カズマの一期一映日記

映画の感想と雑談

人間失格 太宰治と3人の女たち

 

 

第185回目は「人間失格 太宰治と3人の女たち。

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2019年の日本の伝記映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


私は学生時代には「図書室の主」と呼ばれるほど図書室に入り浸っていました。

 


それこそ、私は文学少年だと思われていたようですが。

 


実は私は文学とは無縁の人生を送って来たのでした。

 


単に私は図書室の雰囲気が好きなだけで、一冊の本も読んでいませんでした。

 


太宰治など学校の授業で「走れメロス」を習った程度です。

 


人間失格というタイトルには興味を惹かれるものがありましたが、読むには至りませんでした。

 


そう言えば、幼い頃、本棚に「斜陽」と「車輪の下」が一冊にまとまった本がありました。

 


いっさい興味はありませんでした。

 


小説が苦手というわけではありませんでしたが、面白いかどうかも分からない物に時間を費やす気になれませんでした。

 


読むとすれば、映画の原作本かノベライズ作品にかぎっていました。

 


ところが最近、妻に太宰治を勧められるようになりました。

 


いや、前々から、勧められてはいたのですが、興味はなかったのです。

 


妻が言うには私と太宰治には通づるものがあるそうです。

 


はて、

 


私は太宰治については学校で習った程度しか知りませんが、

 


私とは真逆の人間の様に感じていました。

 


私はどちらかと言うと、生に執着するタイプですが、太宰治は何度も自殺を試みているそうです。

 


私は長生きして、周りに迷惑をかけながら、ヨボヨボとなり、やがて機械の身体になって、更に長生きしようと思っています。

 


自殺なんてとんでもない。

 


しかし、太宰治が女性と心中して自分だけが助かるというところは、私は共感を覚えました。

 


私にはそんな経験はありませんが、

「2人ガードレールとクラッシュしてもなんか私だけ助かりそう」な悪運の強いイメージがあります。

 


太宰治の女癖が悪いところも、私とは真逆だと思います。

 


金づかいもあらいようですし、ますます私とは違う様な気がします。

 


小説を読めば解るのでしょうか。

 


さて、映画の方はと言いますと、タイトルは「人間失格」ですが、小説「人間失格」の映画化ではなく、太宰治の伝記となっています。

 


太宰治の最期の2、3年を映像化した物になっています。

 


「斜陽」と「人間失格」の執筆がメインです。

 


3人の女たちとは妻の美知子と斜陽のモデルで愛人の静子、さらに愛人の富栄です。

 


三人三様の女性が魅力的です。

 


何と言いますか、3人とも逞しくて良いと思います。

 


浮気は良くないとは思いますが。

 


太宰治は大概だらしのない人間として描かれています。

 


そこがまた共感をえるのかもしれません。

 


映像としては、昭和初期の雰囲気と美しい色使いで、若干ファンタジックに感じます。

 


途中で坂口安吾三島由紀夫が登場するところも面白いです。

 


最終的な感想としましては、太宰治に興味が湧きましたし、嫌いではなくなっていました。

 


もともと嫌いではありませんでしたが、ロクでもない奴だとは思っていました。

 


映画を観ると、ロクでもない奴ですが、憎めない人間であったという感じです。

 


終盤に太宰治が生に執着するシーンがありましたが、そこは共感が持てました。

 


太宰治が亡くなった後の女たちの生き方も微笑ましく感じました。

 


太宰治ファンや、太宰治に興味がある人は是非観ることをお勧めしておきます。

 


そして、私は人間失格を読み始めました。

 


さて、ついでにもう一本映画を軽く紹介しておこうと思います。

 


ビブリア古書堂の事件手帖」です。

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2018年の日本のミステリー映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


ビブリア古書堂という古本屋に持ち込まれた夏目漱石全集に隠された秘密が物語の始まりです

 


後半は太宰治の「晩年」の初版本にまつわる話です。

 


全体としては夏目漱石の「それから」が主題となっています。

 


書籍に秘められた謎とメッセージを紐解いていく、一風変わった推理ものになっています。

 


ただし、残念なことに推理パートはあまり良い出来ではありません。

 


