第88回目はトゥルー・ライズです。
*以降ネタバレ注意です。
1994年のアメリカ映画です。
スパイアクション映画でありながら、コメディ色の強い作品となっております。
私は珍しく、この映画を公開当時に劇場で鑑賞しました。
監督ジェイムズ・キャメロン、主演アーノルド・シュワルツェネッガーということで、ハズレはないだろうと踏んでいたのです。
結論としては私の中でこの作品は問題作という位置付けとなりました。
私が嫌いなシーンが2ヶ所あり、その点が評価を下げているのです。
しかしながら、久々に観ましたけれども映画自体は面白いです。
主人公のハリー・タスカーは大統領直属の敏腕スパイです。
冒頭では、ダイバースーツを着て水路からとある屋敷に潜入します。
ダイバースーツの下にタキシードを着ていましたが、びしょ濡れになったりしないものなんでしょうか?
疑問です。
さて、屋敷のパーティーに潜り込んだハリーは手早く任務を終えて撤収するはずだったが、警備の目をごまかすために古美術商の女性ジュノとタンゴを踊ります。
おかげで、時間をオーバーしてしまい、敵に侵入がバレてしまいます。
必死に逃走しますがシュワルツェネッガーの魅力が遺憾なく発揮されていました。
シュワルツェネッガーはいかにも強そうで、完璧なヒーローというイメージですが、ドジを踏むシーンが不思議と似合います。
任務を終えて家庭に帰るハリーですが、家族には自分がスパイであることは秘密にしています。
表向きの職業はコンピューター会社のセールスマンとして、海外出張を頻繁に繰り返しいるという設定です。
お陰で夫婦間は倦怠期を迎えており、娘のデイナは反抗期真っ只中という有様です。
そんな中、次の任務へと赴くハリー。
冒頭の潜入捜査で、テロリストの金の流れから、ハリーとタンゴを踊ったジュノが浮上してきます。
接触を図ったハリーはテロリストにマークされ、ショッピングセンターのトイレ襲撃を受ける。
辛くもテロリストを倒したものの、リーダーのアジズの逃亡を許してしまいます。
アジズがバイクで逃げハリーが馬で追う妙なカーチェイスが展開。
ここが前半の山場で、ハリーが馬でビルの屋上から飛ぼうとするシーンはシュワルツェネッガーのアクションの中でもかなり印象に残るシーンではないでしょうか。
ハリーが襲撃を受けたその日はハリーの誕生日で、結果的に家族が準備してくれていたパーティーをスッポかしてしまうことになってしまった。
翌日、妻ヘレンの職場に、お詫びにランチに誘おうと出向いたハリーは、ヘレンが浮気をしているのではないかと疑念を抱く。
夕食時に、それとなくヘレンに探りを入れるが、明らかにヘレンは何かを隠している。
ハリーはヘレンをにらみつける。
この時のハリーの表情はシュワルツェネッガー史上最も恐ろしく、最も笑える表情です。
中盤はテロリストそっちのけで妻の浮気調査に没頭します。
こんなことでテロリストから国を守れるのでしょうか?
是非、観てみてください。
141分と少し長めの映画ですが、飽きさせない展開になっています。
ハードボイルドなスパイものを期待していると、ガッカリするかもしれません。
あくまでコメディとしてとらえて下さい。
後半の見どころは戦闘機ハリアーの活躍です。
撮影にも実物が使われていて、迫力満点です。
ミサイルで橋を吹っ飛ばすシーンがありますが、公開当時は使われなくなった橋を本当に破壊したと言われていました。
私もそう信じていました。
最近になって、合成だと知りました。
それほどリアルな映像だったのです。
ハリアーといえば垂直離着陸が可能なことが売りなんですが、この映画で実際に観ることができます。
ハリアーが登場する映画はいくつかありますが、ここまで活躍するのはこの映画だけです。
ところで疑問なのですが、ハリアーは上空でホバリング出来るものなのでしょうか?
誰か詳しい人がいたら教えてください。
さて、映画は面白いのですが、不満点を3点挙げておきたいと思います。
まず1点目
娘デイナの出番が少ない。
もう少し親子間交流が描けていた方が感情移入しやすいと感じました。
2点目
敵がマヌケ
コメディだからいいのかもしれないけれど、拍子抜けしてしまいます。
捉えようによっては、中東のテロリストをバカにしているようにも思えます。
考えすぎですかね。
3点目
核爆発が小さい
これは私にとって重大な違和感で、30キロトンの核爆発がこんなものであるはずがないと思いました。
核を軽んじているんじゃないだろうかと思います。
憤慨です。
ここまで楽しい映画なのにぶち壊しでした。
ハリーもヘレンも核爆発の閃光を浴びているので、かなりの放射線被曝をしているはずです。
そんな映像で楽しめるものでしょうか。
考えすぎですかね。
35年前はなんとも言えない複雑な気持ちで映画館をあとにしました。
今は少し気を抜いてコメディとして観ることができます。
それでも笑って核爆発を見ている私自身を客観視するとゾッとしてしまいます。
そこまで言うならこの映画を嫌いなんじゃないかと思うかもしれませんが、基本は面白いんですよ。
是非、一度この映画でどういう印象を受けるか体験してみて下さい。