カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

シャアとびんぼっちゃま編

子供の頃、私はシャアになりたかった。

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出典Amazon.co.jp


子供の頃のある日、駅の近くで、私は見知らぬ女性に声をかけられた。

 


「坊ちゃん!カズマ坊ちゃん!」

 


どうやら私を知っているようだが、私には覚えがない。

 


それどころか、私は坊ちゃんなどと呼ばれる身分ではなかった。

 


貧しくはなかったが、決して金持ちというわけでもなかった。

 


正直言って気持ちの悪い女性ではあるが、なんとなく興味がわいて話を伺うことにした。

 


その女性の話によると、私の祖父は会社を経営していたらしい。

 


そして、その共同経営者がZ家だったのですが、株式操作によって会社を乗っ取ったと言うのです。

 


その話を聞いた私は

 


「シャアだ!私はシャアになれる!」

 


凄まじく高揚した私は早速家に帰って、その女性の話を父に話した。

 


その女性の話は本当だった。

 


「復讐だ!復讐しよう!」

私はいきりたってまくし立てた。

 


ところが父はタバコをふかしながら笑った。

 


「復讐なんかにかまけてるほど、人生は長くないぞ。そんな暇があったら外で遊んでこい」

 


父はそう言った。

 


その当時は納得のいかないこともあったが、

今は私は父の言う通りだったと思う。

 


なぜならば、復讐に明け暮れたシャアは全然幸せではないからだ。

 


もちろん私に復讐するだけの才覚がなかっただけでもあるが、無駄なことに時間を費やさなくて良かった。

 


妻と猫のミュウの生活で充分幸せなので、祖父の無念など些細なことなのです。

 


私にはそんなドラマチックな過去があるというだけで、満足なのだ。

 


そして、そんな境遇にありながら、拗ねたりひねたりせずに笑っている父は立派だと思う。

 


そんなこんなで、私はシャアを応援しているのだ。

 


シャアはもう1人の私なのである。

 


現実の私は「びんぼっちゃま」だが、

心はシャアなのだ。

 


だから私はガンダムをシャアの視点から観てしまう。

 


ガンダムの最後でシャアがアムロを倒した時は嬉しかった。

 


え?

 


アムロが勝ったって?

 


私にはシャアが勝った様にしか見えませんでしたが……。

 


つづく