むしろ「それから」のオマージュ作品としてとらえた方が断然面白いです。

 


文学が好きな人、夏目漱石が好きな人は是非観てみてください。

 


意外と私は面白いと感じました。

 


私も少しは文学を読み進めたいと思います。

 


ところで、文豪の皆さんは伊豆が好きなんですね。

 


「伊豆ときたら、浮気を疑え」って感じです。

 

 

 

ザ・ファブル

 

 

 

第184回目は「ザ ・ファブル」です。

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*出典amazon.co.jp

 


2019年の日本のヤクザ映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


私はこの映画を誤解していました。

 


殺しをしない殺し屋という設定であり、基本的にはアクション映画なのですが、どちらかというとコメディよりの映画なのではないかと思っていました。

 


ところが中身はヤクザものの映画でした。

 


しかも結構ハードめのヤクザものでした。

 


ひょっとしたら、ヤクザものが苦手な人は受け付けないかもしれません。

 


しかし作品としては、アクションはカッコ良いし、笑いもあり、シリアスな場面もあるバランスの取れた上質な作品になっています。

 


物語は、伝説の殺し屋「ファブル」がボスから1年間の潜伏期間を指示されるところから始まります。

 


一般人として普通の生活をするように命令されました。

 


その1年の間、殺しは禁止です。

 


もし、人を殺せばボスに抹殺されてしまいます。

 


潜伏先の大阪に向かったファブルは佐藤明として身を隠しますが。

 


潜伏先は真黒組というヤクザでした。

 


果たしてファブルは無事に潜伏期間をまっとうできるのでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


冒頭にファブルが暗殺者として活躍するシーンがあります。

 


ファブルの伝説の殺し屋としての実力を見せつけるシーンですが、圧倒的です。

 


次々とヤクザを倒していき、体感では割と長い時間戦っていた様な気がしましたが、たったの5分しかありませんでした。

 


ここはギュッとハートをつかまれました。

 


それから一転して、殺しを封印するという展開は上手いと思いました。

 


しかしながら、潜伏先がヤクザというのは選択として間違っているのではないでしょうか?

 


それともボスはワザと物騒なところに送り込んだのでしょうか?

 


不思議です。

 


ありがちなパターンでいけば、潜伏先は教会が経営している孤児院とかで、結局ヤクザに因縁をつけられる、というのが王道ではないでしょうか?

 


まぁ、それじゃあ普通すぎて、つまらないかも知れませんね。

 


本編は真黒組の内部抗争が大部分を占めているので、ファブルの一般人としての生活は僅かしか描かれていません。

 


そこは少し残念な気がします。

 


ヤクザものに嫌悪感を抱く人はキツいかもしれません。

 


現に私も登場人物のチンピラの所業に嫌悪感を禁じえませんでした。

 


最終的にはスッキリと回収されるので、納得しますが、それなりのヘヴィさを感じました。

 


結局のところ、良くできたヤクザもので、ヤクザの比重が高い作品になっています。

 


終盤の戦闘シーンを短くして、もっとファブルの私生活を多めにして欲しかったです。

 


全体的な人物描写も少し浅めに感じました。

 


少なくとも悪役にはそれなりの深みがないと、戦いの価値も上がらないと思います。

 


戦闘シーンが見せ所というのも判りますけど、長過ぎたように感じました。

 


冒頭の戦闘シーンは本気のファブルなら5分間で片付けられ。

 


終盤の戦闘シーンは殺しを封印されたファブルが手加減しているので、30分かかった。

 


と、とらえるべきなのでしょう。

 


そこも良く出来ていると評価するべきなのでしょう。

 


総合的な評価としては充分満足できる作品だったと思います。

 


間もなく続編も公開されるそうなので、序章としてはなかなかの出来だったと思います。

 


少なくとも続編も観てみたいという気持ちになっています。

 

 

 

TENET テネット

 

 

 

第183回目は「TENET」です。

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2020年のアメリカのSF映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


インターステラー 」に続いて「TENET」について語りたいと思います。

 


