第103回目はブラック・スワンです。
2010年のアメリカ映画です。
*以降ネタバレ注意です。
こういう舞台演目を最後に披露して終わるスタイルの映画は結構ありますね。
日本で言うとスイングガールとかウォーターボーイズなんかが、それに当たると思います。
しかし、それらとは違ってこのブラック・スワン、中身はサイコスリラーになっているので、注意が必要です。
痛々しいシーンもちょこちょこ出てきます。
美しいバレエの映画だと思ってウッカリ観てしまうと痛い目にあいます。
さて、バレエには関心のない私ですが、
「白鳥の湖」はなんとなく知っています。
まず「白鳥の湖」のストーリーから簡単に紹介したいと思います。
主人公はオデット姫。
ある日、オデット姫は悪魔に白鳥の姿に変えられてしまいます。
その頃、王子が結婚相手を探すために舞踏会を開きます。
ある晩、王子は湖で白鳥に遭い、夜になると魔法が解けて元のオデット姫の姿に戻るのを目撃します。
王子はオデット姫に舞踏会に来るように誘います。
ところが、それを知った悪魔はオデット姫を捕らえ、代わりに悪魔の娘のオディールを差し向けます。
オディールは魔法でオデット姫の姿をしており、王子は見抜けずにオディールに求婚してしまいます。
失意の中オデット姫は命を絶ってしまいます。
だいたいこんなストーリーです。
白鳥の湖にはハッピーエンド版や王子とオデット姫の心中エンド版などがあるそうですが、本作では原典の自殺版が採用されています。
さて、映画のストーリーです。
主人公は若手バレリーナのニナ。
ニナは清純で美しくバレエの技術も完璧でした。
まさにオデット姫を演じるに相応わしい女性でした。
しかし、白鳥の湖ではオデット(白鳥)とオディール(黒鳥)の両方を演じるなければなりません。
オディールは妖艶で魅惑的でなければいけません。
しかし、清純派のニナには黒鳥を演じるだけの表現力がありませんでした。
振り付け師のトマにダメ出しをされて、ニナはプレッシャーを感じます。
セクハラも受けます。
官能的な演技にニナは戸惑います。
一方、ニナには元バレリーナの母親がいます。
この母親が、自分の夢を子供に押し付ける典型的なステージママで、ニナに精神的な抑圧をかけています。
異様な娘への執着心が感じられます。
というか、バレエを諦めた怨念です。
母親がニナにはプレッシャーだったのです。
さて、バレエ団にはベテランバレリーナのベスがいましたが、バレエ団のイメージチェンジのために引退させられました。
ニナはベスから主役を奪ってしまった形になり、そのこともプレッシャーになっていました。
さらに妖艶で魅惑的な黒鳥に相応わしいリリーが入団してきます。
ニナはリリーに主役を奪われてしまうのではないかと恐れます。
母親、振り付け師、ベテラン、新人と四方からプレッシャーをかけられ、ニナは精神崩壊していきます。
自傷行為、幻覚など様々な現象がニナを襲いますが、果たしてニナは無事に演じることができるのでしょうか。
是非観てみて下さい。
108分と短めですが、充分に面白いと思います。
バレエに興味がない人でも楽しめます。
逆にバレエ経験者が観たら、どんな感想なのか興味があります。
全体的には暗くて薄気味悪く、出血もあるので、苦手な人もいるかもしれません。
でも、精神的倒錯が描かれていて引き込まれてしまいます。
ラストのバレエのシーンは短いですが見応えがあります。
白鳥から黒鳥に変貌するところも良かったと思います。
効果音などの演出も、現実感を狂わせるような感じです。
多分、私はバレエを鑑賞することはないと思いますが、バレエの良さが感じられます。
最後にの最後でニナがどうなったととらえるかで映画の評価が分かれる気がします。