第122回目は「遊星からの物体X」です。
*以降ネタバレ注意です。
舞台は南極大陸です。
南極には見えないので、おそらくロケ地は別の場所だと思われますが南極大陸です。
冒頭ではヘリコプターが1匹の犬を追いかけています。
私は勝手に犬の名前をタロと呼んでいます。
タロはヘリコプターから銃撃を受けています。
必死に逃げるタロ。
やがてタロはアメリカの観測基地に到達します。
人懐っこいタロはアメリカ人に助けを求めます。
追ってきたヘリコプターは着陸し、銃を構えながら何かを叫びますが、ノルウェー語のために聞き取ることができません。
ノルウェー人が発砲し、アメリカ人が負傷したのでやむを得ず射殺してしまいます。
ノルウェー人の異常な行動を解明するために主人公のマクレディは、ノルウェー人の南極観測基地に向かいます。
そこでマクレディは氷の下に埋まっていた宇宙船の発掘現場を発見しました。
しかし生存者は誰もおらず、奇妙な生物の焼死体だけが残されていました。
マクレディはノルウェー人の残した資料などを持ち帰ります。
一方、アメリカの観測基地ではタロが基地内をあちこちウロウロしていました。
しかし、タロは観測員にオリに入れられてしまいます。
オリの中には数頭のハスキーがいます。
しばらくするとタロに異変が起こりました。
タロがみるみる怪物へと変貌していきました。
「タロー!」
思わず口にしてしまうほどの鮮烈なシーンです。
映画史上に残る変貌ぶりです。
怪物となったタロは他のハスキー犬に襲いかかります。
「ジロー!リキー!アンコー!」
(犬の名前は私が勝手に呼んでいるだけです)
怪物は他のハスキー犬と同化しているようです。
マクレディが持ち帰った資料から、ノルウェー人が宇宙船から生命体を回収したことがわかりました。
その生物は他の生物と同化して、身体を乗っ取ります。
乗っ取られた本人は自分が怪物と同化していることに気がついていません。
つまり、すでに誰かが怪物に同化されている可能性があるのです。
もしこの怪物が南極の外に逃げてしまえば、コンピューターの計算では27000時間で全人類は怪物と同化してしまうそうです。
幸いにも南極基地は外界から閉ざされた閉鎖空間であり、春までは救助が来ることもない。
それまでに怪物化した人間をあぶり出し、焼却してしまわなければいけません。
果たして怪物を退治できるのでしょうか?
是非、観てみてください。
|
閉鎖空間で未知の怪物と戦うというのはエイリアンと通づるものがありますが、また違った味のある作品になっています。
怪物も人間に擬態していて、本人ですら同化されていることに自覚がないため、誰が怪物か判らないという猜疑心と恐怖感が新感覚だと思います。
怪物の形状も斬新で、驚きもあり気持ち悪さもあり、なかなかの出来映えです。
中でも怪物かどうかを調べるための血液検査のシーンは秀逸です。
極限の心理状態が伝わって来ます。
派手さはないものの、80年代の良い雰囲気を醸し出していました。
SFの古典として重要な作品だと感じました。
一回くらいは観ても損はないと思います。
さて、ついでに2011年に公開された
「遊星からの物体X・ファースト・コンタクト」も観てみました。
1982年版の前日譚です。
ノルウェー観測隊が宇宙船と怪物を発見したところから始まり、犬のタロが逃げ出すところまでが描かれます。
つまり、1982年版に直接つながる仕上がりになっています。
しかし、時系列通りに観るのではなく、1982年版から先に観て2011年版を観る事をお勧めします。
1982年版を観たことがなければ、こちらだけ観ても楽しめる思います。
2011年版の感想としては、内容がほぼ1982年版と同じなので、目新しさは感じませんでした。
映像が現代風になっただけです。
しかし、ラストが1982年につながったところで満足感が得られました。
2011年版を観ると改めて物体Xは良い作品だと再確認できました。
|
機会があれば観てみても良いと思います。