第178回目は「ゲティ家の身代金」です。
2017年のアメリカ・イギリス合作の実話を基にしたクライムサスペンス映画です。
フィクションとノンフィクションでは映画の見かたが随分と変わると思います。
フィクションの場合は「いかに楽しませるか」という演出と脚本が必須だと思います。
逆にノンフィクションの場合は「いかに事実に近づけるか」という演出と脚本になるように思います。
更に言えば、フィクションの場合は「いかにリアリティを持たせるか」が勝負であり。
ノンフィクションの場合は「いかにフィクションを交えるか」が鍵になっているように思います。
100%事実では映画として成立しない場合もあると思うので、ある程度の脚色は必要だと思います。
しかし、この映画はまるで事実とは信じられない様な部分が事実なのだそうです。
そういう意味では、かなり衝撃的な映画でした。
物語は、大富豪のジャン・ポール・ゲティの孫、ポールが誘拐されるところから始まります。
犯人からの要求は身代金1700万ドルでした。
しかし、ゲティ氏は身代金を払おうとはしませんでした。
表向きは、「身代金を払ってしまうと他の孫も誘拐犯に狙われるから」ということでしたが。
実はジャン・ポール・ゲティ氏は稀代のドケチだったのです。
果たしてポールは無事に救出されるのでしょうか?
是非映画を観てみてください。
実話ということで、残酷な展開には重みを感じました。
犯人も残忍ですが、ゲティ氏は冷酷です。
というかドケチです。
こんなケチな人間がいるものなのですね。
私の前職の社長と同じくらいドケチです。
身代金を値切ったり、節税対策に使ったり、あるいは脅しに使ったりと見事なケチっぷりです。
孫の命よりも美術品の方が大事な様子です。
こんな事件が本当にあったなんて信じられません。
良い意味で酷い内容です。
絶望感が凄いです。
冒頭の方であるキーアイテムが出てきます。
映画を観ながら、私はそのキーアイテムが希望をもたらすと思っていましたが、まさかの絶望のどん底に落とされてしまいました。
監督の仕掛けた罠にハマってしまいました。
見事な演出です。
それにしてもイタリアンマフィアというのは恐ろしい連中です。
それに対抗するには、ドケチじゃなければならないのでしょうか?
私の感覚ではイタリアは犯罪が多いという印象ですが、ますます恐ろしくなってしまいました。
誘拐を題材した映画の中では上位に食い込む作品だと思います。
実話なので、言って良いのか分かりませんが、私はかなり面白かった様に感じました。
フィクションであれば、悪質な作品と言ったかもしれませんが、実話であるなら最高の出来だと思います。
「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、大富豪やドケチというのは私にとっては浮世離れした世界の様です。
私の前職のドケチ社長も、まるでコメディマンガから抜け出してきた様な人でした。
ケチってケチって、大損するような可愛げのあるひとでした。
ゲティ氏はケチで財産を成したのだから、バカにはできないのかもしれません。
しかし、身代金くらいは払ってあげて欲しいものです。
というわけで、マフィア対ドケチの戦いの行く末を是非観てみて下さい