第203回目は「シモーヌ」です。
2002年のアメリカの映画です。
*以降ネタバレ注意です。
突然ですが、皆さんはアニメは好きでしょうか?
私はアニメも実写も同じくらい好きだと思います。
さて、アニメと実写の違いですが、簡単に言えばアニメは「絵」であり、実写は「写真」だと考えられます。
アニメは極端な言い方をすれば、声優の演技以外は完全に思い通りに作れる物だと思います。
実写の場合は、天候や時間、光や音、俳優の演技など自然のものをカメラに収めた物だと思うのです。
特撮も含めてです。
こう考えるとアニメと実写は正反対な物な様な気がします。
どちらも、素晴らしい技術なので優劣はないと思います。
さて、近年はアニメもCG化が進んでおり、中には実写じゃなかろうか?
と勘違いしてしまうような作品(一部シーン、特に背景)もあると思います。
凄い時代になった物です。
ところで実写の方はというと、やはりCGが進んでいて、現実離れした映像が作られています。
撮影の殆どが合成用のブルーバックで行われるというのもごく普通のようです。
中には俳優の表情もCGで修正できたりすると聞いたこともあります。
宇宙人なんかも、昔は特殊メイクでしたが、最近ではCGで作られるのが、主流でしょう。
私はSFやファンタジーが好きなので、CGが映像的革命を起こしていることをダイレクトに感じています。
素晴らしいことです。
そして、ふと思ったのですが、最近の実写は実はアニメなのではないのでしょうか?
そのうち、実写でも俳優は必要なくなり、声だって合成音声で作られれば100%作り物の実写が完成します。
それってアニメですよね?
そういう時代が、すぐそこまで来ているような気がします。
さて、この映画「シモーヌ」はヴァーチャルアクトレス(ヴァクトレス)、つまりCG女優にまつわる物語です。
主人公は売れない映画監督ヴィクター・タランスキー。
タランスキーは過去にアカデミー賞にノミネートされるくらい才能がありました。
しかし、タランスキーの作品は興行成績よりも芸術性を重視しているため、それ以降の作品は、鳴かず飛ばずでした。
ある日、主演女優に役を降りられ、映画製作が頓挫してしまいます。
そんな時、プログラマーのハンクと出逢います。
ハンクの発明はヴァクトレスのプログラムでした。
タランスキーはCGで作り上げた理想の女優を使って映画を完成させました。
そして、その映画は大ヒットしてしまいます。
謎の主演女優シモーヌが注目を集めましたが、詳細は一切極秘とされました。
シモーヌの正体を探るマスメディアと正体を隠すタランスキー。
そして事態は思わぬ殺人事件へと発展します。
果たしてタランスキーとシモーヌの運命は?
是非、観てみてください。
この映画は私にとっては、かなり面白かったです。
多少無理のある設定かもしれませんが、近い将来にはこの映画の様なことが起こっても不思議ではないような気がします。
プライドの高い映画監督が理想の女優を見つけるというシチュエーションが面白いです。
基本はコメディなんですが、何だかオシャレな雰囲気が漂っています。
展開もドラマティックで、飽きさせません。
映画監督の苦悩なども垣間見れて楽しい作品になっています。
架空のシモーヌに周囲の人間が、振り回されているのが滑稽です
私は演技の良し悪しはあまり分かりませんが、監督にとって演技の下手な俳優とか、最悪ですよね。
特に日本では演技力よりも知名度や人気でキャスティングされることが多いそうです。
監督が思うように撮れないような謎の圧力があったりすると聞いたことがあります。
泣く泣くOKシーンにした監督も少なくないのではないでしょうか。
そんな時に、ヴァクトレスがあれば問題は一挙解決です。
セリフも表情も監督の思い通りです。
なんならオードリー・ヘップバーンやチャップリンの新作なんかが観られるかもしれません。
近未来にはヴァクトレスの時代がやってくるはず。
と、言いたいところですが、やはり俳優は本物の方が良いような気がします。
それは、やはりアニメなので。
逆にアニメ業界が限りなく実写に近づくというのはあるかもしれません。
ゲームなんかはかなり実写的な作品もありますね。
感覚的にはアニメは、よりアニメらしい作品という方向に進んでいる様な気がしますけど。
それでも近い将来、誰かが実写と見分けのつかない作品を作るのではないでしょうか。
いや
もしかしたら、すでに人間だと思い込んでいるヴァクトレスが存在しているかも?
なんて、
そういえば、CGアイドルと呼ばれた元AKBの渡辺麻友が、忽然と姿を消しました。
ひょっとして……。
というのは冗談です。
近未来作品として魅力的な映画なので、是非観てみてください。
エンドロールの後も少しあるので、見逃さないでくださいね。