第264回目は「shall we ダンス?」です。
1996年の日本の社交ダンスコメディ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
私の感覚では、日本人はダンスとはほぼ無縁なのではないかと思っています。
ダンスが職業の人やダンスが趣味という人でなければ、踊る機会は皆無だと思われます。
とは言え20代より若ければ、学校でダンスの授業があったり
50代なら、ディスコブームでブイブイ言わせてたという時代もあったと思います。
ちょうど私のように40代辺りの人は、ダンスとはほぼ無縁だという気がします。
(ダンス甲子園というTV番組が流行っていましたけど)
しかしながら、少なからず小・中学生の頃は体育祭のためにフォークダンスを踊っていた記憶があります。
時にはイヤイヤながら、時にはデレデレしながら踊っていました。
今思えば私にとっては、良き思い出と言えるでしょう。
そういう意味では、ダンスに対して忌避感というものもないような気がします。
そういえば、たまにふざけてDA PUMPの「USA」を踊ったりしてるので、まるで無縁とも言えないか。
さて、この映画はダンスと言っても、社交ダンスを題材にしています。
一時期、ウッチャンナンチャンの社交ダンス部というテレビ番組も流行っていた記憶もあります。
しかしながら、私の周りには社交ダンスに興じている人は全くいません。
それだけマイナーな世界だと思われます。
調べたところによると、日本では100人に1人くらいが社交ダンスをしているそうです。
意外と多い気もしますね。
私にとっては未知の世界なのですが、この映画は社交ダンスの世界への入門編としてはベストな作品だと思います。
初心者の中年が一から社交ダンスを習い始めるので、全く無知の私が観ても、充分世界観に入っていけます。
物語は妻子のある経理課長の杉山正平が主人公です。
家族関係も良好で、マイホームも購入して、幸せな家庭を築いていました。
しかし杉山自身は、心に物足りなさを感じていました。
杉山は電車通勤の車窓から毎晩、社交ダンス教室の窓辺に立つ女性を眺めていました。
意を決して社交ダンス教室に乗り込んだ杉山は、成り行きでレッスンを受講することになります。
窓辺にたたずんでいた憧れの女性は、ダンス講師の岸川舞でした。
杉山は社交ダンスにハマっていきました。
ある日、杉山は岸川舞を夕食に誘いますが、下心を見抜かれ拒絶されてしまいます。
それ以降、杉山は社交ダンスに真剣に取り組むようになります。
一方杉山の妻である昌子は、夫の浮気を疑い探偵社を訪れていました。
果たして、杉山は浮気をしてしまうのでしょうか?
杉山は社交ダンスと、どう向き合うのか?
是非一度、観てみてください。
多少地味な映画という感じは否めませんが、素晴らしい作品でした。
舞台のメインは社交ダンス教室ですが、とても雰囲気が良いです。
リアリティを感じるというか、寂れた感が上手い具合に漂っていました。
役者も粒揃いで、誰も彼もが魅力的に描かれています。
特筆すべきは岸川舞を演じている草刈民代でしょう。
前半は死んだ魚のような目をしていますが、杉山との出会いによって活力を取り戻して行きます。
後半に見せる生気に溢れた笑顔は、岸川舞の心情の変化を見事に演じきったと思われます。
また青木を演じる竹中直人の演技、ダンスも素晴らしかった。
大袈裟で気持ち悪いと呼ばれるダンスですが、かなり魅惑的に表現されていました。
やれと言われてできるダンスではないように思います。
青木はこの映画の影の主人公と言っても過言ではありません。
徐々にダンスが上手くなって行く登場人物に共感します。
私も少し、社交ダンスを踊ってみたくなりました。
ダンスが好きな人にはお勧めです。
老後の趣味を探している人にもお勧めだと思います。
さてこの映画は評価が高く、2004年にハリウッドでリメイクされています。
続けて観て観ましたが、ストーリーはほぼ同じでした。
やはり、文化の違いからか、ニュアンスがかなり違うように感じました。
アメリカはダンスを踊る機会が少なからずあるので、ダンス教室のシーンは少なめでした。
その分、サクサク進むスッキリした印象のストーリーとなっています。
ハリウッド版ならではの美しさ魅力です。
私としては日本版を観ることをお勧めします。
完成度は日本版の方が高いと感じています。
余力のある人は、どちらも観ることをお勧めしておきます。
できれば日本版からみてください。