第9回目はアニメ秒速5センチメートルです。
出典eiga.com
*以降ネタバレ注意です。
桜の花びらが落下するスピードは秒速5センチメートルだそうだ。
物語は3話構成で、それぞれ中学生時代、高校時代、そして社会人になった現代となっている。
東京在住の遠野貴樹と篠原明里は小学生の頃、多くの時間を共に過ごしていた。
しかし、明里は小学校卒業とともに、栃木へと転校してしまう。
それでも2人は文通などで繋がっていた。
中学生になり今度は貴樹の方が鹿児島に転校することになる。
二度と会えなくなると考えた2人は最後に一度会うことを決意する。
しかし約束の日は大雪で、電車も立ち往生する程であった。
栃木へ向かう貴樹にとって、中学生にしては大冒険となったのだ。
なんとか明里と再会を果たし、その日に東京に帰れなくなった貴樹は、明里と2人で一夜を過ごす。
翌朝、東京に戻る貴樹と駅で別れるのだが、一方は最後の別れであり、一方には再会を期待する別れであった。
貴樹は鹿児島の種子島で高校生活を過ごす。
もはや、明里とは文通もメールのやり取りすらしていない。
しかし、貴樹は明里に未練があるようだ。
やがて貴樹は社会人となり、東京に帰ってくる。
それでも明里には会えない。
会おうともしない。
心の何処かで引きずっているだけだ。
そのせいで恋も仕事も上手く行かない。
やがて、貴樹と明里は踏切ですれ違うのだが。
この作品は風景がとても綺麗だ。
現実の景色を色彩豊かに再現している。
これは私の推測ではあるが、この作品を観て感動した人は、とても良い初恋を経験したことがあるのではないだろうか。
逆にこの作品で泣いた人は初恋の経験がないのではないだろうか。
そんな風に思うのである。
子供にとって引っ越しとは世界が変わる重大な出来事なのだ。
今でこそ携帯電話やらで、通信や交通が便利になってるけど。
昔なら一生の別れになってしまうだろう。
人の心は秒速5センチメートルで離れて行くものなのだ。
それを向き合って距離を縮めようと努力するものだ。
やがて心の重力と遠心力が釣り合って、ガミラスとイスカンダルのように二重惑星になるのだ。
貴樹と明里がそれぞれ幸せになれば良いなと思う。
この映画を観て初恋を思い出してみてはいかがでしょうか。