第96回目は機動戦士ガンダム劇場版です。
1979年のテレビアニメの劇場版で、公開は1981年。
*以降ネタバレ注意です。
アニメに興味がない人や、古くてみたことがない人にも一度は観て欲しい作品です。
テレビ版は43話あり、長いので劇場版をオススメします。
ただし劇場版も3部作で1本あたり2時間半くらいあり、結構ハードルは高いかもしれません。
でも、世の中でガンダムの人気が続いている理由を知るにはやはり観てみて欲しいです。
物語は近未来、宇宙世紀0079年、人類は増えすぎた人口をスペースコロニーという人工の大地に宇宙移民させていた。
地球に残るアースノイドは宇宙に移民したスペースノイドを植民地のように支配していた。
地球から最も遠い月の裏側に位置するコロニーのサイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を仕掛けた。
ジオンの新兵器人形ロボット、モビルスーツによって、地球連邦軍は劣勢を強いられ、
戦争により総人口の半数を死に追いやった。
人類は自らの行為に恐怖した。
ここまでが前振りです。
それから10ヶ月ほど膠着状態が続き、遂に地球連邦軍でモビルスーツが開発されます。
それがガンダムです。
ジオン公国のサイド3と真反対のサイド7で極秘に開発されていたガンダムですが、ジオンの赤い彗星ことシャア・アズナブル少佐に嗅ぎつけられます。
サイド7はモビルスーツ「ザク」の襲撃を受けて壊滅状態になります。
そこで、民間人アムロ・レイが偶然にもガンダムに乗り込みザクを撃退。
前半はサイド7を脱出した連邦軍の新造船艦ホワイトベースとそれを追撃するシャアの戦いになります。
ホワイトベースの正規乗組員はほとんど戦死してしまい。
士官候補生のブライト・ノアが艦長となり、あとはほとんど民間人が運用することになります。
そんな状況でジオンの英雄シャアの追撃を振り切ることができるのでしょうか。
見どころです。
1つの要因はガンダムを含むホワイトベースのモビルスーツがジオンのザクを遥かに凌駕すること。
そしてもう1つはニュータイプの存在です。
人類が宇宙の生活を始めたことによって、感覚の優れた人種に革新するというのです。
一年戦争と呼ばれるこの戦争は
オールドタイプ対ニュータイプの戦いだったのです。
難しい話は映画を観てもらうしかないところですが、単純に連邦軍が正義、ジオンが悪というものではありません。
映画ではジオンは規律正しく誠実なイメージですが、連邦軍は堕落していて嫌な連中に描かれています。
地球連邦政府がスペースノイドを虐げているので、ある意味悪とも言えますが、だからと言ってジオンに正義があるとも言えません。
ジオン公国を仕切っているザビ家が独裁国家を樹立しようとしているからです。
つまりジオン公国にとってスペースノイドの独立とはただの大義名分なのです。
そんな泥沼の戦場にホワイトベースの少年たちはただ生き延びるために放浪の旅にでます。
彼らには善も悪も関係ないのです。
敵か味方かというくらいでしょうか。
さて、一方のシャアですがジオン公国の手先でありながら、ザビ家との因縁があります。
彼も悪とは言い切れません。
むしろ私はガンダムの主人公はシャアだと思っています。
このアムロとシャアの戦いを是非、観てみて下さい。
今では珍しくないかもしれませんが、当時ではほかに類を見ない作品だったのです。
私が子供の頃に観た印象とは随分変わりましたが、名作だと思います。
大人になって1番印象が変わったのはマチルダ・アジャン中尉です。
主人公アムロの憧れの女性として登場します。
もちろん子供の頃の私にとってもマドンナ的存在でした。
しかし、大人になってから観ると、
「何だか裏表があって嫌な女性だな」
と思ってしまいました。
大人になるって悲しいな。
でも、そういう女性の生々しいところもガンダムの魅力なのです。
ただ単純にガンダムがカッコいいとかだけのロボットアニメではないのです。
子供の頃には気づかないものかもしれませんが、奥の深いヒューマンドラマなのです。
私がそれに気づいたのは恥ずかしながら、最終回の本当に終わりの方でした。
「認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの誤ちというものを!」
とにかく昔観たきりという人にも是非観ていただきたい作品です。
というわけで、しばらくガンダムの話を語ります。
つづく。