第138回目はグリーンマイルです。
1999年のアメリカ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
ある日、テレビで「秘密の花園」という映画が放送されていました。
「秘密の花園ってどんな話だっけ?」
私は何気なく母に尋ねました。
「伯父さんに引き取られた女の子が、鍵のかかった庭園を見つけるねん」
母があらすじを教えてくれた。
ふむふむ。
「そこでな、女の子が殺されんねん」
ん?
「犯人の黒人が刑務所に入れられて……その黒人が超能力で病気を治して……」
母よ、途中から話が「グリーンマイル」に変わっていますよ。
母は時々映画の話をしますが複数の話がゴッチャになっています。
そこがまた面白いのです。
さて、そんなグリーンマイルを観てみました。
舞台は1935年のアメリカの刑務所にある死刑囚監房です。
主人公は主任刑務官のポール・エッジコムです。
ポールは重度の尿管感染症を患っています。
その刑務所にジョン・コーフィーという大男が収監されてくるところから物語が始まります。
コーフィーは双子姉妹の幼女殺人の罪で死刑が確定していました。
ある日、コーフィーはポールの病気を不思議な力で治癒します。
死にかけていたネズミのミスター・ジングルスも助けます。
ポールはコーフィーの力を神の奇跡だと考えます。
それ故に、コーフィーの容疑が冤罪なのではないかと疑念を抱きます。
果たしてコーフィーは本当に犯人なのでしょうか?
機会があれば是非、観てみてください。
|
188分の長い映画で、内容も結構重ためなので、ツラく感じる人もいるかもしれません。
根本的には人種差別と冤罪と警察の横暴というアメリカが抱えている問題を捉えています。
今の時代に観るのは良いかもしれません。
この映画は私にとって非常に難しい作品でした。
内容が難解であるという意味ではなく、どう感じて良いか解らないという感じなのです。
可哀想な感じはするのですが、泣いてはいけない映画だと思っています。
個人的には、ただ淡々と粛々と感情を押し殺して観るのが良いと思います。
刑務官が囚人と馴れ合ってはいけないという心情で観ているのだと思います。
だから、ポールが囚人に優しくしていると少し違和感を感じます。
死刑囚に情が移ってしまっては仕事に支障が出るじゃありませんか。
それに精神的に参ってしまうでしょう。
パーシーというコネで刑務官になった嫌な奴がいます。
パーシーは囚人に嫌がらせをしたりします。
そこまでしろとは言いませんが、もっとドライな関係でいるべきだと思いました。
仲良くしておいて、その手で死刑にするのだから、たまったもんじゃないです。
死刑になって可哀想な気もしますが、所詮は殺人犯なので、私は冷ややかに見送ろうと思います。
問題はコーフィーです。
冤罪の可能性があるのに死刑にしなければならないなんて……。
と言いたいところなんですが、私はコーフィーの死刑を黙認することにしました。
コーフィーの能力は神の奇跡ではなく、ただの超能力でした。
なぜならばコーフィーは殺人犯だからです。
相手は殺されて当然の奴でしたが、コーフィーが手を下すべきではなかったのです。
コーフィーに同情するべき点がないわけではないですが、義憤によって犯罪をいとわない性格でもあります。
もちろん超能力による殺人なので証拠もなければ立件も出来ないでしょう。
だからこの件で死刑になるべきではないのですが。
私はコーフィーの死刑を受け入れます。
だから私は泣きません。
この映画は死刑執行人の映画なので、その立場に立って観ると泣けません。
この映画を観て泣きそうな人はグッと涙をこらえて観てみてください。
その方がポールの気持ちに寄り添えるような気がします。
冷たいかな……。