この映画も設定が難解で、エントロピーだとか難しい言葉が次々と出て来ますが、ふんわりと雰囲気で観ても充分に楽しめます。

 


もちろん物理学とかに詳しい人の方が楽しめるのだと思いますが、全然大丈夫です。

 


私は物理学などはチンプンカンプンなので、理屈は映像的な面白さだけ感じれれば、それでOKです。

 


ストーリーは単純で面白いし、科学的なところは無視しても全然楽しめます。

 


物語はウクライナキエフにあるオペラハウスでテロが発生するところから始まります。

 


主人公はCIAのエージェントで、あるミッションのために、テロの事件現場に潜入します。

 


その後、主人公は謎の組織「TENET」に引き抜かれます。

 


そこで主人公は「逆行銃」の存在を知らされます。

 


逆行銃とは弾痕から銃へと弾が帰って来る不思議な銃です。

 


どういう原理かは解りませんが、時間が逆転する弾が発射される銃です。

 


それは未来から持ち込まれた物なのです。

 


未来人の陰謀を暴くために主人公は逆行弾の出どころを頼りに捜査を始めます。

 


果たして、主人公は未来人の陰謀を阻止することができるのでしょうか?

 


是非一度、観てみてください。

 


すみませんが、今回はネタバレ強めになっていますので、ご注意ください。

 


まず、冒頭のテロのシーンですが、導入部分としては最高だと思います。

 


緊張感を高めつつ、頭の中に疑問符が現れ好奇心も高まります。

 


次に逆行銃や未来人の説明になるのですが、正直なところ、あまり上手な説明だとは思えませんでした。

 


エントロピーを減少させると時間が過去に戻るなんて説明されて

「ハイ、そうですか」

ってなりますか?

 


物理学に詳しい人ならば、人工的にエントロピーを減少させることができれば過去に逆行できるというのは常識のようですが、普通の人にはサッパリ解らないでしょう。

 


そもそもエントロピーって何だよって話です。

 


私が子供のころ「ダンジョンズ&ドラゴンズ」というテーブルトークRPGにハマっていたのですが、その時もエントロピーが全く理解できませんでした。

 


ちょっとしたトラウマです。

 


しかし、安心してください

エントロピーに深い意味はありません。

 


「へぇ」

ぐらいのつもりで聞いて下さい。

 


理解出来ないから映画を途中で挫折するなどという必要は全くありません。

 


逆行銃も雰囲気で楽しんで下さい。

 


さて、ここからがネタバレ強です。

 


この映画の最大の見どころである逆行世界について話したいと思います。

 


できればここから先は映画を観てから読むか、多少のネタバレは平気という人が読んでください。

 


実はこの映画にはタイムマシンが出てきます。

 


そのタイムマシンは回転ドアと呼ばれる設備で、我々の住む順行世界と時間が過去に戻る逆行世界に繋がっていて双方向に行き来することができます。

 


言葉の表現が間違っていますが、順行世界と逆行世界は同じ世界です。

 


パラレルワールドでもなければ、世界線が違うわけでもありません。

 


逆行世界に入れば世界が過去に遡っているように見えるのです。

 


車や歩く人が後ろ向きに進んでいたりします。

 


ビデオを逆再生したような世界です。

 


ちょっと言葉では説明できませんが、逆行世界を通って過去に戻ることができるのです。

 


逆行世界では1秒過去に戻るのに1秒掛かるのです。

 


回転ドアを通って過去へ行ったり未来に行ったりするわけです。

 


しかし過去を変えることはできません。

 


すでに過去で起こったことは起こってしまっているのです。

 


その辺りが視覚的に面白く表現されているので、是非観て欲しいところです。

 


多分、色々と矛盾するところもあると思いますが、抜群に面白いと思います。

 


順行と逆行が同時進行するシーンなどは、脳をフル回転させても混乱します。

 


とっても刺激的な映像になっているので、見応え抜群です。

 


その他には、友情や家族の絆がテーマになっていてドラマ部分もしっかりと魅せてくれます。

 


私は「TENET」と「インターステラー 」は同じ世界なのではないかと勝手に思っています。

 


