第25回目はプラトーンです。
*以降ネタバレ注意です。
1986年のアメリカの映画です。
オリバー・ストーン監督のベトナム戦争の実体験をもとに制作されたらしいです。
実は私はリアルな戦争映画はあまり好きではありません。
できれば娯楽性が高いものか、ディフォルメが効いてる方が観やすいです。
難しいストーリーはあまりなく、チャーリー・シーン扮する主人公クリス・テイラーが、ベトナム戦争に志願してきて、酷い目にあうという話です。
そこそこに裕福な家庭に育ったテイラーは、貧乏人や黒人が戦場に駆り出されることに憤りを感じ、大学を中退してベトナム戦争に志願兵としてやってきた。
この時点で私は主人公が好きではない。
戦争が否定したいなら、大学を卒業して政治家になるなり、反戦運動に身を投じるなど、ほかの方法があったように思う。
短絡的な自己満足に過ぎない。
ベトナムでは悲惨な状況が続く。
到着早々、負傷兵と死体のお出迎えである。
戦争なんだから、当たり前だ。
戦闘になる前から地獄絵図です。
戦場はジャングルでどこに敵が潜んでいるのか見分けがつかない。
私は常々思うのだが、どうやって敵味方を識別しているのだろう。
赤や黄色で色分けしているわけでもないのに。
敵も味方も緑の戦闘服。
ましてや夜戦になれば、ますます区別がつかない。
そりゃ同士討ちも起こるでしょう。
ベトナム戦争では民間人とゲリラの区別もつかない。
味方以外は敵に見えるだろう。
正気ではいられない、戦場はそれほど異常な世界なのだ。
ジャングルなんて蛇はいるし虫はいるし、敵はどこに潜んでいるか分からないし、私は戦争なんて行きたくない。
私にとって戦争映画はホラー映画よりも怖い映画だ。
しかし、古い映画で予算も少なかったようで、戦闘シーンはあまり良くない。
良くないというか、あまり恐怖を感じないのだ。
今見れば安っぽく感じるだろう。
しかし、戦場の雰囲気は伝わるのではないだろうか。
とにかく、めちゃくちゃだ。
無秩序な遭遇戦で作戦も何もあったもんじゃない。
爆撃司令も正しく座標を伝えられなかったり、指揮官が頼りなかったり、そのあたりの緊迫感は感じられた。
この映画では現地の兵士の視点だけが描かれていて、戦争の全体は見えない。
ベトナム戦争って何のための戦争だっけ?
必要な戦争だっけ?
意味のある戦争だっけ?
戦場の兵士にそんなことは関係ないのだろうけど。
勝つか負けるかさえも、戦場の兵士には分からない。
ただ生きるか死ぬかなのだ。
映画を観ていると、なんだろう、虚しいというか不毛というか、あまり気分は良くない。
公開当時、プラトーンを好きな友人が居て、映画の真似をしてバンダナを巻いたり、タバコを買ったりし人も居たが、子供の頃なら格好良くも思えたかもしれないが、今観ると憧れるような映画ではないな。
ベトナム戦争での現実にあった様々なシチュエーションが描かれています。
民間人のベトナム人への虐殺や米兵の麻薬の蔓延、誤爆、同士討ち、仲間同士の殺人。
ただ、映像的には割とソフトな表現になっている。
だから、見ようによってはカッコイイ戦争映画として観れなくもないかな。
登場人物にトム・べレンジャー扮するバーンズ軍曹と、ウィレム・デフォー扮するエリアス軍曹がいる。
バーンズは戦争にドップリ浸かった悪人で、エリアスはまだ良心を保っている。
この2人の確執が物語の中核で、主人公にどのような影響を与えるのかが、見所である。
果たしてテイラーは良心を失わず、正気を保てるのか。
ぜひ映画を観て確かめてください。
ベトナム戦争の悲惨さを知るには良い映画だと思います。
一見の価値はあったと思います。
全部が実話ではないでしょうが、おそらく現実はもっと酷かったのだろうと想像します。