カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

ジョニーは戦場に行った

 

 

 

第116回目は「ジョニーは戦場に行った」です。

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出典Amazon.co.jp


1971年のアメリカ映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


ふぅーーーーーーーーーーーーーーーっ

 


ついにこの時が来てしまったか。

 


私にとっては「ジョニーは戦場に行った」はあらすじを聞いただけで、トラウマになりそうな映画でした。

 


そのため、何年も観ることをためらって来ました。

 


そんなにイヤなら観なけりゃ良いじゃん!

 


と、言われればその通りなのですが、なぜか私の中では避けては通れない様な気がする作品だったのです。

 


そもそも私と「ジョニーは戦場に行った」との出会いは高校生の頃に遡ります。

 


その頃、メタリカというバンドの「One 」という曲にハマっていました。

 


その曲を演奏するために私はバンドを組み、ベースを担当することになりました。

 


「One 」のビデオクリップはとてもカッコ良く、私はたちまち影響を受けてしまったのです。

 


ビデオクリップの中では演奏シーンに加えて、映画のシーンが途中途中に挿入されていました。

 


その映画こそが「ジョニーは戦場に行った」です。

 


「One」いう曲は「ジョニーは戦場に行った」にインスパイアされて作られた曲だったのです。

 


歌詞も曲も映画の雰囲気を踏襲していると思います。

 


歌詞を読んだだけで私は恐ろしくなりました。

 


私は戦争映画はあまり得意ではないのですが、これは最悪の作品だと感じました。

 


そう思えば思うほど目を逸らすことができなくなりました。

 


ある日、私は図書室で「ジョニーは戦場に行った」の小説を発見しました。

 


せっかくなので読んでみようかなと思ったのですが、なぜかその本が異様な悪臭を放っていたのです。

 


イメージでは病院の匂いでした。

 


私はますます恐ろしくなり、この映画をながらく封印することとしました。

 


さて、その映画のあらすじですが、主人公はアメリカ人のジョーです。

 


ジョニーではなくジョーです。

 


ジョーはアメリカ人でしたが第一次世界大戦に参戦するために志願兵となりました。

 


恋人や家族を故郷に置いて戦場に向かいましたが、あっけなく敵の迫撃砲で吹っ飛ばされてしまいます。

 


そしてジョーは両手、両足、目、鼻、耳、口を失ってしまいます。

 


五感のうち、視覚、聴覚、嗅覚、味覚を失い触覚だけがジョーを外の世界へとつないでいました。

 


ジョーは喋ることも出来なかったので、自分の意識が回復していることすら伝えることができません。

 


医師たちはジョーは脳死状態だと診断していました。

 


ジョーは首を動かすことができましたが、それは筋肉の痙攣だと判断されていました。

 


ジョーは医師たちに研究材料として生かされているのです。

 


食事や呼吸もチューブから摂取している状態です。

 


永遠の暗闇と静寂の中で、ジョーはこれまでの人生の回想を長い走馬灯の様に回顧します。

 


果たしてジョーは自分の意思を伝えることができるのでしょうか?

 


興味のある方は観てみて下さい。

 


原作はダルトン・トランボが書いた同小説で、発表当時は第二次世界大戦中だったそうです。

 


あまりにも反戦色が濃かったために発禁処分になり、トランボ自身も投獄されたりしたそうです。

 


のちに自らの脚本、監督で映画化したそうです。

 


因みにしばらく映画界から追放されていたトランボですが、「ローマの休日」の原案者でもあります。

 


才能のある人物なんですね。

 


戦争シーンはほとんど無いのですが、戦争の恐ろしさが伝わる映画です。

 


そういえばこの映画にもイエス・キリストがチョイチョイ出てきます。

 


ジョーが過去を振り返るのですが、夢と現実が交錯しているようです。

 


あまり宗教的な要素は濃くはありませんが、アメリカ人の宗教観や生死感をいい感じで表現していると思います。

 


ところで、日本にも江戸川乱歩の小説で「芋虫」という作品があります。

 


ジョーと同じような境遇の日本人の話です。

 


私は読んだことがありませんが、恐ろしい話を思いつく人がいるものだと感心してしまいます。

 


2010年に「キャタピラー」というタイトルで映画化されています。

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出典Amazon.co.jp


調べたところによると「芋虫」と「ジョニーは戦場に行った」をミックスしたオリジナルストーリーだそうです。

 


せっかくなのでついでに観てみました。

 


舞台は日中戦争中の日本で、両手足と聴覚、言葉を失った帰還兵の夫を介護する妻の物語です。

 


こちらの方が生々しくドロドロして残酷であるように思えました。

 


舞台が日本だからでしょうか?

 


こちらを観ると「ジョニーは戦場に行った」の方が美化されているような気がします。

 


同じ題材でありながら、正反対の作風で印象も真逆になるような感じがしました。

 


とにかく、どちらも私にとってはトラウマになりそうな作品なのでした。

 


一度観てしまえば、もう平気ですけどね。

 


それでも、もしかしたら戦争や事故などで、ジョーと同じような境遇になってしまったらと考えると恐怖でしかありません。

 


興味があればどちらも観てみてはいかがでしょうか。

 


ついでにメタリカの「One」のビデオクリップもYouTubeにあるので観てみて下さい。

 


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