インターステラー 」では滅亡寸前の地球から脱出しようとするアメリカの姿が描かれています。

 


「TENET」では滅亡寸前の地球の時間を逆行させて過去に向かうロシアの姿が描かれています。

 


両作品ともに未来人の影響を受けるというところは同じです。

 


インターステラー 」のテーマは「起こり得ることは起こり得る」でしたが、

 


「TENET」は「起こったことは起こった」です。

 


インターステラー 」と「TENET」は表裏一体の双子のような作品だと思います。

 


何よりも時間や物理学を題材にしているところが同じです。

 


なので、私は「TENET」の未来が「インターステラー 」だと思っています。

 


その方が何だか面白くないですか?

 


最後に私の「TENET」に関する疑問を書いておきたいと思います。

 


例えば

 


回転ドアの順行側と逆行側に時計を置いておきます。

 


0:00分に観測者Aが回転ドアで順行から逆行に時計を持って行きます。

 


逆行側と順行側の時計はそれぞれ0:00のはずです。

 


1分後、

 


順行から持ってきた時計は0:01分になります。

 


逆行側にあった時計は過去に向かうので、23:59分になります。

 


さらに1分後

 


観測者Bが新たに時計を持って順行から逆行へ回転ドアを通過します。

 


Aの時計とBの時計は当然0:02分です。

 


ところが逆行にあった時計は23:58になっているはずです。

 


本来はBの時計と同じ0:02分であるはずです。

 


この調子で行くと一年後に観測者Cが順行から逆行へ回転ドアを通過すると、1年前にタイムスリップすることになってしまいます。

 


よね?

 


私は物理学には詳しくないので、見当違いなことを言ってるのかもしれませんが。

 


この考えでいくと、回転ドアのシステムは崩壊してしまいます。

 


ということは、観測してない間は逆行世界の時間は順行していて、観測すると逆行し始めるのでしょうか?

 


さて、私は何を言ってるのでしょうか?

 


自分でも理解できません。

 


そもそも映画の方もエントロピーやら逆行弾なんて回りくどい説明じゃなく。

 


タイムマシンがあるなら、タイムマシンで説明してくれればスムーズに話が進んだように思います。

 


まっ「起こってしまったことは、起こってしまった」ので仕方ありません。

 


とりあえず、細かいことは忘れて「TENET」を楽しんでみてください。

 

 

 

インターステラー

 

 

第182回目は「インターステラー 」です。

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2014年のアメリカのSF映画です。

 


以降ネタバレ注意です。

 

 

 

 


ほぼ1ヶ月ぶりの更新となりましたが、皆さんお元気ですか?

 


何かと忙しくなって日記を書けませんでしたが、映画はボチボチ観ていました。

 


最近では比較的新しい「TENET」を鑑賞したのですが、その前に「インターステラー 」について語っておかなければならないと思いました。

 


「TENET」と「インターステラー 」はクリストファー・ノーランが監督をしています。

 


どちらも難しい物理学が視覚化された作品と言って良いと思います。

 


正直なところ、私は物理はチンプンカンプンです。

 


科学や相対性理論は学校ではなく映画で学んだ知識しか持ち合わせていません。

 


なので厳密に映画を理解出来ているかは解りません。

 


ですが雰囲気で、もの凄い科学考証のもとのに制作された事は解ります。

 


結構難しい話なのですが、かなり親切に説明してくれるので、安心して観ることができます。

 


なので、気楽に観ることをお勧めします。

 


さて「インターステラー 」の劇場公開当時、私は会社の同僚に相対性理論について質問されました。

 


相対性理論なんて生きていく上で、ほぼ必要ないと思いますが、何故そんなことを聞くのかと尋ねてみたら、

 


インターステラー という映画が相対性理論を理解していると面白いそうなので」

ということでした。

 


その時は「インターステラー 」について私は知らなかったのですが、予告編を観て宇宙関係の映画だと理解しました。

 


なので、SFの知識として、高速で移動する物体と観測者とでは、時間の進み方が異なるということを簡単に説明しました。

 


しかし、そんな科学的なSF映画があるなんて考えると、私は「インターステラー 」に興味津々となりました。

 


