第172回目は「キャデラック・レコード」です。
2008年のアメリカの実話を基にした映画です。
*以降ネタバレ注意です。
私は音楽が好きです。
好きなジャンルは、ロック、ハードロック、ヘヴィメタルです。
何を持ってロックとカテゴライズするのかは人それぞれだと思います。
音楽のカテゴリーなんていい加減なものです。
そんな中で、ふと最初のロックって何だろうと考えたことはありませんか?
ロックの母体となっているブルースとロックの違いなんて私には正直なところ、良くわかりません。
曖昧なものだと思います。
それでもロックがどこから来て、どこへ行くのか興味は尽きません。
そこで、この映画「キャデラック・レコード」です。
私はこの映画をロックの歴史の1ページ目に認定します。
もちろん個人的感想でですが、私の中で踏ん切りが着いた作品です。
物語は1940年代まで遡ります。
主人公レナード・チェスは恋人のレベッタとの結婚を目標にシカゴでクラブ経営を始める。
一方、農家のマディ・ウォーターズはミュージシャンを目指して、シカゴにやって来た。
マディとレナードはクラブで出会い、その後、黒人音楽専門レーベルの「チェス・レコード」を立ち上げる。
ハープ奏者のリトル・ウォルター、ハウリン
・ウルフ、チャック・ベリー、エタ・ジェイムズなのどミュージシャンが集まってくる。
癖の強いミュージシャンたちをレナードは育てて行く。
音楽、とりわけロックが好きな人は是非観てみて下さい。
この映画は音楽史だけでなく、アメリカの歴史の一幕としても一見の価値があると思います。
1番大きな要素はやはり黒人差別でしょう。
有名なミュージシャンになっても差別は付きまとう様です。
レストランに入れなかったりとかは、当たり前のようにあったようです。
レナードは成功の証として、ミュージシャンたちに車のキャデラックをプレゼントします。
成功の象徴がキャデラックに乗ることというのは微笑ましいですが、当時の白人にとっては妬みの対象だったのかもしれません。
ミュージシャンたちの素行も良くなかった様に思います。
酒や銃、あるいは女性問題とロックにありがちな問題だらけです。
本当にロックをやっているヤツのロクなのはいません。
と言うか、貧乏人が急に金持ちになるとロクなことにならないという感じでしょうか。
その辺りもロックの見どころと言えなくもないですが、悲壮感が漂っています。
売れている間は調子に乗って、売れなくなると虚しいというのは今も同じでしょうか。
レーベルの経営というのは難しいようです。
売れないミュージシャンを売れているミュージシャンが食わせている状況というのは、昔から変わらないようです。
そういう経営の裏側ものぞけて、面白い作品だと思います。
特に時代的に人種差別がレナードを追い詰めるというところは、なかなか辛辣な時代だと言わざるを得ません。
しかし、黒人の音楽が評価されているということは、音楽には差別がないのかもしれません。
そこは不思議なところでもあります。
音楽は聴くくせに差別は止めない。
どうなっているんでしょうか?
そもそも差別する人たちは黒人の音楽も聴かないのでしょうか?
一部、白人が黒人の音楽を盗んだという考えもあるかもしれません。
しかし、音楽は誰のものでもないと私は思います。
盗作はダメだと思いますが。
その辺りも映画を観て欲しいです。
さて、実在の人物が登場する映画ですが、正直なところ私はチャック・ベリーしか知りませんでした。
マディ・ウォーターは名前を聞いたことがあったような気がします。
映画の中で演奏された曲は知っていました。
この映画は私より上の世代の方が、より面白く感じるのではないでしょうか。
というわけで、私の中では最初のロックはマディ・ウォーターで決定です。
今、私は観たい映画を制覇しようとしていますが。
それが終わったら、次は古いロックを聴いて行くのも悪くないかもしれません。
もう少し先の話になりそうですが、楽しみに取っておきます。