第221回目は「鍵泥棒のメソッド」です。
2012年の日本のヒューマンドラマ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
私はこの映画の存在を全然知りませんでしたが、友人の勧めで鑑賞することにしました。
結論から言うと、かなり面白い作品だったと思います。
この作品はかなり有名なようで、韓国や中国でリメイクされているそうです。
まだまだ私の知らない名作があるのだから、邦画も捨てたモンじゃないですね。
この作品はなかなか良くできた優秀な脚本だったと思います。
細かい所まで設定が行き届いていて、観賞後は結構スッキリしました。
逆に設定が緻密過ぎて、私はあるトリックを見破ってしまいました(自画自賛)
私の推理力も捨てたモンじゃないと思います(ご満悦)
もっとも、それは優秀な演出と脚本のおかげです。
平たく言えば、匂わせ過ぎです。
そんなこんなで、かなりの満足感を得られました。
物語は3人の無関係な人間が、ある事件(事故)をキッカケに絡まって行くというストーリーです。
一人目は水嶋香苗。
香苗は几帳面で計画先行型の雑誌編集者です。
まだ相手もいませんが、ある期日までに結婚することを決めました。
二人目は近藤。
近藤は凄腕の殺し屋で、綿密な計画と緻密な犯行で、裏社会では有名でした。
三人目は桜井武史。
桜井は売れない役者です。
計画性もなく、お金も底をついてしまいました。
ある日、近藤は仕事の帰りに銭湯に立ち寄りました。
脱衣所で偶然、桜井と隣り合わせになります。
桜井は着替え中、近藤の分厚い財布に目を止めました。
そして近藤は風呂場に入るなり石鹸で、足を滑らせ、頭を打ち気絶してしまいます。
桜井は意識を失った近藤のロッカーの鍵を自分の鍵とすり替えます。
近藤の衣服や財布を盗み、近藤の車で桜井は逃走します。
一方、近藤は転んだショックで記憶を失ってしまいました。
ロッカーの荷物から、近藤は桜井武史であると勘違いされてしまいます。
こうして二人は生活を入れ替えることになってしまいました。
果たして、三人の運命は一体どうなってしまうのでしょうか?
是非、観てみてください。
基本はコメディです。
最後の最後まで面白かったです。
何気ないシーンが後半で活きてくるところが、なかなか秀逸だと思います。
設定に無駄がなく計算されていて、非常に感心してしまいました。
香苗の天然さも面白いし。
序盤の近藤の殺しのテクニックにも圧倒されます。
そして、まんまと近藤の大金をせしめた桜井のいい加減さ、計画性のなさにハラハラします。
ストーリー上で重要なのが、「メソッド」の部分です。
「メソッド」すなわち演技のことですが。
お互いの役を取り替えることになった近藤と桜井は、否応なく芝居を演じることになります。
人間は誰しも自然に演技や芝居をしているようにも思えます。
あるいは芝居=嘘ということも成立するでしょう。
自分らしく生きることも、時には芝居がかった瞬間があるような気がします。
私は普段からキザなセリフを言うことを心がけているので、常に芝居くさいです。
物語の中でどこが芝居で何が嘘なのか推理しながら観ると楽しいかもしれません。
演劇の好きな人は、わりと共感を得られるのではないでしょうか。
なかなかスリリングで、見応えがありました。