物語は近未来。

 


地球は異常気象などにより、植物、農作物が枯れてしまうという状況になっていました。

 


このままでは人類は滅亡してしまう危機的状況です。

 


トウモロコシ畑を営む元宇宙飛行士のクーパーは娘のマーフィーの部屋で本棚から本が勝手に落ちるという現象に遭遇します。

 


クーパーとマーフィーは、心霊現象ではなく、何かのメッセージではないかと本棚を調べます。

 


そして、とある座標を示していることを突き止めます。

 


クーパーとマーフィーは座標が示す場所に向かいました。

 


そこはかつてNASAと呼ばれていました。

 


NASAでは人類を他の惑星に移民させる計画が進んでいました。

 


クーパーはNASAから計画に協力されるように依頼されます。

 


果たして、クーパーは人類が居住できる惑星を発見できるでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


この映画には科学的な魅力と美しさがあります。

 


宇宙の映像から、惑星、ワームホールブラックホールといった天体までがリアリティであふれています。

 


映像的なスケールのデカさに圧倒されます。

 


そして、時間のずれをここまで表現した映画は他にはないと思います。

 


宇宙に旅立ったクーパーと地球に残ったマーフィーとでは時間の進み方が違います。

 


簡単に言うと高速で移動しているクーパーの時間の方がゆっくり流れるのです。

 


したがって、クーパーから見ればマーフィーがみるみる成長して、大人になってしまうというわけです。

 


いわばマーフィーの寿命が計画のタイムリミットになっているというわけです。

 


非常に面白い設定だと思います。

 


しかし、私は当初、この映画を受け入れることができませんでした。

 


私が気になったのは点は2箇所です。

 


1点目は、最初にたどり着いた惑星です。

 


この惑星はブラックホールの内側を公転していて、重力の影響をモロに受けています。

 


その結果その惑星の1時間は7年に相当するというのです。

 


私は映画を観ながら

 


「この惑星はダメだ。後回しだな」

と思っていました。

 


当初はクーパーも惑星降下には反対していたくせに、アッサリ賛成してしまいます。

 


「ダメに決まってんだろー!」

私は憤りを感じました。

 


他の惑星を回ってから戻って来ても、その惑星

では数時間もしくは数分しか経っていないのだから、断然後回しにするべきだと思いました。

 


納得がいきません。

 


この主人公とは気が合わない。

 


と、不信感を募らせてしまいました。

 


結果論としてはクーパーの判断が最終的に正しかったのですが、私は納得したわけではありません。

 


続いて2点目ですが、宇宙船に搭載しているシャトルが万能過ぎることです。

 


地球から宇宙に出た時は巨大なロケットで打ち上げていたはずなのに、他の惑星では、自由に宇宙に離脱しています。

 


そんなに自由に離脱できるならば、宇宙移民なんて簡単にできるのではないでしょうか?

 


不思議です。

 

 

 

無理矢理、納得しようと思えばシャトルが反重力装置的なものを搭載してるのではないでしょうか?

 


不思議です。

 


ただのSFならば、どんな科学的矛盾があろうとも、さほど気にならないのですが、リアルになればなるほど気になってしまいます。

 


作中に出てくるワームホールや5次元空間などはリアルの許容範囲を超えているので、一切文句はありません。

 


そんなに、こだわるところでもないのかもしれません。

 


でも、気になってしまって、もう私は「インターステラー 」を5回は観ています。

 


部分的に納得いかないところもありますが、ストーリーは非常に面白いと思います。

 


特にクーパーとマーフィーの親子関係は、ちょっと他の映画にはない感動があると思います。

 


宇宙の映像美も魅力なのですが、話の根本は親子の絆なので、重力波とか難しいところは雰囲気で観た方が良いのかもしれません。

 


相対性理論なんかも、重力の大きいところと、速く移動しているものの時間はゆっくり流れるということだけを把握していれば大丈夫です。

 


なので、難しそうで敬遠していた人も、是非一度観てみて下さい。

 


そうそう、この映画のテーマの一つに

「起こり得ることは起こり得る」

というものがあります。

 


この部分が「TENET」と対をなしていると感じました。

 

 

 

戦国自衛隊

第181回目は「戦国自衛隊」です。

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1979年の日本のSF時代劇です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


戦国時代に自衛隊がタイムスリップしたら、どれくらい戦えるのか?

