第19回目はローマの休日です。
*以降ネタバレ注意です。
もう10年ほど前になるだろうか。
私は姪っ子を連れてファミリーレストランのサイゼリアに行った。
そこの入り口には「真実の口」のレリーフが飾ってあった。
「これは真実の口と言って、嘘つきが口の中に手を入れると、食べられるんやで」
そう言って私は姪っ子の手を取って、真実の口に手を入れようとした。
怖がって必死に抵抗するので、私は姪っ子の手を放し、代わりに自分の手を真実の口に当てた。
そして大袈裟に手が抜けなくなったフリをしながら、手を上着の袖の中に隠し、振り返った。
「ヒィーーーーーーーーーーーーー!」
手首が無くなった私の腕を見て、姪っ子はなんとも言えない声を上げた。
「これはローマの休日って映画のワンシーンやで」と言いながら、袖に隠した手を出した。
おそらく姪っ子はローマの休日をホラー映画だと思ったことだろう。
さて、モノクロ映画は観ないと宣言しておきながら、ローマの休日を観ました。
1953年の作品で、主演はグレゴリー・ペックとオードリー・ヘプバーンである。
当時としてはグレゴリー・ペックの方が断然有名で、オードリー・ヘプバーンはまだまだ無名であったはず。
しかし今ではローマの休日といえばオードリー・ヘプバーンが主演というイメージではないだろうか。
それ程までに、この映画のオードリーは鮮烈であったのだ。
物語は某国の王女アンがヨーロッパ各国を表敬訪問し、最後の地ローマにやってくるところから始まる。
王女アンは公務の過密スケジュールに遂に嫌気がさし、大使館を抜け出し失踪する。
偶然、アメリカ人新聞記者ジョー・ブラッドレーに拾われ、身分を隠して1日だけの休暇を楽しむことになる。
2人は徐々に惹かれ合うのだが、身分の違いから、素の生活へと帰っていくのだ。
人生とは、ままならぬものである。
映画自体は面白く、キャスティングも抜群で、ロケ地もイタリアに名所を巡って、見所満載である。
オードリー・ヘプバーンの表情の変化をみているだけでも、2時間飽きさせない。
コメディタッチなシーンもあって楽しく、ロマンティックで切ない映画だ。
今でも充分楽しめる作品だ。
ただ、疑問に思うシーンも多い。
まず、王女が簡単に脱走するほど大使館の警備が甘い。
ローマの治安が良すぎる(ローマの治安が良いはずがないというのは私の偏見)
時代が違うので、金銭感覚が分からない。
ジョーの所持金が5000リラしかなく、その内、アンに1000リラを渡す。
そしてアンはサンダルを買い、散髪をして、ジェラートを食べる。
一体、いくらなの?
突然、バイクを乗り回すんだけど、そのバイクはどこから出てきたの?
などなど、ちょっと気になるところもあった。
あと、有名なトリビアで、スペイン広場の時計が5分くらいのシーンなのに3時間経っているというのが見れた。
Huluではそのままだったが、DVDでは修正されているらしい。
それに字幕になってないセリフが多い。
できれば字幕を作り直して欲しい。
そのあたりが気になったところかな。
それはともかく、一度くらいは観て起きたい作品だと思う。
いつかイタリアに行ったら、コロッセオやトレヴィの泉など、撮影地を巡ってみたいものである。
そして、スペイン広場でイタリアンジェラートを食べよう。
と思っていたら、現在スペイン広場でイタリアンジェラートを食べることは、禁止されているらしい。
人生とはままならないものである。