第115回目はベン・ハーです。
1959年のアメリカ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
私には観たい映画は山ほどあるのですが、観だすとキリがないので、ある線引きをしています。
1つ目はモノクロ映画は観ない。
2つ目は舞台が紀元前(厳密には紀元前1世紀より前)のものは観ない。
もちろん、それでも観たいものは観るのだけれど、なんとなく観るかどうか迷う時は避けています。
モノクロで見たといえば、ローマの休日とロリータとバルジ大作戦くらいでしょうか。
紀元前が舞台の映画も神話系とか創世記やら十戒やらと割と見たりするので、あまり意味がない線引きかもしれません。
どちらかというと紀元後の映画を充実させたいという感じです。
私は歴史が好きなので、西暦元年から現代まで映画で追体験できれば面白いなーなどと考えています。
そんなわけでベン・ハーは舞台が西暦1年から30年くらいが舞台なので、私にとっては記念すべき歴史の1ページ目の作品です。
さて、映画の内容ですが、主人公はユダヤの王族のジュダ・ベン・ハーです。
その中でもベン・ハーは良い暮らしをしていました。
おそらくローマに協力的だったのだと思われます。
ベン・ハーには幼馴染みで親友のメッサラという男が居ました。
メッサラはローマ人で14歳までユダヤの地で暮らし、ローマに帰ってからローマ軍の司令官へと出世します。
再び、軍司令官としてユダヤの地に戻ったメッサラはベン・ハーに協力を求めますが、ベン・ハーは同胞を売ることはできないと拒否してしまいます。
そのことがキッカケでベン・ハーとメッサラの友情に亀裂が入ってしまいます。
そんなある日、ローマから新しい総督が赴任してきました。
総督のパレードを屋敷の屋上から眺めていたベン・ハーと妹のティルザですが、総督を見ようと身を乗り出した時、屋根瓦が総督目掛けて落下してしまいます。
すぐさまベン・ハーの一家は総督暗殺未遂の罪で逮捕されてしまいます。
ベン・ハーは事故であり無実であるとメッサラに弁護を頼みますが、拒否されてしまいます。
ベン・ハーの母と妹は投獄されることとなりました。
ベン・ハーはメッサラに復讐を誓います。
果たして・ベン・ハーは復讐を遂げられるのでしょうか?
ベン・ハーの運命やいかに。
という物語です。
212分と長めの映画ですが、退屈せずに観ることができました。
よく目にするあらすじでは、ベン・ハーが裏切ったメッサラに復讐する物語とありますが、どちらかというとベン・ハーの方が悪い気がします。
メッサラが支配者層でベン・ハーが被支配者層であるという自覚が足りなかったのではないでしょうか。
もちろんユダヤの同胞を守りたいというのは解りますが、反乱分子を隠匿するのは罪深いと思います。
実際はどうであれ、あくまでメッサラに協力する姿勢でなければならなかったでしょう。
ローマの庇護のもとで贅沢をしているのだから、致し方ないと思います。
それを幼馴染みのメッサラと同等の立場であるかの様に考えたベン・ハーの考えが甘かったと思います。
もちろんメッサラも心の狭い人間だと思いますし復讐されても文句もいえないでしょう。
さて、一方この物語はイエス・キリストの誕生から処刑までの話でもあります。
イエス・キリストがチョイチョイ出て来ますが、キリスト教について何も知らない人が観ると訳が解らない作品です。
復讐にどっぷり浸かったベン・ハーの魂をキリストが救済するということなのですが、ある程度キリスト教に理解がないと納得のできないラストではないでしょうか。
キリスト教の知識がある人にはピラトだとかバルタザールなんて人物が出てきてより楽しめると思います。
映像的には衣装やセットなどフィルムの古さも相まって抜群の出来だと思います。
残念ながら、ガレー船の海戦シーンはかなりミニチュア感が激しく、チャチさが目立ちます。
もう少し迫力のあるシーンが欲しかったです。
ベン・ハーといえば戦車競走のシーンが有名です。
ベン・ハーとメッサラが命がけで戦うのですが、まさかのスポーツで決着です。
競走中に死んでも罪に問われないということなので、合法的に復讐出来るというわけです。
メッサラもベン・ハーを迎え撃つために凶悪な装備の戦車で競争に臨みます。
勝敗の行方はどうなるのでしょうか?
映画史上に残る文句なしの迫力の名シーンです。
大富豪から奴隷に転落し、戦車競走に繋がるまでの波乱万丈の人生が、この映画の見どころです。
西暦の始まりの原点の物語なので、是非一度観てみて下さい。
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