シン・ウルトラマン鑑賞記念として、10年前2012年にmixiに投稿した記事を再投稿しています。
今回はザラブ星人と対決します。
そして新しい仲間が登場します。
今回登場のスギは害敵宇宙人犯罪捜査課の捜査員という設定です。
あくまで平和的に侵略をお断りする物語です。
第3話 遊説に来た兄弟
スギ
「本日は降り注ぐ放射線から地球を守った、英雄ザラブさんを紹介します」
ザラブ
「地球人のみなさん、ザラブとは母星の言葉で宇宙の兄弟という意味です。兄弟たる地球人のために当然のことをしたまでです」
スギ
「ありがとうございます。地球を代表して感謝の意を表します」
ザラブ
「こちらこそ、地球のみなさんに歓迎していただき、心から感謝いたします」
スギ
「みなさん、地球の兄弟ザラブさんに盛大な拍手をお願いします」
スギ
「ザラブさん、地球の生活で御困りになった時のために、相談役を紹介します。呼んでまいりますので、しばらく歓迎パーティーをお楽しみください」
ザラブ
「これはご親切に。では、よろしくお願いします」
スギ
「あっ、居た居たカズマ。こんなところで何やってんだ」
カズマ
「クックック。ザラブ星人の科学力があれば地球征服も夢ではないな。逆らう者を皆殺しにして、従順な秩序ある世界を創ってやる」
スギ
「あっ、待てカズマ。」
ザラブ
「聞きましたよ。」
スギ
「あっ、ザラブさん。どうしてここに」
ザラブ
「そんなことより、カズマは地球征服を企む危険人物だ。速やかに排除するべきだ。さぁ私も手を貸しましょう」
スギ
「しかし。」
ザラブ
「何を迷っているんです。カズマは地球とザラブの友好を打ち壊そうとしているんですよ」
スギ
「解りました……。動くな!両手を挙げろ!」
ザラブ
「何を考えているんです。銃を向ける相手がちがいますよ。人類の敵はカズマですよ」
スギ
「黙れ貴様、人間の信頼に亀裂をいれ、同士討ちさせようって魂胆だろう」
ザラブ
「フッフッフ、ばれちゃー仕方がない。さっきのニセカズマは私だ」
スギ
「何だって(普段と言ってることが変わらんから、解らんかったー)バカめ、そんなことは、とっくに御見通しだ」
カズマ
「あれー、こんなとこで何やってるんです?あー何でザラブさんに銃を向けてるんですか?」
スギ
「ザラブは地球征服を目論む侵略者だ」
ザラブ
「フッフッフ、ならばこれでどうだ」
スギ
「ひゃはーっ、カズマが二人に?」
カズマA
「私が本物だ」
カズマB
「いや、私が本物」
スギ
「よし、どっちが本物かテストしてやる。あるところに自分を含め三人が閉じ込められている。救助を待っているが、食糧が底を突いた。しかし、自分はあと2食分の食糧を隠し持っている。さぁ、どうする?」
カズマA
「当然、全てほかの二人にわけ与える。私は犠牲になっても構わない」
スギ
「なに?貴様は偽者だなー!本物がそんな判断するものか!」
カズマA
「ま、待て。やっぱり2食とも自分の物にする」
スギ
「うーん、カズマならあり得る」
カズマB
「私はそんな強欲ではありませんよ」
スギ
「では、そっちのカズマならどうする?」
カズマB
「当然、三分の二ずつ公平に分けます」
スギ
「こっちも怪しいな」
カズマB
「待って下さい。細かく言えば2食あることは秘密にして、一人ずつ個別に1食を三分の二と三分の一に分け、多い方を相手に渡し恩を売る。これを二回繰り返せば、よしんばバレても公平に分けているから、文句は言われない」
スギ
「この微妙なセコさ、こっちが本物か?」
カズマA
「何て姑息なやつだ。こんなやつ例え本物でも許せん」
カズマB
「ハッハッハッ。私は卑怯者と誉められる覚えはあっても、姑息などと罵られる覚えはありませんよ」
スギ
「あー面倒くせー。今から二人とも同時に打つ。本物のカズマなら避けられるはずだ」
カズマA
「わかった。(なるほど、信頼を試そうと言うわけか。つまり避けた方が偽者ってことだな。私がパタリロを知らないとでも思ったか)いつでも良いぞ。」
カズマB
「あのーすいません。場所変わって貰っていいですか?」
カズマA
「こんな時に何言ってるんだ?」
カズマB
「だって左手の銃の方が命中率低いでしょ」
スギ
ザラブ
「グハーッまさか本当に撃つとは……」
カズマ
「何で避けなかったんです?」
ザラブ
「貴様らの……信頼関係は一体……どうなっているんだ……?」
カズマ
「いや絶対、撃たれると思ったし。」
スギ
「絶対、信用していないと思ったからな」
カズマ
「つまり、お互いに信用できないという信頼感で結ばれているわけです」
ザラブ
「地球人を……みくびっていたようだ……グフッ」
カズマ
「あーあー、初めて死者を出しちゃいましたね」
スギ
「仕方ないさ。信じる心をもてあそんだザラブが悪い」
カズマ
「彼が本当に兄弟だったら、地球征服も夢じゃなかったのに、残念です」
スギ
「……」
おしまい