくもないです。
スーパーマンが戸締りをキッチリしていれば今回の犯罪も起こらなかったはずです。
コメディタッチなら笑えるところですが、シリアスにやられると、違和感があります。
評価の難しい作品だと思います。
さて、問題のキャスティングですが、ロイス・レインが可愛くなっています。
5年間の間にメチャクチャ可愛くなってしまいました。
婚約者がいて子連れとは残念この上ありません。
スーパーマンのショックは計り知れない物だったでしょう。
レックス・ルーサーも、カッコ良くなっていました。
コメディ色は控えめですが、相変わらずお人好しで甘いところがあります。
レックス・ルーサーは憎めないやつです。
そして、スーパーマンも思ったほど違和感はありませんでした。
しかし、ここまで来ると?やはり新シリーズとしてリメイクした方が良かったのではないでしょうか。
とは言え、シリーズの最終回として、満足できる作品であったことは間違いありません。
この作品によって、私はクリストファー・リーヴにようやく「さよなら」が言えた様な気がします。
これからは、新しいスーパーマンを受け入れて行けそうです。
旧スーパーマンに興味がある人は是非一度は観てみても良いと思います。
私は今でも昔のスーパーマンが好きです。
哀悼の意を捧げます。