第180回目は「里見八犬伝」です。
1983年の日本のファンタジー時代劇です。
*以降ネタバレ注意です。
江戸時代に書かれた「南総里見八犬伝」の映画化です。
しかし、原作とはかけ離れたオリジナルストーリーになっています。
長大な原作を一本の映画にまとめたことを考えれば、評価するべき変更だったように思います。
物語は戦国時代、里見義実(さとみよしざね)は蟇田定包(ひきたさだかね)を討伐します。
定包の妻、玉梓(たまづさ)こそが悪の権化であり、領民を苦しめていました。
里見義実は火をかけて、玉梓を焼き殺しました。
死ぬ間際、玉梓は里見家に呪いをかけてしまいます。
その後、里見家は隣国に攻められ滅亡の危機となりました。
里見義実は愛犬の八房(やつふさ)に
「敵将の首を取ってくれば、褒美に娘の伏姫を嫁にくれてやる」と戯れに言ってしまいました。
そして、八房は見事に敵将の首を取ってきました。
伏姫は八房の妻となり、山に篭ります。
里見義実は山に鉄砲隊を送り、八房を殺そうとします。
ところが、八房を庇った伏姫に銃弾が当たってしまいました。
その時、伏姫の身体から八つの光の玉が飛び散りました。
「100年の後、光の玉が八人の犬士となって玉梓の呪いに打ち勝つでしょう」
死ぬ間際に伏姫はそう言い残しました。
そして、100年後
玉梓は妖怪となって蘇り、悪の軍団を率いて里見家を滅ぼしてしまいました。
唯一の生き残り静姫は、なんとか城から脱出していました。
そして静姫のもとに光の玉を携えた犬士が集まってきます。
果たして静姫は玉梓の呪いに打ち勝つ事が出来るでしょうか?
是非、観てみてください。
邦画の中では、私の好きな作品の上位に挙げられます。
今観ても充分に面白いと感じました。
多少、安っぽい特撮がありますが、それでも素晴らしい出来だと思います。
設定も凝っていて、とても江戸時代に書かれたとは思えません。
八犬士が個性的で魅力があります。
2人ばかり手抜きで仲間になった感がありますが、八犬士が集結していく様は見応えがあります。
往年のアクション俳優が多数出演しており、私としては嬉しい限りです。
中でも親兵衛役の真田広之、道節役の千葉真一、毛野役の志穂美悦子、信乃役の京本政樹、現八役の大葉健二は私の好きな俳優たちです。
静姫を演じる薬師丸ひろ子も、どちらかというと姫っぽくはない気がしますが、無垢で神秘的な雰囲気を帯びています。
コレだけでも豪華キャストです。
それにも増して、悪の軍団も魅力的なのです。
蛇の妖怪やムカデの妖怪、怪しげな坊主など悪役にピッタリの顔ぶれです。
黒甲冑の雑兵と赤甲冑の指揮官というのもビジュアル的にカッコいいと思いました。
中でもボスキャラの夏木マリ扮する玉梓は妖艶な美貌で、まるで本物の妖怪のようです。
正に怪演と言ったところでしょう。
こういう冒険ものは、いかに敵に魅力を持たせるかが勝負だと思います。
そういう意味では抜群の悪役であり、見事に善悪のパワーバランスが拮抗しています。
最後の決戦まで楽しめます。
なかなか完全なハッピーエンドとは言い難いかも知れませんが、綺麗にまとまっていると思います。
邦画のヒロイックファンタジーとしては、今のところ1番好きです。
こういう映画はここ最近では見かけなくなったように思います。
時代劇ということもあって、今後も「里見八犬伝」の様な作品は現れないかもしれません。
ちょっと古いかも知れませんが、ファンタジーが好きな人は是非、観て欲しいです。
因みに主演の真田広之は子供の頃の私のヒーローでした。
もう少し身長が高ければ、もっとハリウッドで活躍したかも知れません。
いや、これから活躍するかもしれないですね。