第89回目はフォレスト・ガンプです。
*以降ネタバレ注意です。
1994年のアメリカ映画です。
1950年代から1980年代のアメリカ歴史の光と闇を描いた作品。
とあるバス停のベンチで、主人公フォレスト・ガンプは隣り合った見知らぬバスを待つ人に、自分の半生を語る。
一般の子供より知能指数の低いフォレストは背骨の異常もあり歩行補助器具を装着しなければ歩けなかった。
公立小学校の校長には入学を拒否されるが、フォレストの母はなんとかフォレストの入学を認めさせる。
純真無垢なフォレストは母の言いつけを守る素直な少年だった。
スクールバスに乗るにも
「知らない人の車に乗ってはいけない」
と、乗車を躊躇するほどだ。
スクールバスの中では意地悪な少年達に席に座らせてもらえなかったが、ジェニーという女の子だけが優しく席に座らせてくれた。
それ以来、フォレストはジェニーに心を開く様になる。
ある日、イジメを受けていたフォレストはジェニーに走って逃げる様に指示される。
無我夢中で走り出したフォレストは歩行補助器具なしで走れる様になっていた。
しかも、自転車よりも速く、誰よりも速く走ることができた。
その後もイジメは続き、高校生の頃にはイジメっ子に車で追いかけられた。
フォレストは走って逃げ、試合中のアメフトのコートに侵入し、選手達をブッチぎって疾走する。
その脚力を見込まれ、フォレストはアラバマ大学のアメフト部員として入学し、遂には全米代表選手となり、ケネディ大統領と面会するほどになった。
一方、ジェニーは子供の頃から父親からの虐待が発覚し、親戚に引き取られていった。
大学卒業後、フォレストは軍隊に入隊し、ベトナム戦争に赴く。
ベトナム戦争では人命救助に貢献して、ジョンソン大統領に勲章を得る。
ベトナム戦争といえばアメリカの闇の部分という感じではあるが、ここでもフォレストは脚光を浴び続ける。
そして一方のジェニーといえば、ストリップ劇場で歌を歌い。
ヒッピーとなって反戦運動を行い、そこまでの描写は無いがおそらく絵に描いたような荒んだ生活していたに違いない。
それはアメリカのもう一つの闇の世界だった。
その後もフォレストは卓球選手となり、
「バッバ・ガンプ・シュリンプ社」の社長となり、株式投資で億万長者となった。
時には大陸横断マラソンをして一躍、有名人にもなった。
精神的な成熟のみられないフォレストは純粋無垢のまま、栄光にも名誉にも富にも権力にも溺れることはなく、お金に困らなくなったというくらいにしか感じていなかった。
私なら、どこかの時点で自己陶酔に溺れていたと思います。
ジェニーにとってはおそらくフォレストは眩し過ぎたのではないでしょうか?
フォレストはジェニーを子供の頃から愛していましたが、住む世界が違うとジェニーは思っていた様に思います。
この映画を観て数日経ちましたが、2人の心情を私は推し量る事が出来ません。
この映画の結末が、最も綺麗な終わりにも思えますが、どうやら私には眩し過ぎて理解できない様です。
億万長者になってウハウハの有頂天になったフォレストと、金に目が眩んですり寄ってくるジェニーと結婚して幸せというのが、私の理想の結末なのでしょうか?
それも良かったよな気もしますが、違うような気がします。
フォレストにとっては名声やお金より愛なんでしょうね。
でもジェニーにとってはそれが重荷となってしまっていた。
究極のすれ違いの映画です。
その結末を好きかと聞かれると、好きではありません。
しかし、印象には残ります。
それしかないと納得するしかないような気がします。
是非、観てみてください。
さてこの映画の見どころは、実在の人物や事件にフォレストが関わっていくところです。
エルビス・プレスリーやジョン・レノンなどに実はフォレストが影響を与えていたのです。
私はこういう「実はこうでした」という話が結構好きです。
アメリカ史に詳しい人は絶対観るべき映画です。
架空の史実ものとしては最高だと思います。
それと私がこの映画で一番好きなシーンというか、人物ですが、ベトナム戦争時の上官のダン中尉がいます。
ダン中尉は戦闘で、負傷し両足を失ってしまいます。
フォレストに命を救われるのですが、死んだ方が名誉の戦死となる筈だったのに生き恥を晒すことになったと、ダン中尉はフォレストに詰め寄ります。
彼もまたベトナム戦争の闇の犠牲者です。
傷病兵として除隊後、荒んだ人生を余儀なくされていましたが、ダン中尉に光が差し込む瞬間が一番感動しました。
フォレストとジェニーよりもダン中尉の方が私は好きです。
そちらも注目してみてください。