 


そんな架空戦記です。

 


割と好きな映画です。

 


物語は伊庭義明 三等陸尉が率いる自衛隊の一部隊が戦国時代にタイムスリップしてしまうところから始まります。

 


やがて、当地の武将である長尾景虎と親密になり、ともに天下を目指すというストーリーです。

 


前半はタイムスリップに困惑しながらも、順応していく過程が描かれます。

 


後半は自衛隊VS武田信玄の戦いとなります。

 


合戦シーンは見応えがあります。

 


私はこの映画が好きであると同時に、不満も沢山あります。

 


戦国武将の描写は抜群に面白いのですが、自衛隊の演出が若干物足りない感じがします。

 


武田信玄の軍隊の戦法は迫力もあり、強さも恐ろしさも感じます。

 


ところが、自衛隊があまりにも弱そうです。

 


規律は乱れ、士気は低く、メンタルも弱い。

 


到底、自衛隊とは思えません。

 


タイムスリップしてパニックになっているのかも知れませんが、どうにもだらしのない感じがします。

 


それに戦術面でも、余程自衛隊らしくない戦いをします。

 


好戦的な時点で自衛隊らしくないですけど。

 


自衛隊の戦力は戦車が一台とヘリコプターが一機(戦闘ヘリではない)とジープやトラックのみ。

 


兵員は僅か16名。

 


対して武田軍は2万人。

 


まともに戦って勝てるはずがありません。

 


戦いの基本は戦力と補給と情報です。

 


そのいずれもが自衛隊は武田軍に劣っています。

 


燃料も銃弾も無限にあるわけではありません。

 


にもかかわらず、武田軍に正面衝突してしまいます。

 


無理、無茶、無策の三拍子です。

 


いくらマシンガンで連射が出来ても、30発も撃てばマガジンチェンジをしなければなりません。

 


マガジンも何個も持てませんし。

 


その隙に騎馬隊はどんどん接近してきます。

 


近接戦闘になれば不利は明白です。

 


これは、あまりにも近代戦闘らしくありません。

 


私の素人考えでは、先ずヘリコプターで本陣を探して武田信玄の所在を特定します。

 


そこに戦車で長距離射撃を加えます。

 


これが最善の策だと思います。

 


ヘリコプターから直接爆弾を落とせば良いのかも知れません。

 


この戦い方の方が理にかなっていると思います。

 


しかし、それでは映画としての絵面的に盛り上がりに欠けてしまいます。

 


自衛隊と戦国武将の合戦を描きたいわけですから、やむを得ないでしょう。

 


せめて10倍くらいの戦力があれば、もっといい勝負になったかもしれません。

 


しかし、それでも合戦シーンは屁理屈抜きなら見事です。

 


騎馬隊、鉄砲隊の使い方が満点です。

 


そして、なんだかんだ指揮官の伊庭義明の活躍に目を奪われてしまいます。

 


伊庭義明が戦国時代に魅了されていく過程がこの映画の見どころなのです。

 


自衛隊の戦いと言うよりは伊庭義明個人の私闘なのです。

 


伊庭義明の盟友となった長尾景虎との交流もまた感動するところです。

 


これもまた戦国ならではの演出だと思います。

 


それなりに残酷で女性の扱いが酷かったりと、批判する部分も多いですが、私はなかなか面白いと感じました。

 


興味ある人は是非一度、観てみてください。

 


あと長尾景虎がお茶目で面白かったです。

 


こんな長尾景虎は見た事がありません。

 


伊庭義明と長尾景虎の時代を超えた友情が良かったです。

 


♫友達になれたらいい〜

         それ以上は望まないさ〜♫

里見八犬伝

第180回目は「里見八犬伝」です。

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1983年の日本のファンタジー時代劇です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


江戸時代に書かれた「南総里見八犬伝」の映画化です。

 


しかし、原作とはかけ離れたオリジナルストーリーになっています。

 


