第135回目はディアボロス/悪魔の扉です。
1997年のオカルト映画です。
*以降ネタバレ注意です。
前々回にデビルという映画を紹介しましたが、そちらには悪魔は登場しませんでした。
しかし、こちらは悪魔が登場します。
日本人には悪魔という存在があまり怖くないような気がします。
キリスト教圏の人にとっては恐ろしい存在のようです。
中でもこの映画に出てくる悪魔は私が観た映画の中では最高の悪魔でした。
人間を誘惑したり、落とし入れたりと精神を翻弄してきます。
そして、悪魔の恐ろしい計画が最高に理にかなっています。
この悪魔の言葉を是非聞いてみて欲しいと思います。
さて、物語はフロリダ州で活躍する無敗の敏腕弁護士ケヴィン・ロマックスが主人公です。
冒頭は法廷で女生徒にわいせつ行為を働いたエロ教師の弁護をしていました。
最初は教師の無罪を信じていましたが、途中で有罪を確信します。
しかし、無敗記録が破れることを嫌悪して、強引に無罪を勝ち取ってしまいます。
有罪と知りながら犯罪者を無罪にしてしまう悪徳弁護士です。
そんな折にニューヨークの大手弁護士事務所から多額の契約金でスカウトされます。
ニューヨークでもケヴィンはその手腕を遺憾なく発揮してオーナーのジョン・ミルトンに信頼されます。
ジョン・ミルトンは大金持ちで、何人も女性をはべらせている様な男ですが、お茶目で魅力的に描かれています。
お金持ちなのに地下鉄に乗るのが大好きです。
ケヴィンの妻が病気になったとき、ミルトンはケヴィンに休暇を取って看病に専念する様に助言する優しい一面も持っています。
しかし、ケヴィンは病気の妻を残して仕事に没頭してしまいます。
次の弁護で、またもや無罪にと信じていた依頼人が有罪だと確信してしまいます。
果たして無敗の記録を守るためにケヴィンは悪魔に魂を売ってしまうのか?
それとも自らの良心に従うのか?
興味があったら一度観てみてください。
この映画はケヴィンの虚栄心を描いた作品です。
名誉のために人を騙したり、傷つけたりして生きています。
悪魔のような人間だと言いたいところですが、悪魔から見ればケヴィンは人間的なようです。
ケヴィンにつきまとう悪魔はかなり上級の悪魔です。
この悪魔の存在に私は衝撃を受けました。
「悪魔ってこういうことを考えるんだ」
と感心してしまいました。
弁護士と悪魔を結びつけるなんて皮肉な原作者です。
なかなか面白いです。
しかし、この映画は私にとって評価の難しい作品でした。
弁護士ものとしてもオカルトものとしても、まずまず面白いのですが、少しツメが甘い気がしました。
ケヴィンが悪魔の存在をスンナリ受け入れてしまうところが、どうも附に落ちません。
日本人にとっては解りませんが、アメリカ人にとっては悪魔は存在して当たり前なのでしょうか?
普通はもう少しパニックになるか、悪魔の存在を否定するかしそうな気がしますが。
ケヴィンはやっぱり悪魔か、というくらい冷静でした。
そういえばデスノートで夜神月が死神リュークをスンナリ受け入れていたので、ある程度状況が揃うと悪魔も神も受け入れられるものでしょうか?
というわけで、私がこの映画の面白さを完全に理解しているとは言い難いと思います。
正直なところラストはピンと来ないものがありました。
どっちに転んでも悪魔からは逃れられないということなんでしょうか。
面白いラストといえば面白いのですが、消化不良感が残りました。
結局のところ悪魔の生態を観察して満足するだけの映画だといえなくもないです。
ピカチュウが可愛いから、ポケモンの映画を観ようという感覚に似ています。
ストーリーはそれほど大したことはないのですが、私はこの悪魔に魅了されてしまったので、何回も観てしまいそうです。