第223回目は「レッドクリフ」です。
パート1(2008年)、パート2(2009年)の2部構成の歴史映画です。
制作は中国、香港、日本、韓国、台湾、アメリカの合作となっています。
*以降ネタバレ注意です。
全60巻もあり、漫画版としては最も詳しく描かれた作品ではないでしょうか。
流石に60巻を読むのは大変なので、手軽に読みたい人には李志清の三国志全14巻を読むことをオススメします。
実は私は李志清版の方が好きです。
絵が綺麗です。
もちろん大分省略されているので、深く興味のある人は横山光輝版や小説「三国志演義」を読むことをオススメします。
あと、ゲームで言えば「三国無双」シリーズが登場人物を詳しく知るための情報源になると思います。
三国志に無縁だった人は、是非これらの作品を少しかじってから「レッドクリフ」を観ることをオススメします。
というのも「レッドクリフ」は三国志のエピソードの中盤から唐突に始まるのです。
多分、前知識がないと「は?」っとなることは間違いありません。
なので、「レッドクリフ」のあらすじを語る前に、それまでのストーリーをザックリと語っていきたいと思います。
時は西暦184年。
中国は漢(後漢)王朝が納めていました。
しかし政治は腐敗し、国は乱れていました。
その頃、黄巾党の張角らが反乱を起こします。
董卓は絵に描いたような独裁者で、世の中は更に悪い方向へと向かっていきます。
そこで立ち上がったのが、曹操です。
そこには劉備も参加していました。
それから紆余曲折あって、今度は国の実権を曹操が握ることになりました。
さらに、なんだかんだあって劉備は荊州というところを納めていました。
そこで、強力な助っ人である諸葛亮孔明を軍師として迎えます。
今ここ。
さて、ここからが映画のストーリーとなります。
そう、まさに劉備軍が曹操軍に追われている状態から始まるのです。
いわゆる長板坡の戦いです。
その後、諸葛亮孔明の助言を得て、劉備は呉を治める孫権と同盟を結ぶことを決めます。
しかし、孫権は劉備と手を組めば、曹操を敵にまわすことになるので、乗り気ではありませんでした。
そこで、諸葛亮孔明が交渉のために呉に赴きます。
呉に与えられた選択肢は劉備と共に曹操と勝ち目のない戦いに臨むか、そのまま曹操に降伏するかの二者択一です。
果たして同盟は成立するのでしょうか?
是非、観てみてください。
三国志の実写版としてはスケールのデカい作品だと思います。
この映画から三国志を好きになるという人もいるかもしれません。
そのくらい三国志の魅力を引き出している作品だと思います。
特に赤壁の戦いまでを切り取った作品だと思えば良い出来だったと思います。
逆に三国志の全体から見れば、後のストーリーと繋がらないという点では、問題があるような気もします。
もちろん映画は映画なので、それで正解なのだと理解しています。
ですが、やはり実写化の違和感というのは、なかなか拭えないものなのですね。
若干の物足りなさも感じます。
2人の能力を釣り合わせるために、孔明の才能が控えめに設定されているように感じました。
その為「孔明スゲー!」っという感動がありません。
そこが今作の売りでもあるので、仕方ないところでしょうか。
では、逆に素晴らしいところと言うと、やはり映像美と再現度だと思います。
孔明と周瑜は主役なので、多少手が加えられていますが、ほかの登場人物に関しては文句なしに再現されていたように感じました。
劉備軍では関羽、張飛、趙雲などの武将が原作さながらに立ち回り、圧倒的な強さを見せつけます。
戦術面でも可視化が難しそうな八卦の陣を、見事に映像化しています。
ここだけでも観る価値はあったように思います。
今思えば、前半のパート1は原作に近く、後半パート2がオリジナル要素が濃いめでした。
その辺り、リアリティよりもロマンティックを重視した脚本になっています。
あっ。
今やっと解りました。
私は「レッドクリフ」に戦略や戦術といった軍事的要素を求めていたのですが。
この映画はラブストーリーだったのです。
三国志に愛情などは無縁だと思っていましたが、後半は間違いなくラブストーリーです。
私が感じていた違和感は、これでした。
そう考えると、この作品も三国志を題材にした別物として、とらえることができます。
納得です。
周瑜の妻、小喬は絶世の美人ということで、曹操に狙われていました。
そっちが本筋だったのですね。
私の見方が間違っていました。
でも、なんかチョッとスッキリしました。
というわけで、三国志ファンにもそうでない方にもオススメの映画でした。