長大な原作を一本の映画にまとめたことを考えれば、評価するべき変更だったように思います。

 


物語は戦国時代、里見義実(さとみよしざね)は蟇田定包(ひきたさだかね)を討伐します。

 


定包の妻、玉梓(たまづさ)こそが悪の権化であり、領民を苦しめていました。

 


里見義実は火をかけて、玉梓を焼き殺しました。

 


死ぬ間際、玉梓は里見家に呪いをかけてしまいます。

 


その後、里見家は隣国に攻められ滅亡の危機となりました。

 


里見義実は愛犬の八房(やつふさ)に

「敵将の首を取ってくれば、褒美に娘の伏姫を嫁にくれてやる」と戯れに言ってしまいました。

 


そして、八房は見事に敵将の首を取ってきました。

 


伏姫は八房の妻となり、山に篭ります。

 


里見義実は山に鉄砲隊を送り、八房を殺そうとします。

 


ところが、八房を庇った伏姫に銃弾が当たってしまいました。

 


その時、伏姫の身体から八つの光の玉が飛び散りました。

 


「100年の後、光の玉が八人の犬士となって玉梓の呪いに打ち勝つでしょう」

 


死ぬ間際に伏姫はそう言い残しました。

 


そして、100年後

 


玉梓は妖怪となって蘇り、悪の軍団を率いて里見家を滅ぼしてしまいました。

 


唯一の生き残り静姫は、なんとか城から脱出していました。

 


そして静姫のもとに光の玉を携えた犬士が集まってきます。

 


果たして静姫は玉梓の呪いに打ち勝つ事が出来るでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


邦画の中では、私の好きな作品の上位に挙げられます。

 


今観ても充分に面白いと感じました。

 


多少、安っぽい特撮がありますが、それでも素晴らしい出来だと思います。

 


設定も凝っていて、とても江戸時代に書かれたとは思えません。

 


八犬士が個性的で魅力があります。

 


2人ばかり手抜きで仲間になった感がありますが、八犬士が集結していく様は見応えがあります。

 


往年のアクション俳優が多数出演しており、私としては嬉しい限りです。

 


中でも親兵衛役の真田広之、道節役の千葉真一、毛野役の志穂美悦子、信乃役の京本政樹、現八役の大葉健二は私の好きな俳優たちです。

 


静姫を演じる薬師丸ひろ子も、どちらかというと姫っぽくはない気がしますが、無垢で神秘的な雰囲気を帯びています。

 


コレだけでも豪華キャストです。

 


それにも増して、悪の軍団も魅力的なのです。

 


蛇の妖怪やムカデの妖怪、怪しげな坊主など悪役にピッタリの顔ぶれです。

 


黒甲冑の雑兵と赤甲冑の指揮官というのもビジュアル的にカッコいいと思いました。

 


中でもボスキャラの夏木マリ扮する玉梓は妖艶な美貌で、まるで本物の妖怪のようです。

 


正に怪演と言ったところでしょう。

 


こういう冒険ものは、いかに敵に魅力を持たせるかが勝負だと思います。

 


そういう意味では抜群の悪役であり、見事に善悪のパワーバランスが拮抗しています。

 


最後の決戦まで楽しめます。

 


なかなか完全なハッピーエンドとは言い難いかも知れませんが、綺麗にまとまっていると思います。

 


邦画のヒロイックファンタジーとしては、今のところ1番好きです。

 


こういう映画はここ最近では見かけなくなったように思います。

 


時代劇ということもあって、今後も「里見八犬伝」の様な作品は現れないかもしれません。

 


ちょっと古いかも知れませんが、ファンタジーが好きな人は是非、観て欲しいです。

 


因みに主演の真田広之は子供の頃の私のヒーローでした。

 


もう少し身長が高ければ、もっとハリウッドで活躍したかも知れません。

 


いや、これから活躍するかもしれないですね。

リング

第179回目は「リング」です。

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1998年の日本のホラー映画です。

 


*以降ネタバレ注意です。

 


今や、日本を代表するホラー映画と言っても過言ではないでしょう。

 


