第177回目は「さよなら銀河鉄道999ーアンドロメダ終着駅ー」です。
1981年の日本のアニメ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
「銀河鉄道999」の直接の続編です。
私は続編というものがあまり好きではありません。
綺麗に完結したのに、実は更なる不幸が待ち受けていたとなれば最悪です。
もちろん中には、ターミネーター2やエイリアン2のような素晴らしい作品もあります。
ですが、続編が駄作だった場合は目も当てられません。
続編を観るには勇気が必要です。
私は続編鑑賞恐怖症なのです。
さて、ではこの「さよなら銀河鉄道999」はどうでしょうか。
実は私はこの作品を受け入れることが、ずっとできていませんでした。
しかし、今回鑑賞したことで、やっと納得することができました。
いろいろと考察の余地はあると思いますが、良い作品だと思います。
物語は前作の2年後。
地球は人間と機械化人間の戦争状態となっていました。
星野鉄朗もパルチザンとして機械化人間と戦っていました。
そんな鉄朗の元にメッセージが届きました。
「鉄朗、999に乗りなさい」
メーテルの声で再生されるメッセージに導かれ、鉄朗は再び銀河鉄道999に乗り込みます。
しかし、そこにメーテルはいませんでした。
果たしてメーテルは何処に?
そして999は何処に向かうのか?
是非、観てみてください。
公開当時、私は映画館で鑑賞しました。
その時は、感動したように思います。
それこそ最初から最後まで、面白かったと思います。
冒頭の戦闘シーンも緊迫感があって雰囲気が良いし、謎の幽霊列車も存在感がありました。
そして今回の鉄朗のライバルである黒騎士ファウストもなかなかの好敵手です。
ギュギュッと詰め込んだ内容には圧倒されます。
しかし、いつの頃からか、この不幸な未来を否定する様になっていました。
ファウストの存在も、サイレンの魔女の存在も許せなくなっていました。
なんと言うか、私の心が狭量になっていました。
ぶっちゃけて言えば、前作が当たったので、無理矢理続きを作って、一儲けしようという魂胆で作られた様な気がしてなりませんでした。
単に私が大人ぶって、知ったかぶっていただけでした。
ところが、改めて観たところ、やはり面白かったのです。
しかも驚いたことに、私の心は鉄朗ではなく敵のファウストになっていたのです。
機械化帝国の滅亡を目指す鉄朗と、人間と機械化人間との共存を目指すファウスト。
この2人の戦いだったのです。
私は機械化賛成派なので、ファウストよりの立場です。
最後まで鑑賞すると、結果的に私は鉄朗と意思を共有することになりました。
そう、機械化人間とは共存出来ないという結論に至ったのです。
前作で残った疑問がこの映画で解決されたのです。
この映画で銀河鉄道999は完結したのです。
そういう意味では感動しました。
見どころも満載ですが、謎も満載の映画です。
一番の謎はファウストの存在です。
機械帝国の幹部ですが、なぜ彼の妻と息子は極貧生活を送っていたのでしょうか?
それとも幹部になったのは最近の話なのでしょうか?
それなら分からなくもないかな。
それからサイレンの魔女。
機械エネルギーを吸収する謎の天体(?)。
そんなのあるかな?
そもそも機械エネルギーってなんだ?
でも、そういうのが松本零士作品の魅力ですね。
それから途中で鉄朗とメーテルが、人が死んで行くのをお喋りしながら眺めているシーンがあります。
結構長いシーンだったので、かなりの人がお喋りの間に死んでしまったと思われます。
なんとも言えないシーンです。
もう少し、お喋りを短くすれば多くの人の命を救えたに違いありません。
人の命の重さを考える映画なのに、なんてことでしょう。
とにかく、前作では機械帝国万歳の私でしたが、今作で私は機械帝国の敵となりました。
残念です。
さて、今作もハーロックやエメラルダスが出てきます。
ハーロックはチョイ役でしたが、問題はエメラルダスです。
なんだか余計なことを言ってくれました。
でしゃばりです。
エメラルダスがいなければ、ハッピーエンドだったのに。
私は少しエメラルダスを恨んでしまいました。
残念です。
それでも彼らに良き未来が待っていることを祈っています。