第184回目は「ザ ・ファブル」です。
*出典amazon.co.jp
2019年の日本のヤクザ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
私はこの映画を誤解していました。
殺しをしない殺し屋という設定であり、基本的にはアクション映画なのですが、どちらかというとコメディよりの映画なのではないかと思っていました。
ところが中身はヤクザものの映画でした。
しかも結構ハードめのヤクザものでした。
ひょっとしたら、ヤクザものが苦手な人は受け付けないかもしれません。
しかし作品としては、アクションはカッコ良いし、笑いもあり、シリアスな場面もあるバランスの取れた上質な作品になっています。
物語は、伝説の殺し屋「ファブル」がボスから1年間の潜伏期間を指示されるところから始まります。
一般人として普通の生活をするように命令されました。
その1年の間、殺しは禁止です。
もし、人を殺せばボスに抹殺されてしまいます。
潜伏先の大阪に向かったファブルは佐藤明として身を隠しますが。
潜伏先は真黒組というヤクザでした。
果たしてファブルは無事に潜伏期間をまっとうできるのでしょうか?
是非、観てみてください。
冒頭にファブルが暗殺者として活躍するシーンがあります。
ファブルの伝説の殺し屋としての実力を見せつけるシーンですが、圧倒的です。
次々とヤクザを倒していき、体感では割と長い時間戦っていた様な気がしましたが、たったの5分しかありませんでした。
ここはギュッとハートをつかまれました。
それから一転して、殺しを封印するという展開は上手いと思いました。
しかしながら、潜伏先がヤクザというのは選択として間違っているのではないでしょうか?
それともボスはワザと物騒なところに送り込んだのでしょうか?
不思議です。
ありがちなパターンでいけば、潜伏先は教会が経営している孤児院とかで、結局ヤクザに因縁をつけられる、というのが王道ではないでしょうか?
まぁ、それじゃあ普通すぎて、つまらないかも知れませんね。
本編は真黒組の内部抗争が大部分を占めているので、ファブルの一般人としての生活は僅かしか描かれていません。
そこは少し残念な気がします。
ヤクザものに嫌悪感を抱く人はキツいかもしれません。
現に私も登場人物のチンピラの所業に嫌悪感を禁じえませんでした。
最終的にはスッキリと回収されるので、納得しますが、それなりのヘヴィさを感じました。
結局のところ、良くできたヤクザもので、ヤクザの比重が高い作品になっています。
終盤の戦闘シーンを短くして、もっとファブルの私生活を多めにして欲しかったです。
全体的な人物描写も少し浅めに感じました。
少なくとも悪役にはそれなりの深みがないと、戦いの価値も上がらないと思います。
戦闘シーンが見せ所というのも判りますけど、長過ぎたように感じました。
冒頭の戦闘シーンは本気のファブルなら5分間で片付けられ。
終盤の戦闘シーンは殺しを封印されたファブルが手加減しているので、30分かかった。
と、とらえるべきなのでしょう。
そこも良く出来ていると評価するべきなのでしょう。
総合的な評価としては充分満足できる作品だったと思います。
間もなく続編も公開されるそうなので、序章としてはなかなかの出来だったと思います。
少なくとも続編も観てみたいという気持ちになっています。