第54回目はパンズ・ラビリンスです。
*以降ネタバレ注意です。
2006年のメキシコ・スペイン・アメリカの合作映画です。
私はこの映画を観る前、なんだか薄気味悪くて嫌だなと思っていました。
ダークファンタジーとジャンル分けされていたこともありますが、出てくる妖精がいかにも不気味でホラーチックだったので、きっと気持ち悪い映画なのだろうと決めつけていました。
PG12だったし。
ところが、いざ観てみると不気味は不気味かも知れないが、全然ダークではなかったのである。
言うなれば、ダークリアル+ファンタジーなのだ。
現実の方が悲惨でファンタジー部分は美しく描かれている。
舞台は内戦中のスペイン。
主人公はおとぎ話が好きな少女オフェリア。
父を亡くして、母とともに母の再婚相手ヴィダル大尉の元に向かう。
ヴィダル大尉は堅物の軍人でサディストでもある。
母に対してもオフェリアに対しても愛情は感じられない。
ただ、母は妊娠中でその子供にのみ関心があるようだ。
不思議なのはヴィダル大尉のいる場所がレジスタンスと戦っている最前線の拠点の山小屋なのだ。
そんなところに臨月の妊婦を呼び寄せるかねぇ?
まあ、そうでないと物語が始まらないないので、そこは良いとして。
オフェリアはそこで妖精を見つける。
妖精の導きで、森の中にある迷宮の遺跡に向かい、迷宮の番人パンと出会う。
パンは見た目は半人半羊の悪魔のようだ。
パンはオフェリアが地下王国の王女の転生した姿であると告げる。
三つの試練をクリアすれば王国に帰れるというのだ。
果てしてオフェリアは王国に帰ることができるのだろうか。
というストーリーです。
おとぎ話なので、その部分は全然怖くはないのですが、現実ではヴィダル大尉がレジスタンスを撃ち殺したり、拷問したりと結構出血多目です。
恐ろしい現実からの逃避というのもあるのですが、オフェリアがどの様な選択をするのかが見所です。
ネタバレを書いてしまいますが、ファンタジー好きの私としてはオフェリアが見ていた妖精は現実だと観ていたのですが。
見方によっては妖精などはオフェリアの空想だったのではないか、ふと思ってしまいました。
現実逃避の産物だった、
という映画も結構あるので、もしかしたら可能性があるかも知れません。
ファンタジーがあまり好きでなくサイコスリラーが好きな人はむしろそっちが正解として観るのではないでしょうか。
そこでエンディングの感想と評価が分かれる気がします。
空想か現実か是非観て確かめてみてください。