第254回目は「テルマエ・ロマエ」です。
2012年の日本のお風呂コメディ映画です。
皆さんはお風呂は好きでしょうか?
正直なところ、私はカラスの行水で、家ではゆっくり入浴を楽しむということはありません。
その代わり、温泉やスーパー銭湯ではゆっくり時間をかけて大風呂を堪能しています。
ここしばらくは、コロナの関係で2年ほどご無沙汰しています。
また、落ち着いたら温泉にでも行きたいものです。
さて、あまり知られてはいないかもしれませんが、実は日本のお風呂は世界一素晴らしいのであります。
温泉もそうですが、公衆浴場、スーパー銭湯などお風呂をメインにした施設があるのもダントツに日本が多いと思います。
加えて家庭用のお風呂の設備技術なども、日本が最も進んでいるハズです。
お風呂だけでなく、トイレも世界一だと思われます。
確かウォシュレットは日本の発明だったハズです。
ひょっとしたら毎日風呂に入る習慣も日本特有の文化なのかもしれません。
ヨーロッパではあまりお風呂文化に力を入れている様子はありません。
フランス人などは3日に一回お風呂に入る感じだと聞いたことがあります。
しかし、実は大昔にヨーロッパでもお風呂が重要視されていた時代があったのです。
それは古代ローマ帝国です。
ローマでは公衆浴場が文化の象徴であった時代があったそうです。
この映画はそんなお風呂事情を描いた作品です。
タイトルの「テルマエ・ロマエ」とは「ローマのお風呂」という意味だそうです。
テルマエ(浴場)設計技師のルシウスは一流の建築家でしたが、新しいアイデアが思い浮かばず苦悩していました。
ある日、公衆浴場につかりながら思案を巡らしていると、ルシウスは浴槽に空いた穴に吸い込まれてしまいます。
そして、穴の先に出た所は、「平たい顔族」の銭湯でした。
平たい顔族の銭湯はローマよりも進んでおり、ルシウスはそのアイデアをローマに持ち帰ります。
早速、平たい顔族の文化を取り入れた公衆浴場を建設したルシウスは名声を取り戻しました。
しかし、ルシウスは平たい顔族の文化を盗用したことに罪悪感を感じます。
更には、ルシウスは皇帝にも目をかけられ、ローマの歴史にも深く関わることになっていきます。
果たしてルシウスはテルマエ技師として、ローマの歴史とどう関わって行くのでしょうか?
是非、観てみてください。
この映画は、素晴らしい作品です。
お風呂映画であり、歴史ものであり、タイムリープものでもあるのです。
平たい顔族というのは、実は現代の日本人であり、ルシウスはお風呂を通じで現代にタイムスリップしていたのです。
ルシウスには銭湯のフルーツ牛乳や洗面器、壁の富士山の絵ですら斬新だったのです。
ルシウスは度々、現代と古代ローマを行き来することになります。
そして、古代ローマの描写が素晴らしい。
それもそのはず、ローマのセットにはアメリカのTVドラマ「ローマ」のセットがそのまま使われているそうです。
言わば、この映画はハリウッドと邦画のハイブリッド作品なのです。
主人公のルシウスは日本人である阿部寛が演じていますが、顔が濃いので、さほど気にはならないと思います。
逆に、平たい顔族のヒロイン山越真実に上戸彩を起用したことには若干の悪意を感じます。
それはともかくとして、ローマのシーンと日本のシーンの格差が上手く演出されています。
この映画には邦画が洋画に追いつくためのヒントが隠されている様な気がします。
この点は是非、観ておいて欲しいと思います。
基本はコメディなのですが、ローマの歴史を揺るがす様なストーリーになっていて、重厚さを感じます。
お風呂が如何に文化として重要な位置にあるかというところが、垣間見えます。
お風呂も、銭湯や温泉、自宅浴室など様々なシチュエーションが盛り込まれていて楽しめます。
名作というのとは少し違いますが、映像価値の高い作品であることは間違いないと思います。
単純に面白いですし、観ておいて損はないと思います。
風呂上がりにのんびりと観るのにもってこいの映画です。
一応、続編の「テルマエ・ロマエll」もありますが、内容としては一作目とあまり変わらず、テンションが同じです。
出典Amazon.cp.jp
私は少し飽きてしまった感じはありましたが、一応完結まで観たという満足感は得られました。
興味のある人は是非、観てみてください。
最後に私のお風呂の思い出を一つ。
最近はコロナの関係で、行けてはいませんが、数年前まではスーパー銭湯にちょくちょく出かけていました。
たまには露天風呂なんかにのんびりとつかるのも良いものです。
しかし、欠点と言いますか、私は視力が悪くメガネがないとほとんど見えません。
まあ、お風呂でそれほど困ったことはありませんけど。
温泉の効能などが書いてあっても読めません。
たまにもの凄く深い「立ち湯」という立って入る風呂があってビックリすることがあります。
さて、ある日。私はスーパー銭湯で色々と温泉を楽しんでいると、
端の方に数十個のオレンジ色の球体が浮いている風呂がありました。
「ミカン風呂」の季節だなと思い私はその湯船に入りました。
「浅い!」
もの凄く浅かったので
「これは寝湯というやつだな」
そう思い、私は浴槽に寝そべりました。
すると顔の近くにミカンが漂って来ました。
ところが、
ミカンだと思っていたそれは、
アヒルちゃんだったのでした。
全てを察した私は、サッと身を翻し隣のノーマルな浴槽に転がり込みました。
「ふう、どうやら子供用のお風呂らしい」
私は周囲の目線を気にしながら、誰にも見られていないか確認しました。
すると、かなり高齢のおじいさんが近づいて来ました。
「どれどれ」
おじいさんはアヒルちゃん風呂に、そろりと入り浴槽に寝そべってしまいました。
私はドン引きしてしまいました。
「嗚呼あ、違う!私のせいではない!」
いたたまれなくなった私は静かにその場を後にしました。
一瞬、振り返った私は
「あれが正解かもしれないしな」
そう自分に言い聞かせて、おじいさんが他の人に笑われないことを祈るのでした。
おしまい。