第261回目は「それでもボクはやってない」です。
2007年の日本の痴漢冤罪映画です。
*以降ネタバレ注意です。
私たちの1番身近な犯罪は、痴漢ではないかと思います。
もっとも私は痴漢ではありませんし、痴漢に遭遇したこともありません。
しかし、年間300件近くの被害が報告されているらしいです。
実際には、明るみに出ていない被害者が、100倍か1000倍はいるような気がします。
女性にとっては恐ろしい事だと思います。
しかし、男性にとっても恐れなければならない事があります。
それが、痴漢冤罪です。
痴漢に間違えられると、そこで一巻の終わりです。
現在では痴漢冤罪に対して、多少は聞く耳を持っているような話を聞いたりしますが。
映画の公開当時では、痴漢に間違えられたら最後、必ず有罪になり、社会的に抹殺されてしまうのが決定的でした。
痴漢は女性はもちろん、男性にとっても恐怖の犯罪なのです。
自分はやってないから大丈夫なんて考えていたら、あれよあれよという間に痴漢にしたてあげられてしまいます。
無罪の証明をするのはかなり難しいようです。
また、有罪を証明することも難しいのですが、ほぼ被害者の申告だけで立証されてしまうようです。
最近では科学捜査で繊維や、皮脂成分を調べてくれるケースもあるようですが、本当にやってくれるか信じられません。
もしも、科学分析してくれなければアウトです。
もはや性犯罪者の仲間入りです。
痴漢に間違えられたら、逃げるしかありません。
私などは、電車では出来るだけ女性の側に立たないようにして、両手で吊り革を持つように用心しています。
この映画は痴漢冤罪で捕まってしまうと、どうなってしまうのか、ドキュメントチックに描いた作品です。
面白い作品というわけではないのですが、是非、冤罪で捕まった時の教科書として観ておいた方が良いと思います。
物語はフリーターの金子徹平が痴漢の容疑で逮捕されるところから始まります。
徹平は無実を主張しますが、警察は聞く耳を持ってくれません。
それどころか「私がやりました」という調書を勝手に刑事が書いてしまいます。
弁護士も無実の罪を認めて、示談にすることをすすめてきます。
検察にも信じてもらえず、絶対に有罪にしてやると言われます。
それでも無実を主張する徹平は拘留され、裁判で争うことになります。
果たして徹平は無実を勝ち取ることができるでしょうか?
是非、観てみてみてください。
この映画は面白いとは到底言えません。
しかし、抜群のリアリティを備えていると思います。
ようは実際に、冤罪で訴えられると、全く笑えないということです。
つまりもの凄く良く出来た映画なのです。
とにかく腹の立つ映画(いい意味で)です。
駅員、刑事、検察、裁判官、全てがムカつきます。
正直なところ、主人公の徹平にも腹が立ちます。
唯一の味方は弁護士だけです。
いや、家族や友人も無実を信じて、応援してくれています。
しかし、結局のところ弁護士頼みであることは間違いありません。
敵、敵、敵、敵だらけです。
こんなことは言いたくはありませんが、被害者の女性さえ敵に思えてしまいます。
裁判では嘘をつくと偽証罪にとわれるそうですが、嘘ばっかりです。
イライラがMAXですが、映画としては大成功だと思います。
かなりの感情移入をしていたように思います。
同時に冤罪の恐ろしさを感じずにはいられません。
恐ろしいのは裁判官や、検察、刑事が自分達のメンツのために、無実の者を有罪に追い込もうとしていることです。
これも私はリアリティのある話だと思っています。
つまり、やはり訴えられたら終わりなのだということだと思います。
冤罪で訴えられるとどうなるのか、どうするべきなのか、この映画が参考になると思います。
恐ろしい映画であり、恐ろしい現実です。
電車に乗る人ならば、是非一度観てほしいです。
最後に、私が遭遇した痴漢事件(?)について、書いておこうと思います。
ある日、そこそこに混雑している電車でのこと。
突然私の後方から、女性の悲鳴が聞こえました。
私は痴漢かと思い、人をかき分けて悲鳴の方に向かっていきました。
すると女性に抱きついている男性が目に入りました。
「オイ!」
私は男性の首根っこを掴みました。
ところが、同時に私の足元に松葉杖が転がっていることに気がつきました。
瞬時に状況を察した私は
「オイ!コッチにつかまれ!」
私は男性を女性から引き離し、抱き抱えました。
男性はめちゃくちゃ重かったです。
体力も腕力もない私はプルプルと震えながら、必死に抱きかかえていました。
介護職の人は優秀で尊敬に値します。
なんとか周囲の協力を得て、男性を優先座席に座らせることが出来ました。
私はなんとなく良いことをしたような気分になっていました。
しかし、ふと男性が本当は痴漢で、わざと女性に抱きついた可能性を否定できないでいました。
徹平は本当に痴漢ではないのでしょうか?
そんな疑念がないわけでもありません。
チカン!アカン!