おそらく日本人で、その存在を知らない人はいないでしょう。

 


しかし、意外と映画を観たという人は少ないかもしれません。

 


映画のキャラクターが一人歩きしている感じです。

 


そこだけがクローズアップされていますが、まだ観ていない人は、映画自体の怖さを是非体験して欲しいです。

 


私はこの映画にはかなり衝撃を受けました。

 


ホラー映画の中でここまで面白いと感じた作品はなかったと思います。

 


物語は巷で噂の「呪いのビデオ」について取材している浅川玲子が主人公です。

 


「呪いのビデオ」とは、観た人を1週間後に殺してしまうという代物で、高校生の間で話題となっていました。

 


ある時、浅川玲子は突然死した姪の大石智子の葬儀に参列する。

 


そこで大石智子は「呪いのビデオ」を観たという証言を聞き出しました。

 


1週間前に智子と旅行に出かけた4人は全員同時刻に亡くなっていました。

 


浅川玲子は智子の旅行先である伊豆のペンションに向かいました。

 


そこでラベルのないビデオテープを発見し、観てしまいました。

 


直感で、「呪いのビデオ」であると確信した浅川玲子は元夫である高山竜司に相談する。

 


そして浅川玲子と高山竜司は呪いを解くためにビデオテープのルーツを探ります。

 


果たして「呪いのビデオ」は誰が何のために作ったのでしょうか?

 


呪いを解くことはできるのでしょうか?

 


是非、観てみてください。

 


この映画は私は結構好きです。

 


ただし、評価としては難しいかもしれません。

 


ここからネタバレ強めです。

 


ぶっちゃけて言えばこの映画は、心霊ホラーであると同時に超能力ホラーでもあるのです。

 


私はそこが面白いところだと思うのですが、中にはガッカリする人もいるのではないでしょうか?

 


怨念が超能力によるものとなると、若干ですが恐怖が和らいだ様な気がしました。

 


しかも高山竜司も超能力者なので、何というか頼もしいです。

 


それでも怖さの緊張はビンビンに張っていたと思います。

 


まず、冒頭の導入部分、大石智子のシーンですが、なかなか良い雰囲気を醸し出しています。

 


めちゃくちゃ怖いというわけではないのですが、ゾゾゾっと背筋に冷たいものが走る様な雰囲気を放っています。

 


抜群に良いシーンだと言えます。

 


これでツカミはOKです。

 


本筋ではビデオの呪いを解くまでのタイムリミット、1週間という時間が全体的な緊張感と恐怖をもたらします。

 


しかし、意外と調査はサクサク進んでしまいます。

 


上映時間をもう30分伸ばして捜査を難航させた方が盛り上がった様に思います。

 


95分という長さでは少々、物足りなく感じました。

 


ただビデオの映像を解析したりするところは、推理モノのようでワクワクしました。

 


実はこの映画は直接的な怖いシーンは割と少ないのです。

 


どちらかと言うとサスペンス的な雰囲気です。

 


しかし終盤は怒涛のホラーシーンが続きます。

 


第一段階は井戸のシーン。

 


呪いを解くためのシーンですが、シチュエーションがめっぽう怖い。

 


拒絶感や絶望感の混在する良いシーンです。

 


第二段階は高山竜司のシーン。

 


このシーンは有名すぎて誰もが知っているシーンです。

 


あえて言いませんが、ある有名人物が出て来ます。

 


もう完全な出オチです。

 


流石の私も少しビビってしまいました。

 


正直なところ、今まで観たホラー映画で一番怖かったように感じました。

 


ストーリーの展開上で、理解が及ばず混乱しているところに不意を突かれました。

 


このシーンだけで、この映画を観る価値があります。

 


さて、最後は浅川玲子のラストシーン。

 


浅川玲子のラストの表情こそ、この映画で最も恐ろしいシーンなのです。

 


つまり、最初から最後まで怖くて、面白いのです。

 


ホラー映画の苦手な人もこの映画だけは観て置いて欲しいです。

 


もう観なくても、呪いの正体も知っているから今更だよ。

 


と、思っている人にも一度観ておくことをお勧めします。