第142回目はマレフィセントです。
*以降ネタバレ注意です。
マレフィセントといえばディズニーのアニメ「眠れる森の美女」に登場する魔女として有名です。
それも魔女の中でも1番のワルというイメージです。
ところが、この映画はマレフィセントが主人公なのです。
「眠れる森の美女」の実写版というよりは別物で真逆の作品と言っても良いでしょう。
「眠れる森の美女」の物語は、とある王国で待望の王女が生まれたところから始まります。
王女はオーロラ姫と名付けられました。
オーロラ姫の誕生祝いのパーティーが開かれたのですがマレフィセントは招待されませんでした。
怒ったマレフィセントはオーロラ姫に
「16歳の誕生日までに糸車で指を刺して死ぬ」という呪いをかけてしまいます。
そこで招待されていた妖精のメリーウェザーが「死なずに眠るだけで、運命の相手からのキスで目覚める」というカウンター魔法をかけます。
かくして、ステファン王はオーロラ姫を守るために国中の糸車を燃やして、オーロラ姫を3人の妖精に育てさせました。
果たして、マレフィセントの呪いに打ち勝つことはできるのでしょうか?
というストーリーでした。
招待されなかっただけで、怒ってしまうマレフィセントも気が短いですが、招待しなかったのも配慮が足りなかったかもしれません。
では、なぜ招待しなかったのでしょうか?
単に悪い魔女だったからですが。
この映画「マレフィセント」では驚愕の真実が語られます。
ここからはネタバレ強めなので注意です。
なんと、オーロラ姫の父ステファン王とマレフィセントは元カレ元カノの関係だったのです。
紆余曲折あって別れることになってしまったのですが、ステファンに手酷く裏切られたマレフィセントは純真な妖精から魔女へと変貌してしまいます。
何にせよ、元カレの子供のお祝いの席に乗り込んで来るとは恐ろしい元カノです。
映画の作り手としてはマレフィセントが実は可哀想という風にしたいのだと思いますが、果たしてそれで良かったのでしょうか。
確かにそれでマレフィセントの人気は急上昇かもしれません。
ですがステファン王の株は大暴落です。
詰まるところ人間の方が悪者でした。
と、なったわけです。
映画自体は面白いし、映像も美しいので評価は決して悪くはありません。
しかし、あまり解決した様な気にはなりませんでした。
結局のところ、どちらもが悪者で、むしろ犠牲者が増している様に感じました。
ステファン王はクズだし、王妃は不幸の極地、さらにフィリップ王子は見せ場をマレフィセントに奪われ醜態を晒します。
マレフィセント1人で美味しいところを持って行ってしまいます。
そもそもマレフィセントに同情を集める必要があったのでしょうか?
悪役には悪役の誇りと名誉があるのだと思います。
悪どければ悪どいほど美しいのが悪の華だというのに。
まったく悪の名折れです。
こんなことでは私はディズニーランドでマレフィセントに会った時に、どんな顔をすれば良いのか分かりません。
「眠れる森の美女」と「マレフィセント」の2つの顔を持ってしまったマレフィセントですが、いずれの方を真実と捉えれば良いのでしょうか?
ディズニーの公式はどちらなんでしょうか。
このパラドックスを私は受け止めることが出来ません。
深く考えすぎでしょうか。
さて、細かいことは置いておいて、映画の見どころですが、先ずマレフィセントの少女時代の恋物語とオーロラ姫の成長です。
オーロラ姫の育成にマレフィセントが関わってくるのですが、なかなかに面白い設定だと思います。
よくよく考えれば、斬新で画期的な作品なのです。
これを受け入れられない私は、なんと頭が硬くて狭量なのでしょう。
映画「マレフィセント」自体はディズニーの歴史を覆す様な偉大な作品だと思います。
なので是非一度、鑑賞してみてください。
そして、アニメと実写のマレフィセントどちらが正当か見比べてみてください。
私は当分、結論が出そうにありません。